表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

20/52

4日目/壊れたオモチャ

●墓場(夜)


 墓場の有様は惨劇だった。


 毒虫の体液で、墓石や地面は溶解。

 卒塔婆そとばは、無残にも折れていく。

 

 至る所に亡者達の骨や散った灰が散乱している。

 線香の落ち着く香りはすでにない。


 辺りを漂うのは腐臭なのか。

 それとも異臭なのか。

 脳の理解が追い付かない。


 そうした荒れた墓場。

 2つの影が藍色の夜空を背景に、飛び交う。 


「なんだなんだ、バテるの早くないかい? 止めてほしけりゃ三枝若葉を渡しな。それで手を引いてやるよ」


「……バテて、ません……ええ、一切、これっぽちも……」


 毒虫を使役するには、大量のカロリーを消費する。

 毒虫を2体も戦いに出した事で、弐号の顔に疲弊が伺える。


 その弱点を知っていてか。

 伍号の従える亡者は、ゆっくりと彼女達を包囲していく。


 真綿で首を絞められていく戦況に、弐号は冷や汗をかく。


「というか……なんで、ご主人様を……襲うんですか……?」


 ほんの少し、伍号の動きが止まる。

 同時に身体からたぎっていた闘争心が薄れた。


 それに呼応して、亡者の猛襲が静まる。


 振りかぶっていた腕を、ゆっくりと下す亡者達。

 首をもたげて、次の指令を待つ。


「知りたいかい?」


 睨む弐号の目。

 それを頷きと受け取る伍号。


「アタシは今、とある依頼主のトコで厄介になっててね。そこから頼まれたんだよ」


「……とある依頼主……?」

「ああ。三枝屋敷に隠された”外道の書”を見つけてこいってな」


 弐号の背後。

 地面に尻もちをついていた三枝若葉さえぐさわかば

 その言葉に反応を示す。


「……”外道の書”って一体なんですか?」


「ああ、そういや三枝屋敷の新しい主様は知らないんだっけ?」


 と、嘲る口元に手をやる。

 高説とばかりに”外道の書”について語り始める伍号。



 ”外道”とは、非人道的な知識の集大成。

 それを書き記した人外の知識、その粋を集めた本がある。

 それが”外道の書”と呼ばれるモノだ。


 若葉の祖父、三枝厳十郎は生前までそれを所持していたらしい。

 その書の恩恵として、家政婦メイド達の異形化。

 自ら究める、外道学の進歩や発展に繋げたらしい。


 ――いわく、”外道の書”を手にした者は英知を得る。

 


「……英知、を得る……」


「そうさ。簡単にアタシらみたいな化け物メイドができるんだ。その英知ってもんが、どれほどのもんなのか……予想もつかないね」


 だけどね、と伍号が続ける。


「アタシの依頼主がそれを求めているんだよ」


 一瞬、血色が悪い表情に、若干の憂いが映りこむ。


「アタシはあの壱号や弐号みたいに”いらない家政婦オモチャ”はごめんだね。アタシは必要とされたい。こんな化け物みたいなアタシでも……誰かのために仕事するからこその”家政婦メイド”だろ?」

読了ありがとうございます。


簡潔に。

コミカルに。


引き続き、それらをモットーにやっていこうと思います。


「アホだなぁー」とか、

「ここの表現、独特だなぁー」とか、


そんな共感があれば、ブックマークや評価お願いできますでしょうか?

正直、励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