#0 原点〜heavy rain〜
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私には力がなかった
雨のように手のひらから零れてゆく
一雫を掬い上げ空を見上げる
それはまるで、預けられた心のよう
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雨が涙を隠し、流れていった。
「兄ちゃん暇なら学校まで車で送って行ってよ」
雨の降る朝、寝起きの俺に奏が話しかけてきた。
「傘があるだろ、学校も遠くないしそんなに雨も強くないぞ」
「かわいい妹が雨に濡れてもいいってこと!?この人でなし!鬼!おにいちゃん!」
すごい言われ様だ、よっぽど雨に濡れたくないらしい。
「わかったよ、準備するから少しだけそこに座ってろ」
やれやれ、手のかかる妹だ。
しかし、頼られるとなかなか断れない損な性格をしているのか結局いつもこの調子だ。
「準備できたぞ、忘れ物はないか?」
「わーい、ありがとー!」
車を動かし、学校へ向かう。
奏の学校では最近都市伝説の噂話で盛り上がってるらしい
どうやら生徒の一人が天使を見たとかなんとか。
会ったら願いを叶えてくれるとか、天国へ連れて行ってくれるなど話が大きくなっているみたいだ。
まあ学生の噂話なんてそういうものだろう。
「学校の調子はどうだ?勉強とか友達とか」
「全然大丈夫だよー、それより学校中で天使の話題ばっかりなの、ほんとにいるのかなー」
奏の学校では最近都市伝説の噂話で盛り上がってるらしい
どうやら生徒の一人が天使を見たとかなんとか。
会ったら願いを叶えてくれるとか、天国へ連れて行ってくれるなど話が大きくなっているみたいだ。
まあ学生の噂話なんてそういうものだろう。
「もし奏が天使を見つけたらどうするんだ?何かお願いでもするのか?」
「うーん。そうだなー、私だったら───」