一
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仕事の合間、本当に誰にも、声も音も聞かれずに一人になれるのは、 エレベーターの中である。
そこで、ふと洩れる呟きは、届かぬ祈りのようにも聞こえる。
其処に居わす神は、常に真っ白で、ただ其処に居る。
だから祈りは、ただ消えて行く。
それは、懺悔でもなければ、懇願でもない。
人はただ呟き、神はただ受け取る。
ゴミ箱に捨てるのでもなければ、貴重品を預けるわけでもない。
変わり者の人間がいれば、物好きな神というのもいる。
“人はただ呟き、神はただ受け取る。”
そこに、会話は無いはずだ。
…しかし、その神とその人間の間では、会話が始まってしまったのである。
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