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前世の記憶が甦ったから推しの歌を熱唱してたら推し(推定)に捕まった。

作者: ねくま

私の名前は相川灯里(あかり)

出席番号は常に一番、それ以外は特に変わったところはない、いたって普通な十七歳の高校生☆

だけどある日、オタク女子大生だった前世を思い出しちゃって大変!どれだけグー〇ル先生に聞いても推しの情報が出てこなくてもう絶望!


一体私、これからどうなっちゃうの〜〜〜!?!?




「・・・・・・いやほんとにどうしよう」


駅前のカラオケで一人、深いため息を吐く。

土曜日の今日、私は前世で大好きだった推しの痕跡を探すため街に繰り出していた。

リアルには萌えない、二次元をこよなく愛するオタクだった私は、今世でも推しのグッズを集めるべく家を出たのだが・・・。

ア〇メイト、本屋、ゲーセンetc・・・。どこに行っても推しの頭文字さえ見つからない。

よくよく考えてみれば前世で生きてた頃の西暦だし、なんなら元号全然違うね?これはあれか、パラレルワールド的なやつか。


「そりゃ推しもいねぇわー・・・」


私の推し、右京一尊(うきょうかずたか)は女性向けアイドル育成アプリゲーム、『アイドル富豪!〜億万長者を目指すマネジメント〜』略してアイマネに登場するキャラクターである。

このゲームはあらゆる理由で貧乏な男の子たちをマネジメントし、アイドルとして売れさせてお金持ちにさせるというストーリー設定だ。

奇抜すぎる設定だが、序盤で貧乏故にお腹を空かせた推しこと尊ぴょんのスチルとボイスであっさり沼に落ちた。もっと言ってしまえば、母性本能がくすぐられたのである。

だってだってクール系美人がお腹空かせてちょっと幼い表情してるんだよ??「お腹空いた・・・・・・でもまだガマン・・・・・・」とか言ってるんだよ??めちゃカワなんだよ!?好きになるしかないじゃん!!


というわけで日々尊ぴょんへの愛を叫び、貢ぎ、癒されていた私である。

しかし今の世に推しは存在せず、あるのは私の記憶だけ。

公式からの供給がないと悟った私は思い立った。





───自給自足するしかねぇ!!





幸いにもここはカラオケ。多少音漏れはするとしても仕方ない。

私はここでアカペラでも推しの歌を歌い、その愛を昇華するのだ。


「それじゃデビュー曲からいっちょいくか!」


今世でも愛してるよ尊ぴょん~~~!!










ガチャッバンッ!!


「ぅえ!?」


ソロだけじゃなくユニット、グループの曲も歌いながら三十分ほど経った頃、突然部屋の扉が開いた。今は何も頼んでないんだけど何事!?

音の方向に目を向ける。


「キミ、今の・・・」


そこに立っていたのは記憶よりちょっと幼い実写版尊ぴょん・・・・・・。

え、尊ぴょん!?!?


「我が推し右京一尊もとい尊ぴょんのそっくりさん降臨とか神様ありがとうご先祖さまありがとう世界ありがとう私は今日も元気です(?)」


ドア開けたポーズのまま固まる尊ぴょんのそっくりさんを思わず拝んでいると、彼が呆然としたまま口を開いた。


「ボクの顔、タダで拝む気?」

「ファンサ代はこちらになります!」


ゲームヒロインとの鉄板コミュニケーションもやらせてくれるとか完成度高いよこのそっくりさん!

ちなみに貧乏を隠さずにアイドル活動をしていたため、このやり取りはファンとも発生する場面が多々ある。さすがゲームの世界、何でも有りだと思ったのはここだけの話。

財布からカラオケ代を除いた今月のお小遣いの残りを差し出しながら思わずニマニマしてしまう。


「・・・・・・やっと見つけた。ボクを知ってる人」

「へ?」


何かを呟いたそっくりさんに抱きしめられる。

アイエエエナンデ!?ふぉっ、めっちゃいい匂いするし意外と体つきしっかりしてるし脳内尊ぴょんとの解釈一致ですありがとうございます!!え、何事??


「ずっとずっと探してたんだ。アイドルのボクを知っている人。まさかここで会えるなんて思ってなかったけど」

「???」

「あれはボクの夢なんかじゃなかった・・・」


あっれれ〜??おかしいぞぉ〜〜??まるで尊ぴょん本人みたいな言い方してるね???

私の脳内コ〇ンくんが閃いてる。よくわからんけど少なくともこの尊ぴょん、偽物じゃない。

しかもなんか、この尊ぴょん・・・・・・。


「もう絶対に離さないから」


公式のスチル担当様がTLにあげてた、闇堕ち尊ぴょんそのまんまなんですけど!?





前世のオタ友へ。

前世の記憶が甦ったから推しの歌を熱唱してたら、推し(推定本人)に捕まりました。どうしたらいいですか?



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