南佐の歩 第三章 第五話 蔵人の一番長い日 (後)PART3
『はっ、はあ、はっ・・・空爆が止んだ、の・・・かな。』
ベルは未だ上手く動かせない左足を恨めしそうに見た。
唇を噛んで、オペレーションルームでの出来事を振り返る。
亜夢怒と雷善の来訪で、一旦ラボのセキュリティレベルを一段階引き下げた
のが不味かった。
その僅かな間隙を、狙い澄ました様に2体の量産型ざくろ丸が侵入した。
アルの機転で立体映像による揺動、攪乱を実行しなければ、二人とも拉致さ
れていただろう。
アルの判断が正しかったかどうか今となっては分からないが、この研究室に
逃げ込んで救援を待てと、アルから指示を貰い、なんとか辿り着いた。
アルの安否が気がかりではあるが、アルの気丈さを知っているので、なんと
かなるとも思った。
もう15年もこのラボで過ごしているが、生まれた時を除いて、この研究室
には初めて入る。
ベルは恐る恐る辺りを確認する。
コクーン状の培養槽が7基、円形に並べられて中心部に培養層の分のモニタ
ーが7枚とコンソールが設置されていた。
『これが例のコードプリンターなのね・・
九重さまが帰還すると必ずここに来るようだけど、なにか大切なものがあ
るのかな・・アルは知ってるみたいだけど・・・』
ゆっくりと培養槽の周りをチェックしてみる、すると2-Bと印字された培養
槽がバイタルチェックを始め、半透明だったキャノピーがクリアになった。
覗き込むと、そこには白い、血管さえ透けて見えそうな肌に銀色の髪の女性が
横たわっていた。
ベルはこの容姿に見覚えがあった。
『柳水さん・・? まさか、5年位前に川に流されて死んだ筈じゃ・・』
疑問は多々あるが、コンソールを操作して、とりあえずこの柳水だと思われる
人体の状態を確認した。
身体機能は健常とまでは到底及ばないものの、生命活動に取り敢えず支障は無
いレベルと言える、しかしソウルコードが剥がれていて、このまま目覚めさせ
たとしても元の記憶を呼び覚ます事は難しいだろう。
素体として確保するにせよ、多分培養槽から出せば生きて3年と言った所か、
そう長くは持たないと推測出来る。
『何、これ・・・只のお人形さんとして生かしてるのかな・・
何だか良く分からないけど、アルがここに行けって言ったのは、多分この人
もどきをどうにかして守れって事かも・・
・・・・・・ ・・・・・ ・・・・・・
ええええーい、分からーーーん!
もうやるっきゃない、やるっきゃないよ!』
ベルは直ぐさまコンソールにコマンドを打ち込む、そして培養槽の脇にある非
常格納用レバーを、ぐいっと引いた。
エアーの抜ける音とともに培養槽が床下に滑り込んだ、すると他の培養槽が間
隔を調整して、6槽で円を形成した。
『やっちった・・・でもでも大丈夫だよ、うん、大丈夫・・』
その時、ピッ・ピピッと入り口のドアから解錠音がしてドアが開いた。
「ひいいいいい!」
驚いてベルは尻もちをついた。
「驚かせてすまない、ベル、よくここに逃げて来れたな、感謝するよ。
お前まであいつらに拉致されていたならどうしようもなかった。」
「蔵人さまあああああ! 良かったです、良かったです!
・・・でもでも、あの【すっとこどっこい】達はどうしたのです?」
「すーっとこどっこいで悪かったな!ベル氏いいいいいい!」
「ひいいいいい!」また尻もちをついた。
「ふひひひひ・・・ベル氏ぃ・・ここに、いますよね、こ・こ・に。」
「わ・わらしは何も知りまひぇえん、」
「ベル、落ち着け、ざくろ丸は柳水の体が目当てで、ここを襲撃したそう
だ、あ、いや悪い、ちょっと違うな、いや違わないか、兎に角、柳水の
素体を手に入れさえすれば、ここから出て行くんだって、だから、ほら
こっちに来てくれ、俺が初期設定と予備のコードのプリントを済ませな
きゃだから。」
「へ?蔵人さま・・つまり、合意の上って事ですか?」
「ああ、そうだ、空爆の中止が条件だったんだ、じゃなきゃ今頃、ゲイザ
ーは完全終了だったよ、お前たちもな。」
「あっ、はい、そおゆう事でしたら元に戻さないといけませんね、
ではでは、元に、ちょちょいっと、ほいほい・・」
「ま、待て!!ベル今何て、何て?」
「はい?ですから非常格納庫からまたここに戻そうと・・、
あれ?あれれれれ?」
「ベル・・取説は、ち、ちゃんと読もうね・・非常格納後1時間は解放不可
ですからー・・
ざ、ざくろ丸君、誠に申し訳ないんだが、こういう状況なんで、あと1時
間程お待ち願えるかな?」
「・・・おい、ベル氏ぃ、何しちゃってくれてんですか!
