「ここのところ『普通じゃない遊び』やってないな…」とかツッこんだら負け
この話は昭彦目線で話が進みます。
「あー気持ちいい」
若干熱めの風呂に入り、半分夢見心地でつぶやく。今日も色々あったな…
妙な組織の話もされたし、入会初日の美少女に逃げられるし。
まあ、今日も今日とて、生き抜いたことに変わりはない。死ななくてよかった~
『おにいちゃ~ん!お客さんだよ~!』
っと。インターホン―俺による改造済み―が呼んでいる。とりあえず返事はしておこう。
…と思った矢先だ。突然玄関の扉が開き、ラフな服装の4人組がずかずかと侵入してきやがった。
「おじゃましま~すって、昭彦は一人暮らしか」
「昭彦~どこに隠れている~」
「すでに包囲は完了しているのよ~…嘘だけど」
「出てこないならお前の秘蔵エロアニメコレクションを全員に暴露するぞ~」
待て。アレはお前以外に見せる気のないシロモノだ、石和!
「っていうか、何でお前らがここにいる!?」
風呂から超速であがると、そこには首をかしげている4人がいた。
「何でってお前…」
「行くって言っておいたよな?」
「しかも来いって自分から言ったわよね?」
「もしかしてお前…」
「「「「大事な話がある事、忘れたのか?」」」」
「…………………………………………………忘れるワケないだろ」
大事…?えーと…帽子からハトポッポマジックのタネについて?…違うよな。じゃあなんだ……………………あ。
「TOSとその他もろもろについてか?」
「何故に疑問符?その他に何がある?」
「帽子からハトポッポマジックのタネって知ってるか?」
「知らん」
「あ…そ…」
「いきなりなんだよ……じゃあ始めるか。宗介、頼む」
「了解。涼香がいない事については、後でまとめて話す。全員座って話が聞こえる隊形になれ」
「「「おー」」」
「…………」
「…慎二。耳を塞ぐのがお前流話の聞き方なのか」
「…え?何だって?」
「ぶっ殺してぇ…いいから慎二、真面目に聞け。これから俺たち笛吹コンビ、並びに鈴香の身柄情報を説明する」
「…わかったよ。耳栓を外して…始めていいぞ」
「耳栓もしてたのか…こほん。じゃあ始めるぞ。昭彦、ルーズリーフ用意しろ」
そこらに転がっていたルーズリーフとシャーペンを手にし、アイコンタクトで説明を乞う。
ちなみにTOSそのものと邪気眼の存在については、ここへ来る途中2人の笛吹が石和と慎二に説明したらしい。
「俺、笛吹宗介と、その姉である笛吹音波、そして朝倉涼香について話そう。実は俺たち、ある組織に所属しているんだ」
「何て名前の組織なんだ?」
「邪気眼所持者育成所…通称『育成所』だ」
「そのまんまだな…まあいいや、その方がわかりやすい。続けてくれ」
「その育成所っていうのはな、邪気眼を持つ者を育てるための学校のようなものだ。俺や姉ちゃん、涼香もそこのメンバー」
「じゃあ、お前ら3人は同級生みたいなもんか」
「あくまで『みたいなもん』だけどな」
「大体の事はわかった。次は邪気眼について教えてくれ」
「おう。邪気眼っていうのは、特定の者にだけ使える特殊能力のことだ。そのため、ひとつひとつに違う名前と能力がある」
「例えばどんなのがあるんだ?」
「そうだな…俺の邪気眼は、無限跳躍と書いて『インフィニットジャンパー』。能力は空中移動」
「それって便利なのか?」
「えーっと、空気を蹴って無限にジャンプする事ができたり、ホバリングで移動できたり。ちなみにホバリング時の移動速度は音速の約3倍だ」
「すげぇ…他にも教えてくれ!なんか特殊能力って燃える!」
「超電磁砲と書いて…」
「それは色々危ない気がするから言うな!」
「こう、コインをだな…」
「やめれ!…そうだ!音波と涼香は?」
「姉ちゃんのは知ってるけど、涼香のは知らない」
「何でだ?お前らって同級生なんだろ?」
「それが、なぜか涼香のは誰も知らないんだよ」
「みんなって…育成所のやつらか?」
「ああ。育成所に所属する邪気眼使いデータは、マザーコンピューターに記録されているんだ。でも、涼香のだけパスワードがかかっている」
「じゃあお偉いさんは知ってるんじゃないのか?」
「いや知らない。以前俺が立ち会って解析に挑戦したんだが、寝ずに3日挑戦し結果は失敗。パスワードを知ってるのは涼香だけだと考えられる」
