3日目/人見知りのくノ一
ヒロイン2人目
=現章のサブキャラです
なので、コメディ要素満載です。
少し無理くり、その要素を引っ張り上げてますが……
元気な、何事にも一生懸命な娘です。
自分が歳とると、そういった娘を応援したくなりますよね……
●三枝屋敷/食堂
「――”弐号”。出ていらっしゃい」
凛とした、壱号の声に物音がする。
天井が揺れ、埃が舞う。
せっかくのコーヒーがもったいない。
三枝若葉はカップを口元へ運ぶ。
「し、失礼しますッ」
瞬間、屋根裏から甲高い別の声が落ちてくる。
「お、お初にお目にかかりますッ! じ、自分は弐号と申します! 以後お見知りおきをッ!」
と、かしずくその姿。
当然ながら、それを若葉が見下ろす形になる。
黒のミニスカートから覗く、褐色の生足。
白エプロンを若干緩めた胸元から、小麦色の胸。
玉の汗をかいた額に張り付く、脱色した白髪。
彼女もまた、三枝家に仕えるメイドだというのか。
例えるなら、壱号は成人女性のそれ。
歳は20代後半くらい、その落ち着きがある。
目の前の弐号は、女子学生のそれだった。
歳は見た目15歳前後くらい。
あどけない可憐さが、男心をくすぐる。
「よ、よろしくね。弐号さん」
「はい、こちらこそまだ未熟な身ですが、よろしくお願いします! ご主人様!」
明朗快活な返事。
その元気さにこちらも笑顔がこぼれる。
「そうですね。未熟だからこそ、ご主人様の寝所にアレの侵入を許したのですものね」
――その和む談笑は、長くは続かなかった。
「お姉様……ご容赦を……」
と、表情がこわばる。
「容赦も何もありません。私ではなく、ご主人様がご裁量なさるのです。みっともない、侍女の恥ですよ」
どうやら壱号は、妹分の弐号には厳しいようだ。
教育ママのような鋭い目つきで対応している。
「まぁまぁ。単なるゴキブリだったわけだし、ね?」
「この際、侵入者のそれは問いません。今回は、ご主人様の寝所に侵入されたという警護面の問題を挙げているのです」
その警護を任されていた弐号。
結果として手を抜いてしまった事に憤慨している壱号。
「なぜですか、弐号。答えなさい」
と、蛇の睨みをきかせる。
真面目な人だと思っていたが、その考えを撤回しよう。
仕事に対しては、超がつくほど生真面目のようだ。
「あの、その……恥ずかしかったんです……」
「恥ずかしい?」
「はい。初めて出会う人間の方……その、ご主人様の前に出るのが恥ずかしかったんです。それにゴキブリの虫さんも、その、殺すのを躊躇っちゃいまして……その、ごめんなさい」
――また、とんでもないメイドが増えてしまった。
そう直感する若葉だった。
読了ありがとうございました。
断りとして、一言。
この作品は、『家政婦=メイド』として表現しています。
ご容赦ください(笑)
もし字面の表現の仕方や、
無理やりなギャグテイストに思う所がありましたら、
ブックマークや評価よろしくお願いします。
生暖かく投稿していきたいと思います。