僕も暇じゃないんだよ!暇じゃ!
蔵人さん・・・この落とし前はどうつけるべきですか・・
急がないと、九重のアホが帰って来る・・!?」
ざくろ丸は背後に殺気を感じて、咄嗟に飛びのいた。
そして間髪入れずにベルを羽交い絞めにして構えた。
研究室のドアが開き、青白い面持ちの少年が現れる。
「アホとは心外だな・・ざくろ丸。」
怒りに満ちた形相の九重が、ゆっくりとざくろ丸に近づく。
ざくろ丸は黒く尖った指先をベルに向けた。
「九重ぇ! 君はいつも、いっっつも僕の邪魔をする、いつだってぇぇぇ!
一昨日も、その前、僕がこのラボにいる時からずっとだ!
何で僕の恋路の邪魔をする・・・
僕だって柳水の唇に触れたかった、淡い胸の膨らみを撫で回したかった
さ、そして桃源郷に至った僕は、幻の秘宝を手にするんだ!!だ!!」
一同もはや言葉も無かった。
只々、ざくろ丸のDQNぶりにドン引きしていた。
「ふひひ・・アル氏は瀕死、ベル氏は僕のさじ加減一つで冥途行きさぁ、
モーセのポンコツ二人も量産型が抑えてるんだ、君に何が出来るって?
さあ言ってごらんよ、さあ!」
状況はざくろ丸が有利だ、九重は歯ぎしりしながら隙を伺うが、ベルに突き
付けられた黒爪は顎の下から脳髄を串刺しにしようと、微動だにしない。
「ざくろ丸・・柳水はお前の様な下衆が触れて良い女性じゃ無いんだ、
決して触れさせはしない、絶対に!」
九重の右腕が青白く光り始める、明らかにベルごと消し去る構えだ。
「九重!落ち着け!落ち着くんだ、ここでジェミニを失えばゲイザーは制御
不能だ、空爆の影響でここら一帯の10次元レイヤーが破損してる、今は
個人的な問題は後回しにするんだ、柳水の事は諦めるしかない、一旦オペ
レーションルームに戻ってアルの治療をしよう、分かってくれ、ざくろ丸
も頼むよ、頼む。」
蔵人は、九重がこのタイミングで戻って来ると予想していた、だからここは
迫真の演技で場を収める事に注力しなくてはならない。
上手い具合にベルが柳水を非常用格納庫に収容してくれた、嬉しい誤算だ、
アルの治療の為の時間稼ぎが絶対に必要だったからだ。
「・・ふひひ・・一時間ですか・・良いでしょう。
僕だって元同僚の女の子を死なせたくはないですしね、
まあ、九重君の眼前で、無垢なままの柳水ちゃんを僕のラブドールに仕上
げるのも一興でしょうから。
しーかぁーしー、ベル氏にはタイムキーパーとしての役割を担って頂きま
しょうか。」
ざくろ丸は袖の下からチョーカーを取り出し、ベルの首に装着した。
「きゃっ、何を着けたんですか!変態、ど変態!」
「そう喚くなって、ベル氏ぃ・・こいつはあと一時間で君の首を吹き飛ばす
チョーカーさ、コミックやアニメなんかではよく見るやつだよ。
噴き出す鮮血と、飛び散る脳漿が幻想的にこのショーを演出してくれる。
ふひひひ・・僕のソウルコードに組み込んだパスワードなしでは解除はあ
り得ない、もちろん僕が死んでもチョーカーが爆発しまーす。
ざまぁ!どうだい?」
「く、くくく蔵人さまぁ!わわわ、わらひはどうなっても構いまひぇん!
へへ変態コウモリを、やっちゃってくらはーい!」
「・・・馬鹿な事を言わないでくれベル、俺はお前を失いたくない・・
だからざくろ丸、九重、短気は起こすなよ、俺は約束は守る男だ。」
蔵人は、そう言って九重を見た。
唇を震わせて悔しさを露わにしている九重の肩に手を置いて、任せろと瞳
で伝える、九重も踵を返して部屋を出た。
ー後藤家別邸ー
書斎は既に、天晴の殺気で満ち溢れている。
「くっくく・・緑子、ミカから離れろと言うのが聞こえなかったのか?
お前のような物の怪が近付いて良い娘では無いんだよ・・
今すぐ離れろと言っている!」
緑子は軽く舌打ちをした後、天晴に向き直り、将棋の駒の様につまんでい
たミカのコアチップを、うつ伏せになっているミカの背中に、ひょいっと
投げ捨てた。
「くくく・・余程死にたいらしい・・望み通りにしてやろう。」
「何とまあ、短絡的な事・・
私が折角、カイ様の可愛がっておられるメスガキを助けてあげようと言
うのに、この様な振る舞いは無いのではありませんか?
