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避けられない現実

~ボックス内(昭彦視点)~


「で、なんで入ろうと思ったんだ?」

「それは…その…」

「もしかして、理由無し?」

「いや、そうじゃなくて…その…」

「はっきりしてくれ。後が詰まってるんだ」

「えと…何て言えばいいのかな…危機が…迫ってるの。DNAクラブに」

思わず眉を寄せ、首をかしげる。

「危機って…どんな?」

「TOS」

「なんだそりゃ」

「the reverseside of students' association」

「もっとわからん」

「ザ・リバースサイド・オブ・スチューデンツ・アソシエーション。読んで字のごとく、裏の生徒会のこと」

「裏の生徒会?聞いたことがないな。お前の妄想じゃないのか?」

「ううん。確かに存在する。だってそいつらに対抗するため、私はこのDNAクラブに入会志願したんだから」

「っていうことはつまり、宗介も同じ理由で?」

「うん。でも、詳しい事は宗介から聞いて。私、何かを説明するの苦手なの。…でも、これだけは言える」

音波はひとつ深呼吸をしてから、改めて口を開く。

「気をつけて。相手は本気でDNAクラブ全員を殺す気よ」

「……………」

唖然。フィクションであってほしいのだが…

「ありがとう。とりあえず次は宗介だな」

やっと喉の奥からひねり出したのはそんな言葉だった。まるで音波から…いや、現実から逃げるように。

まあ、実際にそんな訳のわからん団体があったとしても、全員に鉄拳制裁を下してやるから大丈夫か。


~ボックス外(和希視点)~


妙にニコニコしながら音波が謎ボックスから出てきた。それと同時に宗介が椅子から立ち上がる。

「次は俺だな。ねーちゃんの事だから何も説明できてないだろうなぁ…結局俺が全部説明するのか…」

腕を組みながらゆらゆらと歩いて行く。元気なさそうだなあ。さっきスキップしてたのに。もしかしてドーピング?元気よく見せるための薬物乱用ってか?…ないない。

と、ひとりツッコミをしている間に憂鬱そうな少年は暗い入り口に吸い込まれていった…


~ボックス内(昭彦視点)~


「TOSってなんだ?」

「…は?」

開口一番に尋ねてみた。詳しく教えてくれよ。

「TOSっていうのは…」

「ザ・リバースサイド・オブ・スチューデンツ・アソシエーション」

「知ってんじゃん」

「そこまではな。あと俺たちの命が狙われているって事も音波から聞いた。そこで、なぜ俺たちがそいつらに狙われなくてはならんのか、並びにその目的とは何かを教えてくれ」

「ああ。TOS…奴らは『裏の生徒会・TOS』として生徒全体の実に98%もの生徒に爆発的な人気を獲得している」

「98%!?俺たちの人気は何処へ?」

「さあな。お前らの人気なんぞカケラほどじゃないのか?」

「何故に!?ちゃんと生徒会として機能してるぞ!集会も定期的に実行してるし、部活動の部費だってしっかり管理している!なのに何故反感を喰らわなくてはならない!」

「落ち着け。少しぐらいなら調べてある。…やつらは、お前ら生徒会のやり方が気に食わないらしい」

「やり方?何の事だ?」

「この学校には、『いじめ』が蔓延している…っていう事実を知らないだろ」

「ああ、知らない。例えばどんな?」

「理由もないのに誰か1人を集団でリンチしたり、毎日教師全員から無視されたり」

「そんな事が…ならば対処しよう。今からでも十分…」

「間に合わない」

「どうして?確かに気づくのは遅かった。だがこれから迅速に対応すればなんとかなるだろ」

「いじめ被害者の一覧に、『要 かなめはじめ』という名前があった」

「要…名前だけは聞いたことがある。確か、かなりの不良でみんなから嫌われている問題児だったよな」

「どうやらそいつがおさになってTOSが誕生したらしい」

「おいおい。まさか問題児軍団相手に俺が勝てない、とか思って間に合わないなんて言ったのか?」

「それは違う。一般人相手にお前が負けるハズがない」

「それはあれか?TOSってのは一般人じゃないってことか?」

「その通り。TOSはただの問題児軍団ではない」

「と、言うと?」

「奴らはわけのわからん異能力者達で、手から炎が出たり口から冷気を出したりと愉快な化け物の集まりだ。下っ端の方は一般人だが」

「うわぁ…何その中二病的設定。そんな奴らがいるんだったら邪気眼だって実在するかもな」

「石和の右目がそうだ」

「…悪い。よく聞こえなかった。もう一度頼む」

「石和の右目がそうだ」

「よし、精神病院へ直行だ。腕の立つ医者を紹介しよう」

「まてまてまて。一応シリアスなムードなんだから正直に受け止めろよ」

「…はぁ。で、なんだって?石和の右目が邪気眼?ハッ!冗談は無しにしようぜ」

「冗談じゃない。っていうか、邪気眼なんていくらでもあるぞ。俺の右目も、慎二の右目もそうだ」

「俺は?」

「違う。それらしい気配を全く感じない」

「ひでぇ…何この絶望的な疎外感…」

「とはいえ、邪気眼は所持している者によって能力が違う」

「そうなのか?俺、邪気眼ってネットでちょこっと見ただけだから、ほとんど知らないんだ。よかったら教えてくれ」

「よし。じゃあ今日の夜、お前の家に行ってもいいか?邪気眼の事と、今回の事件について詳しく話し合いたい」

「わかった。…そろそろ潮時だろう。涼香を呼んできてくれ」

「了解。…おーい、涼香~」

宗介が嘆きの穴から出て行った。今考えてみれば3人って結構疲れるな…

…それにしても遅いな。ただ呼んでくるだけだろ?

「どうした。早く涼香を呼んできてくれ」

「いや、その涼香がいないんだ」

はぁ?そんなわけないだろ。入会初日から会長に無許可で早退するやつがいたら土下座でバック転してやる。

どれどれ………

「おい、土下座して何を…ってうわぁ!危ねぇ!いきなりバック転すんなよ!っつーか物理的におかしいだろその動き!」

「はあ、はあ、ど、どうしていないんだ?」

「あ、あの、涼香ちゃんならバイトがあるから…って先に」

2回転目に突入しようとした時、音波の声が聞こえた。いつの間にか全員ボックス内に入ってきている。

「そうだったのか。ならば仕方がない。…よし音波」

「ん?なぁに?」

「今日の夜、宗介と一緒に俺の家に来い。慎二と石和もだ」

「別にいいけど、何で?」

「TOSについて色々話し合いたい」

「TOS?何だそれ?」

「いいから。お前と慎二には後で伝える」

「なあ」

「どうした慎二?」

「おやつはいくらまで?」

「よーし今日はこれにて解散!」

慎二以外『乙でしたぁ~』

「ええ!?完全スルー!?」

さて、早く家に帰って茶菓子の準備でもするかな。夜が長くなりそうだ。

どぉ~もぉ~。

あらすじで使ったセリフが未だ本編に出てこないDNAクラブ第5話でございます。

TOSにどんな奴らを出していこうか、正直悩みどころではありますが、いつも通り生温かい目で見守ってやってください。お願いしまーす。

…できれば小説の宣伝の仕方も教えて下さい。

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