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境界線 -r15-  作者: あい
境界線

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二十三日目(夜):慈愛と情熱

夫が帰宅する直前の、最後のリミット。私たちは狂ったように求め合い、お互いの命を削るようにして、深淵の底まで堕ちていきます。


強引な絶頂の余韻はあまりにも激しく、私はソファの上で声を枯らしたまま、しばらくの間動くことができなかった。


視界の端で、たかしさんがデバイスを置き、ベッドから立ち上がるのが見えた。私は指先一つ動かせない。お気に入りのパープルの下着は、内側から溢れ出した熱情の雫で無残に重く濡れ、無垢なレースの下に淫らな肌の色を透かしていた。


「……すごかったね、あいちゃん」


たかしさんの声は、私を完全に支配した男特有の、低く力強い響きを帯びていた。彼はクローゼットから清潔なタオルを取り出すと、私の傍らに跪いた。


「ごめんね、こんなに汚しちゃって。……でも、すごく可愛かったよ」


彼はそう言って、火照った私の肌をタオルで慈しむように、けれど確かな独占欲を込めて強く拭った。そして、さらなる献身として、私の震える場所に直接その熱い唇を寄せた。

丁寧で、かつ執拗な愛撫。その行為は、深い愛着に満ちていて、私の背徳感をいっそう耐え難いほどに刺激した。


汚れをあらかた清めると、彼は私の脇に力強く手を差し入れた。


「ソファじゃ、疲れちゃうでしょ。……ベッドに行こう」


「……歩ける?」


「……おいで」


彼は優しく微笑むと、私の身体をそっと抱きかかえた。力強い腕に包まれ、私は彼の胸に顔を埋める。その温もりは、どこまでも優しかった。


彼に抱えられたまま、私はシングルベッドへと運ばれた。ベッドに沈み込むと、彼は私を優しく包み込み、深く唇を奪ってきた。絡み合う舌、混ざり合った私たちの吐息。思考が甘く重い霧の中に溶けていく。


やがて彼は、濡れたままの下着をゆっくりと滑り落とした。すべてがさらけ出された私を、彼は熱い瞳で見つめ、再びその熱い舌で、最も秘められた場所へと触れる。


「……あ……ああぁ……っ」


執拗に繰り返される愛撫に、脳が焼き切られるような錯覚を覚えた。私はただ、彼の腕の中で、絶叫に近い喘ぎ声を心の深淵に響かせるしかなかった。


やがて彼の一部が、私を求めて猛々しくそびえ立っているのが見えた。その漲りに、私は本能的な服従を感じずにはいられなかった。私は彼の熱を一度その口で受け止め、深い献身を示した。


「……入れるよ」


私はゆっくりと彼の身体の上に跨り、彼を私の中へと迎え入れた。深く、深く。彼の熱が私の最奥まで突き刺さる。


「……たかしさんは、動かないでいいからね」


自分のペースで、腰を上下させる。彼の熱い視線が私の全身を舐めるように追う。やがて彼は我慢できなくなったように私の腰を掴み、激しく動き始めた。


「……ぁ、ぁあ……っ、たかし、さん……すごい……っ」


正面から、背後から、体位を変えるたびに、私たちの間からは白濁した情熱の痕跡が溢れ出す。狭いベッドには、汗の匂いと、濃厚な体液の香りが逃げ場のないほど充満していった。


やがて、たかしさんの身体が大きく仰け反り、私の最奥へと彼のすべてが、煮え立つような熱量で注ぎ込まれた。


「……ぁっ……ぁあぁぁ!!」


私もまた、彼が内側に刻み込む激しさに合わせて、何度目かわからない絶頂へと突き落とされた。


しばらくの間、私たちは重なり合ったまま荒い息を整えた。体内に残る熱い重み。それは、彼が残した消えない「証」だった。やがて彼が私の中から離れると、私は名残惜しさを感じながらも、その最後の一滴までを慈しむように受け入れた。


「……ありがとう、たかしさん。……最高だった」


私はふらつく足取りでベッドを抜け出し、バスルームへと向かった。シャワーの冷たい水が肌をなぞる。けれど、身体の奥にたっぷりと注ぎ込まれた彼の熱は、水では洗い流せない重みとして残り続けていた。


ふと、洗面所の時計が目に入り、私は蛇口を止めた。


「……二十二時?」


いつの間にか、時間は残酷に過ぎ去っていた。スマホには夫からの連絡が入っている。

『今から帰るよ』『そろそろ駅に着く』

現実が、一気になだれ込んでくる。夫が帰ってくるまで、あと一時間。


「……たかしさん、大変。……そろそろ片付けないと、間に合わない」


部屋に残された、生々しく濃厚な愛の痕跡。ソファのシミ、カーペットの汚れ、そして部屋中に立ち込める情欲の香り。

甘い痺れが残る身体に鞭を打ち、私は「妻」という役割に戻るための、孤独で必死な隠蔽工作を始めなければならなかった。


二十三時。日常という名の怪物が、すぐそこまで迫っていた。

身体の奥に「彼」を抱えたまま、私は偽りの日常を装う準備を始める。


溢れ出す熱、溶け合う魂。もはや自分と他人の区別さえつかなくなる極地。私たちはそこに関係のすべてを叩きつけ、燃やし尽くしました。


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