第一章「地区統一」プロローグ 「変わっていった世界」
聞いた話によると、「それ」が起こったのは、暑い夏の日だったらしい。いつもと変わらない、そんな夏だった。
ふと、一人の男が空を見上げる。あれはなんだ、と。人々が空を見上げるとー亀裂が入っていた。
見る見るうちに広がる亀裂。よくわからないものに対する漠然とした恐怖から出た、悲鳴。
そして、それをあざ笑うかのように亀裂は、異世界からの「出入口」になってしまったんだ。
亀裂から出てきた化け物は、人を喰らい、刻み、その土地に居座るものまで出てきちまった。
「あそこで寝てるドラゴンもか?じいちゃん」
そうさ、でも、今はなーんも悪いことはしない、もし人を襲いでもしたら、痛い目に会っちまうからな。それぐらい、人間は強くなった。世界では、異世界の生物に対応しようとしたが、数百年はかかったんじゃ。でも、この国は違った。
「もしかして、あの英雄のこと!?」
そうじゃ、お前が好きなこの日本、いや、異世界都市国家ーネオ・二ホンの英雄がな。その英雄のおかげでこの国は二百年程度で、異世界生物を制御できる力を手に入れたんじゃ。
「なー、じいちゃん。その力ってなんなのさ。学校で聞いても教えてくんねーんだよ。」
魔法じゃ。としか言いようがないんじゃ。何せ、その力を英雄が使ってこの国を平和にしたとしか本には書かれとらんのじゃ。しかも、その英雄がどんな人物だったのかもあまりよくわかってないんじゃよ。
「ちえー、どんな人だったんだろうなー。英雄って。」
人々が、英雄と呼ぶ男、その名は、赤城龍。のちの時代では、一度も負けなかったと記録される、最強の男。この物語は、底辺から始まりネオ・二ホンをまとめ上げ、最強と成る男の戦いと愛と友情の物語である。