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◇その2「あー、よくあるやつねー」

 俺の名前は近衛(このえ) 司郎(しろう)


 今年から大学生になったばかりの19歳だ。


 家は田舎とも都会ともいえない生活に不自由はしない程度のところで一人暮らしをしている。


 ちなみにこれは高校時代からで、高校生のときに家族ともめて少ない貯金をもって家を飛び出したってわけだ。


 だから大学の学費も生活費も全て自分持ち。 コンビニで夜勤のバイトをしながらなんとかギリギリの生活をしている。




「なぁシロウよ」


「ん?」


「腹が減ったぞ」


「あ、あぁ、今なんかつくるわ」




 この黒髪ショートで味のあるしゃべり方をする少女のことはあまりよくわからない。


 記憶喪失のせいで詳しい事は何も思い出せない、っていう設定らしい。


 まぁなんとか聞き出せた情報をまとめると、名前はアスカ。 歳はたぶん10歳くらいだろう。


 今は家出中らしい。 そしてこれが一番重要なこと。こいつ、どっかの大富豪の娘らしい。


 俺はこの娘の親からの謝礼金目当てで少しの間面倒をみることにした。


 一瞬うそかとも思ったが、見た目のわりに妙な貫禄があるし、身につけてるものもなんか高そうな物ばっかだしこれは本当だろう。




「オムライスが食べたいぞ!」


「なんだと!? どーして寝起きにオムライスなんだよ! 普通パンとかじゃないのか!?」


「さぁの、ワシは普通とかはわからんからな」


「だめだ。うちにそんな余裕はありません! って冷蔵庫にも何もないから何か買ってくるわ」


「むー」


「文句言うんじゃない! とりあえずおとなしく待ってろよ!」


 そう言って俺はスウェットのまんまサイフと携帯だけ持って家を出た。




「さすがお嬢様だ。 とんだわがまま娘に育ってやがる」


 家を出た俺は、コンビニに向かって歩きながらあの少女への不満をつぶやく。


「近衛 シロウ様でお間違いないですか?」


 ぼんやり歩いていると、前から歩いてきたスーツにグラサンという格好の男に声をかけられた。


「あ、はい。そうですけど」


 え、誰コノ人!? めっちゃ怪しくない!?


「少しお話をよろしいですか?」


「は、はい」


「ではこちらへ」


 そうして俺は言われるがままに男の後ろについていくことにした。


 一瞬逃げようと思ったんだけど、どーみても右手にスタンガン持ってるし絶対逆らっちゃダメな人だと判断した俺。


 そして数分も歩いた所にボロボロの喫茶店があり、そこへ入っていった。


 見た目はボロボロだけど、中身は案外しっかりとしていて、それなりにいい雰囲気のお店だった。まぁ客は俺たちだけだったが。


「いきなりお連れしてしまってすいません。そちらの席へおかけください」


「は、はい」


「まず、このようなところにお連れしてしまってすいません。なにぶん、周りに聞かれると困る内容でしたので」


 テーブルをはさんで俺の前に座った男は、グラサンをキラリと光らせて話し出した。


「は、はい」


 なにこの急展開!? まぁとりあえず危険はないみたいだな。


 でもその前に一つ疑問に思うことを聞いておく。


「あの、人違いとかじゃないですよね?」


 俺はこんな危なそうな人に見覚えはない!


「大丈夫です。間違いなく、私は近衛 シロウ様と話があって来ました」


「そ、そうですか」


「突然のことで混乱するのはしかたありません。なので今回は最低限のことだけ話させていただきます」


「ど、どーぞ」


「昨日の晩、あなたが保護した少女、アスカお嬢様のことについてです」


 !? さっそくきたか!! 思ったより早いけど、さっさと家出娘を家に返して謝礼金を―

 

「単刀直入に言います。シロウ様に当分の間、お嬢様を保護していただきたいのです」


「・・・ぇ? 引き取りに来たんじゃないんですか?」


「あまり詳しいことはお話できないんですが、社長、つまりお嬢様のお父様にあたるお方とお嬢様とで少し問題が起きまして・・・」


「つまり、親子喧嘩したと?」


「まぁ簡単に言ってしまえばそうです。仕事で忙しいために、社長はお嬢様をあまりかまってあげる機会もなく、お嬢様は家を飛び出して行ってしまわれたのです」


 ぁー、ドラマとかでよくあるアレか。


「話はわかりました。けど、俺でいいんですか? 仮にもあの子女の子だし。しかもお嬢様なんでしょう? 俺みたいな貧乏学生なんかに預けない方がいいんじゃ?」


「それに関しては大丈夫です。失礼とは思いましたが、少しシロウ様のことを調べさせていただきました」


「ぇ・・・」


「その結果、我々はシロウ様なら大丈夫だろうと判断しました。なによりお嬢様がどうやらシロウ様のことを気に入ったようなので、今我々が無理に介入して無理矢理に連れ戻してもお嬢様の心の傷は癒えません。それならばお嬢様の気が済むまでは静観するのが良いだろうと判断しました」


「なるほど。って、アスカが俺を気に入ってるなんてどーしてわかったんですか?」


「お嬢様のことは四六時中監視していますので」


「・・・つまり俺の部屋に監視カメラとかがあるってことですか?」


「はい」


 いつのまに・・・ 世の中金がありゃなんでもできるってことか。 恐ろしいぜ・・・


「わかりました。あの子の事情もわかったし、俺が世話をするのもいいと思います。でもただの学生の俺といて、教育に悪影響を与えちゃったりしないんですかね? しかも育ち盛りっぽいし、俺、そんな良い物なんて食べさせてあげれませんよ?」


「費用については全てこちらで負担します。もちろんシロウ様の分も」


「俺に任せてください<キラン>」




「待たせたな! 朝めしはオムライスだ!!」


 俺はドアを勢いよく開けて帰宅する。


「ぉお!! はやくしてくれ! ワシはハラペコじゃ!」


「おう! まかせとけ!!」


 俺は机に突っ伏しながら言う少女をみながら、さっきの男が最後に言ったセリフを思い出す。


『我々はお嬢様を自分の命よりも大切に思っています。そのことをお忘れなく』


 脅迫ともとれるんだが、まぁあれは本心だろうな。


 まぁ普通に暮らしてればいいって言われたし、大丈夫だろう。


「まだかー」


「まてって、もうすぐできるから」

 



「シロウよ、確かに味は悪くないが、なぜそこまでニヤニヤしておるのじゃ? 気持ち悪いぞ?」


 小さいテーブルで向かい合って座り、オムライスを食べていると、アスカが若干引きつった顔で言ってきた。


「そ、そうか? 気のせいだ気のせい!」


 ふふふ・・・ そりゃ顔も緩むってもんだぜ! なんせ学費も生活費も全てあちらさん持ち、これで苦痛の貧乏生活とはおさらばだ!!!


「くくく・・・ ふはははははは!!!!」


「うるさいわい!!」


「す、すまん」

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