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永瀬家の朝ごはんは目玉焼きと焼いたウインナーとトーストだ。永瀬裕幸は5歳の娘のみのりのためにハチミツでトーストに太陽の絵を描いてあげた。真ん中にぐるぐるとした丸を描き、その周りに線を描いたら太陽の完成だ。先ほどまで幼稚園に行き渋っていたけれど、みのりは上機嫌になった。
みのりと妻の留美に見送られ、裕幸は先に職場に向かう。それから幼稚園バスが家に迎えに来て、みのりもバスに乗り込んだ。
「みのり、行ってらっしゃい」
手を振る留美に、みのりは上機嫌で手を振り返す。こうしてバスは幼稚園に向かっていったのだ。
朝ごはんにご飯、ワカメの味噌汁、焼いたサーモンを食べて横越大介は学校に向かう準備をする。友人の亀山久志が大介の家の近くまで来ているとのことで、合流して学校に行く。1時間目は国語なので眠くなるけれど、給食前の4時間目に体育があるので大介は楽しみだった。今日から水泳が始まるそうで、泳げるのを2人とも心待ちにしている。
テニス部で朝練がある日なので、中学2年生の白石七海は朝5時半に起きて朝ごはんを食べる。先に起きた母親がサラダと野菜がたくさん入ったオムレツを用意してくれていた。あとは野菜スープもあり、七海はそれらを食べて朝練に向かう。朝練は辛いけれど、テニス部には仲良しの友達がいるので七海は頑張ることができているのだ。
高校3年生の宮沢礼生は来年大学受験を控えている。京都にある有名私立大学を目指して2年生の秋から勉強を頑張ってきた。3年生になってからは本格的に大学受験対策が始まる。今日は図書館で勉強しようと礼生は決めた。
朝ごはんに大盛りのカップラーメンと菓子パン2個を食べ、礼生は自転車で図書館に行く。土曜日なのもあり、図書館には年配の方がたくさんいた。ここで勉強するのも場違いな気がしたけれど、静かな方が集中しやすいので礼生にとっては図書館を選んで正解だったのだ。