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第11話 ワタシ ノ キモチ。アナタ ノ キモチ。②

     2


 魔力が注がれているのが分かる。

 そして、私の意識がどんどんと削られていくのが分かる。

 私はこのまま死んでしまうのだろうか。

 嫌だ! 折角……、折角、私は世界樹で告白した男の子を見つけたというのに。

 どうしてこうも神様は私に悪戯をするの!?

 いや、神ではないか……。目の前にいるのは、白之魔女リジェ……。死神の様な女だ。

 彼女との出会いは、世界樹で子どもの頃に出会ったようだが、私の記憶にはそう刻まれてはいなかった。

 私が奴隷娼婦の闇取引が行われていた場所で、魔王の力に目覚めたときにすぐそばに仕えるようにやってきた二人の魔女がいた。その一人が「白之魔女リジェ」であった。

 彼女は私の意識的には初対面であったが、グイグイと私に色々と世話を焼きに来た。

 魔王と言っても、もともといた魔王とは違い、ある意味、私は新しく誕生した魔王で、地位も何もなかった。

 何なら、領有する土地すらなかった。

 それを言わずとも用意をし始めてくれたのが、彼女だった。


「私はお前にそこまでお願いはしていないだろう?」

「いえいえ、私にとってはユリナール様こそ、仕えるべき魔王だと心得ております」

「どうして、そこまでして私の側に付く。他にも待遇の良さそうな魔王もいるではないか?」

「いえいえ。失礼ながら、主に申し上げます。私はあなた様に恋をしてしまったのです」

「恋?」


 私が玉座で首を傾げ、問い返す。

 白之魔女リジェは、微笑みながら頷き、


「はい。私にとって主であると同時に、好きになってしまったのです」

「この私をか? 私は女だぞ?」

「性別など関係ございません。何でしたら、私めが魔法の力で男の姿に変えてもよろしいのですよ?」

「いや、それは別に望んではいない。だが、私は………」


 そういって私の頭の奥でズキズキと何かが痛みを生む。

 何だ? 一体、何が邪魔をしているんだ?

 部下に好かれるのは良いことではないか……。


「私はすぐに好きかどうかは結論が出せない。悪いが、保留という形でも構わないだろうか」

「構いませんわ。主が私のことをお認めになられて、晴れて家族となるのであれば、それは私にとっての最高の喜びでございます」


 本当に変わった女だった。

 そう。白之魔女リジェは、本当に変わった女だったのだ。

 そんな彼女と一緒に生活をしている中で、私は以前の幼少期の記憶をほとんど失っていき、そのうち、白之魔女リジェとの生活が心地よくさえ感じるようになっていた。

 魔王と呼ばれても、別に民を苦しめるだけが、魔王の行う仕事ではない。

 普通に国王と引けを取らない仕事をせねば、国を維持していくことはできない。


「さすがでございます! ユリナール様」

「ありがとう。白之魔女リジェのおかげだよ」

「何と勿体ないお言葉。ひとつ、褒美を頂きとうございます」

「ん? 無欲なお前にしては珍しいな。言ってみろ」

「はい。今日一日、一緒にベッドで甘えさせてほしいのです」

「………それは、少し恥ずかしいな……」

「大丈夫です。一緒にいるだけで構わないのです。ただ、二人の時間が欲しいのです」


 私は彼女の功績をいつかは認めてあげたいという気持ちが心底強く持っていた。だから、今回の褒美に関して了承した。

 その日、白之魔女リジェは私のもとで甘えに甘えた。

 魔王と言えども、私たちの肉体は人間のそれを依り代にしている。

 当然、敏感な部位もある。

 お互いがそれを攻め合って、高鳴る気持ちをお互いが吐き出した。

 その時に彼女は私の胸にピンク色の光のたまを埋め込んだ。


「何をしたの?」

「一つになれないのは分かっていますが、心の中では家族でありたい。そう思い、契りを結びました」


 光の珠は身体に溶け込むようになると、身体全身がムズムズとするようになった。


「お、お前、こ、これはなんだ!?」

魔精媚薬アフローディージーアックでございます。私と一緒にいる間は身も心も素直でいていただきたいのです」


 そう言って、白之魔女リジェは下腹部に手を添える。

 コリッとした場所を指先でなぞられると、それだけで身悶えしてしまう。


「んふぅん♡」

「いいお声です。やはり世界樹の祈りに邪魔されていたのですね……。断ち切るためには、何度もこうやって欲望を吐き出すのです。そうすれば私と一緒に幸せな日々を送ることが出来るのです」