ヤーウェ様も言っていた通り、ベータ版のスペックではトゥルーソウル
のコードを定着させる事は不可能です、
ベータ版はあくまでも試験的な運用が目的ですので、マトリックスのマ
ウンタに定着しないように組まれています。
なので、このメスガキのマウンタに定着出来るように手を加えました、
しかしながら、ここのエンコーダーでは出力が足らず失敗は必至でしょ
うね、アヴェ様のラボでも現在は不可能です。
お気持ちは察しますが素直に完全版の開梱をお待ち下さいませ。」
「なん・・だと・・
その言葉を信じろと言うのか!」
「信じる信じないはカイ様の自由でございます。
私はマリー様の言われた通りの事をやったまで、全くもって他意はござ
いません。
それとマリー様からの言伝があります。
=モーセの事は不問とするが、自分の成すべき事を努々忘れぬ様=
との事、肝に命じて下さい。」
「・・っ、どこまでも忌々しい女子よ、
くくく・・・まあいい、さっさと失せろ、物の怪が!」
「言われずとも、お暇させて頂きます。」
天晴は帰り際に、緑子が薄ら笑いを浮かべていた事を思い出し、怒りが込
み上げて来たが、無垢な顔で横になっているミカを見ていると、もうどう
でも良くなっていた。
仰向けに寝かし直した後、何度もキスをする天晴だった。
高尾山の火災は当初の勢いを完全に失いつつあった。
それには蔵人子飼いのアジャスターたちの活躍による所が大きい。
特に今回、世里が上空から投下したスーパーフォレストディフェンダー
は、驚異の消火能力を見せた。
沙羅も自身の能力を生かし、麓の集落への延焼を防ぐ為の伐採作業を迅
速に遂行する。
各々が各々の特性の元に、被害を最小限に食い止めていたのだ。
『頼んだぞ、皆。 ずっと働きづめで疲れているだろうに・・
本当に済まない・・』
蔵人はアルの治療をしながら、皆の頑張りに心から感謝していた。
オペレーションルームに戻って来た時点では、はっきりとざくろ丸の戦力
が分からずにいたが、治療が落ち着き段々とその人数や配置、役割が明ら
かになってきた。
『分魂の検証用に作った量産型は全部で20体、デミソウルは20分割で
そのコードが壊れてしまう、何度検証しても20分割が限界だ、
増産は不可能、とすればここに最大19体の量産型がいる事になる・・
オペレーションルームに上位の2体、生きているカメラで確認出来るの
は8体で、残りの9体が地表に近い出入口三か所に分散し、うちのアジ
ャスターの帰還に対応しているのか・・九重が使った非常口は九重専用
のワンオフ仕様だからノーマークで入って来れた、が、ざくろ丸も直ぐ
に対応していたので隙は無い・・か。』
蔵人の推理では、ざくろ丸が柳水の素体を手に入れただけで引き下がると
は、到底考えられなかった。
まずもってヤーウェは柳水の事になど興味が無いし、ましてやここのラボ
が消失する事は自身の不利益に繋がるので、空爆などする筈が無い。
カイがざくろ丸をそそのかした理由は一つしかない、
ゲイザーの機能を一時的にマヒさせた上で、モーセから奪ったベータ版の
レイヤーを使い、完全版を待たずにトゥルーソウルを手にする事、
ならば、ざくろ丸は柳水を手にした上で、ジェミニを殺す算段だ。
蔵人は、ちらとざくろ丸を見た。
ベルを後ろ手に縛り上げた事で安心しきってるのか、腰に手を回し、尻を
撫でながら、ヘイ、シリ!などと宣い、中年男性のセクハラと見間違う程
の狼藉を行っている。
『しかし、カイのラボにあるプリンターは簡易的なものだったはずだ・・
イコライザーの調整に使う為の、ノンシリアル全員が所有している・・
ああ・・分からん、だがカイはベータ版のスペックを見誤っている事は
間違いない、今オーバーレイしても失敗するだろう。
・・・このオーバータイム中にも何らかのアクションがあって然るべき
なのに何も起きる気配がないのはどうして・・・っ、マリー・・・
・・マリーの方でカイの対処をしてくれたと考えて間違い無い、
後は、ざくろ丸を排除すれば、事は収まる筈、
幸いまだ20分の猶予がある、皆で協力して・・?!』
「うおおおおおおおおお!」
突然、亜夢怒が雄叫びと共に体をじたばたとさせて、量産型を振りほどいた。
そしてベルを拘束しているざくろ丸に向かって、真っすぐに突き進む。
「もう我慢ならぬ、我慢ならぬのだあああああああ!