「そうか…じゃあ、音波のは?」
「本人が直々に解説したほうがいい。姉ちゃん、お願い」
「わかったわ。私の邪気眼は、至高の癒し手と書いて『トップワンヒーラー』。能力は超回復」
「何を回復するんだ?っつーか、回復だけじゃ戦えないだろ」
「確かに戦闘能力は低いけど、その分仲間の傷を回復できるから便利なの」
「ほう…で、涼香の邪気眼はやっぱりわからないのか」
「全てが謎に包まれているわ」
「やっぱりそうか。まあ、期待はしてなかったけどな」
「悪かったわね。これでも色々調べたのよ?例えば…」
『おにいちゃ~ん!お客さんだよ~!』
「…客だ。悪いが後で聞かせてくれ。はーい、どちらさまですかー?」
「「「「今の呼び出し音…引くわ」」」」
「がっちゃり…ってあれ?」
俺の目の前にいたのは小さな女の子だった。しかも普段からよーく顔を合わせている…
「明日香じゃねーか!」
慎二の妹。その名を、稲村明日香という。
「どうした?兄貴を迎えに来たのか?」
「んーん」
「じゃあ何の用でこんな所に来たんだ?しかもこんな時間に」
まだ10時過ぎだが、小学5年の女の子がうろついていいような時間じゃない。
「アッキーに用があるの。2人っきりで話したいんだけど…ついて来てくれるかな?」
「別に構わないが…今は大事な会議中だから明日でもいいか?」
「えっと…今からがいい。5分くらいで終わるから、ね?」
「……わかった。ちょっと待っててくれ」
俺は、事情を全員に話してから我が家を後にした。
「…で、どこまで行くんだ?」
「アッキーの家の前。あそこの公園」
「近いな。じゃあ行くか」
俺はあくまで保護者的な意味で明日香と手を繋ぎ、我が家の目の前、この時間なら人も滅多に来ない公園までやって来た。
「で、話ってなんだ?」
「んーとねえ…」
俺から10メートルほど離れ、楽しそうにくるくる回る明日香。しばらく止まらないと踏んでいたのだが、数秒後にその回転は止まった。
「死んで」
「…は?」
瞬間、炎を纏った槍を手にした明日香が俺に突撃してきた!
「のわぁっ!!」
とっさにしゃがみ頭を抱えると、その頭上をすさまじい勢いで明日香が通過する!
ドガシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!と、鼓膜が破裂せんばかりの轟音の後、煙の中から出てきた明日香は、
「あちゃ~。はずしちゃったか」
かわいくウィンクしつつ舌を出した。だが、俺の後ろにあったはずの街灯は跡形もなく消え去り、代わりに残ったのは数えきれない数の破片と紅蓮の炎だった。
「お前…その腕…」
明日香は右腕に目のような模様が浮かび上がらせ、不敵に笑う。
「私はTOS四天王のひとり。邪気眼・伝説の炎の使い手、紅蓮のアスカ」
「四天王…?そんなものがあるのか?」
「知らないなら教えてあげる。TOSには、四天王と呼ばれるトップクラスの邪気眼使いが4人いるの。で、私はその内の1人」
「っつーか、風下高の生徒じゃないお前がなぜTOSに!?」
「それはマスターに聞いて。私は自分の欲望に従っただけ」
「欲望…?マスター…?何だよ、それ…」
「それは教えないよ。教えちゃったら面白くないもん。…さあ、そろそろ2発目いくよ。今度は外さないからね~」
「ちょ…おま…」
くそ、足が震えて動かない!逃げたいのに逃げられない!こんなところでオダブツはごめんだ!
「死んじゃえー♪」
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!」
絶叫した直後、俺の視界は真っ暗になり―目をつぶったんだから当たり前だが―体がとてつもなく軽くなった気がした。
まるで…そう、宙に浮いているかのように。
久しぶりです!百鬼夜光です!
若干レー〇ガンをパクっているのは気のせいです。
どこか似てたとしても他人の空似です。嘘っぱちです。
…こほん。というわけで、やってきましたTOS四天王1人目、紅蓮のアスカ。
思いっきり中二病なところも無礼講ってことでお願いします。
それではいつも通り、評価&ご感想をお願いします。
追伸:次の更新はもっと早めに頑張ります。