「……や、ヤメて……」


 私の抵抗の言葉など無意味であった。彼女の指先で私はコロコロと転がされるように、幾重にも押し寄せる快楽に耐えられなかった。



 そんな日々が何度も続き、そして、月日が経ち、いよいよ勇者がやってきた。

 最初は単なる邪魔な存在として消そうと必死になった。

 が、戦っているうちに頭の中のズキズキが襲って来る。

 昔あった何かを思い出そうとするときに起こるズキズキが………。

 そして、私は勇者に倒された。

 そして身体が朽ち果てようとしているときに、記憶が蘇った。

 そうだ。目の前にいるのは、私と世界樹で愛を誓った男の子だ、と。

 どうしようもなく悲しくなった。何とか手を伸ばして、彼と触れ合いたかった。

 だが、彼女は許してくれなかった。


「やはり、思い出してしまわれたのですね……。許せない。許せない! 次の世で出会っても、《《結ばれない》》運命にして差し上げますわ!」


 まさか、現世に移って、「結ばれない」の意味がセックスが出来ないという意味を表しているとは思いもしなかったけど、彼女はことごとく私と彼の愛を引き裂こうとした。




     3


 でも、もう、そんなことはさせない。

 だが、彼女リジェは素直には引き下がらない。私の身体に魔力を注ぎ込んで、力を解放させてきた。

 そして、江奈が私の傍で身体を揺らしてくる。

 江奈! 逃げて!!!

 私の心の叫びも虚しく、私の手は彼女の胸を貫いていた。


「……ぐふぅ!?」


 江奈が口の端から血を垂らしながら、胸から私の手刀を抜き取る。

 「ひぃ……ひぃ……」と呼吸を整えるが軽症なわけがない。


 ―――止めて! 殺さないで!!!


 彼女は……江奈はこの学校での最初の友だちなのに―――!


「よくも江奈ちゃんを!」


 久遠寺さんが近くに転がっていた椅子を握りしめて、襲い掛かる。

 が、私の身体は手を払うだけで、彼女を吹き飛ばし、瓦礫の山に叩きつける。

 久遠寺さんは気を失ったのか、ピクリとも動かなくなった。


 ―――どうして、そんなことするの!?


 藍那先輩はどうしようもなく、現状の打開策を考えているようだが、どう考えても詰んでいる。


「ウチの命はどうでもええんやけど、さすがにやりすぎとちゃうか? ここまで被害が大きなってもうたら、ウチら退学まっしぐらなんやけど」

「別に退学でもいいわ。そもそも私は神楽と一緒だったらそれだけで満足なんですもの……」

「でも、悪いけど、ウチも前世でたくさん抱いてもらって、神楽の良さもよう知ってるんよ」

「だから何?」

「だから、返してもらおうと思うんや。死ぬんやったら、最後に神楽のでイかされてから死にたいしなぁ」

「考え方が卑猥なのよ!!!」


 私はまたもや手を払い、藍那先輩を退かせる。


「絶対に、神楽を渡さない! 神楽は私ものものなんだから!!!」


 そういって、私は神楽の頭を抱きしめるように胸に押し当てる。

 と、同時に私の身体はビクンッと震え上がる。

 ドクン! ドクン! ドクン! ドクン! と、血流が激しくなり、自身でも何が起こっているのか把握できない。

 それどころか、きゅぅぅぅん♡ と下腹部が熱を帯び始める。

 ちょ、ちょっと待って!?

 その時、私は気が付いた。

 神楽が私の胸を鷲摑みにしているのを………。

 その繊細な揉み方をしていた指はそのまま、先っちょに移動して、緩急をつけて刺激をしてくる。

 私の中の何かが大きな波のようになって私を襲ってくる。

 そして、それは光の杭をパリンと割ってしまった。


【あーあ、光の杭を割ってしまったのね……】


 ―――どうなるの!?


【あれは魔精媚薬アフローディージーアックの結晶化したもの……。だから、身体の中にたくさんの魔精媚薬アフローディージーアックが溢れ出して、中毒症状が起こるでしょうね……】


 ―――はぁ!? なんてことするのよ!!


【まあ、助かればいいけど、方法は見つかるかしら……。そこまでしてあの男のことがすきなのならば、私はもう関係ないわ……。あなたもこの場で消えて無くなれば良いの……】


 何とも冷たい彼女だ。

 前世では、一緒にベッドで乳繰り合った仲だというのに、あっさりと手を引きやがった。

 私の身体は高い熱を帯びて、溢れ出す蜜を抑えることすらできない淫れた身体になっていく。


 ―――ちょ、ちょっと!? このままいったら、イキすぎて死ぬとか嫌よ!


 お願い、助けて――――!!!

 助けて、神楽―――!!!





 ―――――――――――――――――――――――――――――

 作品をお読みいただきありがとうございます!

 少しでもいいな、続きが読みたいな、と思っていただけたなら、ブクマよろしくお願いいたします。

 評価もお待ちしております。

 コメントやレビューを書いていただくと作者、泣いて喜びます!

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