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Out lider  作者: 麻本
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大日の最後。

それは、ひし形のクリスタルみたいな物体だった。

「何なんだあれは!かなりデカいぞ!」

機長が初めてみるブラックボックスの姿に思わず叫んだ。

そして、もう一機の攻撃機の方から通信が入る。

「何!?津波か?あの物体から?」

機長がもう少し遠方をみてみる。

すると、白く大きな波とうねりが出来ていた。

「なんだあの波は!ほとんど流れずその場で大きくなっている!」

クリスタルみたいな物体の付近から、海水がいきなり高さを増して止まっている様な状態になる。

その波は高さ40メートルを超えている様だった。

それは正に奇怪な光景であった。

「これは…。異常事態だ」

哨戒機の機長がシモウサ基地にこの事を伝える。

この事は、直ぐに政府と防衛省、マスコミにも伝えられた。

大日の持つ携帯電話に、緊急避難警報の知らせが入る。

携帯電話の警報とバイブレーションに気のついた大日が携帯電話をひらく。

「ん!何?『東京湾南方100キロで津波発生。至急高い所に避難して下さい。波の高さ40メートルを予想。』何これ?40メートルって?でも、津波?これは…大罰キターー!!」

と、大日は思わず叫んだ。

大日は、携帯電話に書かれている情報をみる。

すると、東京湾到達予想時刻は約2時間後の13時30分。

大日はこの時、2時間もあれば避難出来る鋸山か、鹿野山を考えてたのだが、携帯電話にある情報の、

40メートルの高さの津波というのが信じられず、割と近い大黒山へと避難する。

一方で鴨川に住んでいる身延は、同じ様に携帯電話の情報をみた。

最低限の荷物をまとめて、清澄山へと避難を開始する。

そして、スクーターを選び、乗った。

しばらく行くと、清澄山への入り口となる道路は渋滞していた。

徒歩で避難する人もいるため、余り思う様には進めない。

そして、身延が山の中腹あたりにさしかかった所で、何故か大粒の「天気雨」というか、激しいスコールにみまわれた。

この事により、避難する人たちの足のペースが少し速くなった。

また、この津波発生により神奈川県や東京都の湾岸地域は大パニックに陥り、ある人達は兎に角高い

建物へ。

また、ある人はとにかく内陸部へと避難した。また、天皇家は自衛隊のヘリコプターで京都へ。

政府の要人は埼玉県の自衛隊の基地か大阪へと避難していった。

そして、ここは清澄寺。

津波の到達予想時刻30分を前にして、沢山の人が身を寄せ合い、ある人は近くの人と無事を祈り、ある人はまだやって来る人の流れを整理する。

また、ここの本堂では唱題が行われていた。

不思議と、パニックを起こす者は一人もいない。

一方。大日は大黒山の展望台にいた。

ここには、大日と同じように、情報を信じられない人たちが 一応の避難場所として集まっていた。

しかし、集まったとは言っても、大日を含めほんの数人しかいない。

大日が、山のてっぺんから、国道を見下ろすと、渋滞になってしまっていた。

その横を人が走って行く姿も見える。

やがて、サイレンとともに、緊急避難警報が町中に鳴り響いた。

「津波が発生しました。すみやかに高い場所へ避難して下さい。繰り返します。

津波が発生しました。すみやかに高い場所へ避難して下さい」

音声合成による自動放送が流れたのを大日は聞いた。

「日蓮大聖人様。助けて下さい。南無妙法蓮華経…」

大日は唱え始めた。

…そして、津波の到達時刻。館山市のほとんどが波に呑まれ、身延のいる

鴨川市に、遂に津波が襲ってきた。

身延は、境内の大鐘の近くにいた。

間もなくしてドドー!という轟音が聞こえて来た。

すると、大鐘から少し離れた旭が森から

「オオー!」

という歓声が聞こえた。

身延のいた大鐘の辺りは高台ではないので、様子は分からない。

だが、木をなぎ倒した大きな音と、海水のうちつける轟音は聞こえて、身延を始め、たくさんの人々を恐怖させたのである。

身延のすぐ近くの女性が耳を塞ぎ、小刻みに震えていた。

それをみたみた身延がその女性を介抱する。

「大丈夫。大丈夫だよ。ここまでは届かないから」

一方、大日の居る大黒山。

ここの展望台から、少し先にある小さな島があるのが見える。

大日が見たのは、その島をそのはるか上から包み込む様にして島を飲み込んだ、白く大きな津波!

距離はおよそ5キロ離れているハズの島が簡単に呑まれた!

これを見た大日は流石にこの大黒山も駄目だと理解し、展望台から降りて必死に階段を駆け下りる。

だが、大黒山への津波の到達は早く、ドガーン!

という音と共に上から大日に襲いかかった!

そして、がれきと共に水に身体を叩かれ、複雑骨折に陥った。

大日の身体に大量の海水と、その中にあるがれきが大日を襲う!

「ぎゃああ!痛え!痛てえよ!」

波にもみくちゃにされながら大日は思った。

―俺は助かりたいから摂流薄教団に入ったのに。最後はこれかよ。信じていたのに。

摂流薄教団の仏法は何だったのか?

意味を成してないような…。

でも、信心してきたんだ。成仏出来るかな?

もみくちゃにされながらもこんな事を考えていた大日。

そして、この様な事を考えていたが、その時、左目に強い衝撃が走った。

「!!」

長い棒状のものが大日の頭、左目の辺りに突き刺さってきたのである!

「ぐえ…っ!」

…もう、ダメだ…でも俺は摂流薄教団の一員。勤行だってやって…成仏できるのかな。

―大日の意識は、漆黒の闇の中に包まれ、二度と意識が戻る事は無かった。



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