餓鬼がぁ!舐め腐りおってぇえええええええ!」
「?!っ、バカ!止せ!」
ざくろ丸は、ゆっくりと手を前方に翳した、その瞬間、亜夢怒の体が床から
30cm程の高さで静止する。
「あ、がっ、は・・・・・」
亜夢怒の体を5本の黒爪が貫いていた。
「亜夢怒おおおおおお!ざくろ丸!貴様!貴様!うおおおおおお!」
怒髪天を衝く勢いで雷善が拘束を振りほどいた刹那、量産型の二人が放った
黒爪が雷善を貫く。
「があっ!はあ、あ・・・モ・・モーセ様・・無念・・です」
既に事切れている亜夢怒に手を伸ばした状態で、雷善もまた絶命した。
「ふひひひ・・ははは、僕に盾突くとおおお、こうなるって事さあ!」
黒爪を引き抜かれた亜夢怒と雷善は糸の切れた人形の様に床に崩れ落ちた。
「いやあああああ!」ベルの悲鳴が部屋中に響く。
「ざ、ざくろ丸・・お前、正気かよ・・
この二人はモーセも、ヤーウェだって可愛がってた筈だ、自分が何をした
か分かってるのか?」
蔵人の問いに、ざくろ丸は薄ら笑いを浮かべ素知らぬ顔だ。
「ふひひひ・・だってもう主はいないのですから、生きていても仕方無いじ
ゃあーりませんか、んっふ。
さーあ、もう治療は終わった筈ですよ、そろそろ研究室に行きましょう、
でも九重君に暴れられたら困るので、九重君には少し大人しくしてもらい
ましょうか。」
そう言うなりざくろ丸は、後ろ手に縛られている九重の右足の甲に黒爪を放
ち、文字通り釘付けにした。
「があっ!くっ・・ざくろ丸・・・殺す、お前だけは絶対に殺す!」
九重の形相に一瞬たじろぎはしたものの、ざくろ丸は踵を返すと、高笑いし
ながら蔵人とベルを連れてオペレーションルームを出た。
がっくりと肩を落としている九重に、やっと意識が戻ったアルが暗号通信を
使って、オペレーションルーム内の量産型二人を出し抜く算段を告げた。
『あと5分足らずで柳水が、ざくろ丸の手に落ちてしまう・・・
僕もこいつらがいる以上、手も足も出ない状態だ、アルに全て賭けるしか
道は無い!』
九重はアルに目線で了解と告げた。
突然アルが口から泡を吹き、全身を痙攣させる、演技だと知っていても恐ろ
しい程の発作だ。
流石に量産型上位の二人も静観する訳にも行かず、ザクⅡの方が様子を見に
近付いた。
『ちっ、ザクⅠめ・・きっちり拘束しとけよ・・ったく・・
?!・・あ、あ、あ・・・し、しまった・・』
アルには様々な能力が付与されているが、その全ては蔵人によってリミッタ
ーが掛けられていて普段は使う事が出来ない。
だが先ほどの治療の際に全てのリミッターは解除されていた。
その能力の一つ、近距離用のシナプスディスターバーを近づいてきたザクⅡ
に向けて、アルは発動させていたのだ。
ザクⅢからは、だるまさんが転んだ状態でザクⅡが動きを止めている様に見
える。
「なんだぁ、何をしている・・・?!
まさか、アル氏ぃいいいいいい!意識が戻ってえええええ!」
慌ててザクⅡの元に駆け寄ろうとするザクⅢに、九重が釘付けられている足
の甲を引きちぎって、猛然と肩口からタックルを仕掛けた。
「うおおおおおおお!アル、頼んだあああ!」
もんどりうってアルの前に倒れこむ二人、アルはすかさずシナプスディスタ
ーバーを発動させる。
『お願い!今の私にはこれぐらいしか出来ない・・』
・・・・・
「まさか・・そんな・・・」
ゆらりと立ち上がるザクⅡ、九重は微動だにしない。
「ふひひひ・・アル氏ぃ・・肝が冷えましたよ・・
シナプスディスターバーですか、ホント反則技ですねえ、半径2mくらい
の射程ってとこですか・・
でも、もうお終いです、ざーんねーん賞!
この僕がそんな小細工に引っかかると思ったかい?
この間抜けなアンドロイドを盾にして射程から外れさせてもらいました。
どうだい?もう他に手はあるかい?ふひひひ・・」
アルは慌てて出口に向かったが、ザクⅡの黒爪に左足大腿部を貫かれて倒れ
込んだ。
「あ、あ・・やめて、来ないで・・・蔵人さま・・」
「はい、さようなら。」
ザクⅡは黒爪をアルの頭部に突き立てようと額に照準をあわせる、
その瞬間、大きな音と光がオペレーションルームを包んだ。
「何の光!」
「呼ばれて飛び出て、じゃじゃじゃじゃーん、ですわ!」
「ギャギャッ、」
続く




