7話
諜報部隊の情報により、軍と警察はすぐさまそちらに向かった。
既に戦闘は始まっていた。圧倒的な魔法と力で周りの者を寄せ付けないFactorであったが、暗いオーラが減っている。黒い服もオーラが抜けて元の色が姿を見せていた。
団体、ソーシャルレジスタンスの背後から軍と警察が到着し、Factorを生み出した組織として、その場にいた計10名を確保。
力が弱まっていたFactorも複数人がかりで確保された。
その後の調査により、ソーシャルレジスタンスという団体の研究所が発見される。Factorを生み出した装置。実験結果。計画書。諸々が見つかり、関係者全員が逮捕。起訴される流れとなった。
Factorは、シングルマザーの家庭で、貧乏だった。それが関係して学校ではいじめられていた。その中で、母親が殺害される。そんな負の連続に、人体実験で悪感情を過剰に上乗せされ、記憶は押しつぶされた。
更に都合のいい情報だけ押し付けられ、彼らの駒となっていた。また、母親を殺害した犯人は団体の人物であり、完全に自作自演であったことも分かった。
悪いのはFactorだけだと、彼らは手を汚さず、逃れるつもりだったのかもしれない。
ただ、確かに社会的弱者への支援は重要な課題だった。十分な支援がなかったからこそ、このような反乱が起きたのだと考え、支援政策を立てる風向きへと世論も変わっていった。
Factorは起きた際、手足の枷と、魔力を抑制する首輪を付けられていた。最初は警察たちに威嚇していたが、ぬいぐるみを渡されると落ち着いた。母親からもらった唯一のプレゼントだからなのか、それだけ思い入れが強いようだった。
後に、このぬいぐるみが発見された廃屋は、Factorの実家であることが判明した。
それにより、本名も判明。熊谷心晴。
Factorのことを心晴ちゃんと呼んでみると、少し驚いた後、彼女の双眸に段々と涙が溜まる。なぜ自分がその名前に心を動かされるのか理解できていないようで、困惑をしていたが、明らかに暗いオーラは少なくなった。
長いカウンセリング生活を通して、段々と上乗せされた感情を減らしていき、Factorは着実に心春ちゃんへと戻っていった。
押しつぶされた一部の記憶は回復しなかったが、生きる上で問題はないだろう。
こうしてFactorの事件は幕を閉じた。




