表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/7

5話

Factorは逃げた先で麻痺が抜けるまで横たわり、安静にしている。その間もぬいぐるみを離してはいない。


「なんだか、すごく懐かしい」


彼女の中には、ある思い出が呼び起こされている。




「■■ちゃん誕生日おめでとう〜!誕生日プレゼントはこれ!開けてみて〜」


「ありがとうおかあさん!」


少女の誕生日に母親が誕生日プレゼントを渡している。どちらもあまり食べることができていないようで、細身だ。


「わぁ!くまさん!」


「おかあさんが仕事でいないときは、このくまさんがあなたの友達になってくれるの。大事にしてね」


「うん!」




そのときに貰ったくまのぬいぐるみと、このぬいぐるみはそっくりなのだ。だからこそ記憶が呼び起こされたのかもしれない。

昔の記憶を思い出すという行動。それに関心が向いた。すると、そこで思い出されたのは、学校でのいじめだった。

思い出すだけで吐き気がした。人間への憎悪の感情が湧き上がる。


目的の遂行がいじめっ子への復讐に上書きされた。



「おい、俺がなにしたっていうんだ」


「私はなんにも悪く無い!こいつがやれって言ったの!」


いじめの主犯格が二人。体育館倉庫に幽閉される。

Factorの目は大きく見開かれている。二人を魔法で拘束した状態をその目に焼き付けている。

壁に身体中を黒い魔法の蔦で縛り付けられた二人。


「いじめ。ゆるさない。」


いじめと言われるほどのものなのか。そんなものは彼女に関係はない。本人がそこまで嫌がっていないうえ、大きな損害を与えていない悪戯程度なのであれば、いじめだと判断されない。本人が嫌がっている場合はいじめと判断されるかもしれない。本人の感覚は大事だ。

ただ、明らかにこの二人を悪意を持っているとFactorは判断したのだろう。


「いじめなんかしていない!軽い悪戯を面白がっているだけだ!あいつも笑っていたし、それをいじめだと言うのか?」


「わたしは少しやり過ぎだと思ったわ!」


「おい!お前自分だけ逃れようとしてるだろ」


「うるさい」


二人の、喧嘩に付き合わされるのは御免のようだ。問答無用で猿轡を二人に噛ませる。


「嫌がらせ、暴力、悪口。それぞれの痛みをあなたたちには味わってもらう、ね」


Factorは魔法でナイフを作り出し、男の方に突き刺す。


「っ!」


胸の横、ギリギリ数センチのところ。壁には刃が見えないほどまで刺さっていた。

男は炎の魔法を繰り出し、反抗を見せるが、易々と避けられる。Factorは、苛立ち、男を拘束している魔法の蔦を燃やし始める。


「燃やすの?燃やすの?燃える?熱い?苦しい?」


猿轡の影響で喋ることはできない。

男はだんだんと暑くなっていき、燃やされていく恐怖に怯え始める。


「そういえば、彼女?いるんだよね?」


「まぁ、()()。だけど」


男の表情は苦悶の表情から絶望の色が見え始める。


「どういうことか知りたい?」


少しの沈黙があり、炎が蔦に広がっていく。すでに足先は燃え始めている。


「…………死んじゃったの」


「私が殺したからね」


猿轡越しから悲哀の叫びが聞こえた。そして、Factorは効果があったことに嬉しさを滲ませ、口角が上がっていく。


「あはは!」


そうして歓喜の笑いと悲痛の叫びのハーモニーが奏でられ、男はそのまま絶命した。

女の方は、その光景をまざまざと見せつけられ、恐怖に怯えている。

やめて!殺さないで!と言っているような声が猿轡をしていても辛うじて聞き取れた。


「あ、そういえばあんたいたね」


まるで興味が無いかのようにあしらう。いや、本当に興味が無いようで、猿轡も拘束も簡単に解いてあげた。


「あ、ありがとうございます」


そう言ってそそくさと逃げていく女。

体育館を出て、学校外に逃げたところで、体に違和感を覚える。


「あ、あれ?なんか体が……」


女の体。特に顔を中心に溶けていき、彼女の自慢だった美しい顔が醜く歪んでいく。その様に強い絶望感を味わうと共に、足が溶けてまともに歩くことができない。


「キャー!気持ち悪い!」


「うわ、なんだこれ!」


道行く人々にそう言われていく中で、体の内部まで溶けていき、その女は、醜い姿を気味悪がられながら死んでいった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