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14/52

4日目/本の虫

ちょっとした閑話休題です。


片っ苦しくなるので、飛ばしてよろしいかと……(笑)


そろそろアクション要素が増えてきます(予定)

●回想


 少しだけ、昔話をしよう。


 彼、三枝若葉さえぐさわかばは幼少から身体が弱かった。

 床に伏せがちで、感情も表に出にくい子だった。


 室内の、同じ風景を眺める毎日。

 ただただ、時間を浪費するだけの日々。

 

 得るものが、何もない。

 空虚で、何もない。

 何もない、若葉の中身。



 ――だが、その毎日をとある絵本が壊してくれた。


 海外出張が多かった父。

 彼は出張先で買ってきた絵本を渡してくれた。


 10ページほどの、大判のそれ。

 文字は外国語で読めるわけもなかった。

 しかし、イラストを眺めてるだけでも楽しかった記憶がある。


 いつもと同じ風景ではない、絵本の風景。

 それに新鮮さを感じていたのだろう。


 それからずっと絵本を読む若葉の姿を見た母。

 彼女は漢字の練習にと、図書館から本を借りてくるようになった。

 

 始めはひらがなが多い、本ばかりだった。

 だが次第に漢字を覚えていくにつれて活字が読めるようになっていた。



××××× ××××× ××××× 



 10歳を過ぎた頃。

 若葉は、自室で本にかじりついていた。

 文字が読めるようになり、あらゆる本を読み漁っていたのだ。

 

 小説、偉人の伝記、技術書から様々なそれらに目を通していた。

 当時、同年代よりも読める字が多かったかもしれない。



 ――本を読めば読むほど、知れば知るほど、自分が賢くなる。


 ――自分が知らない事を開拓できて、新しい自分がそこにいる。


 ――知りたい。世界の理を、世界に散らばる知識を。



 何よりも、知識が増える快感に憑りつかれていたといっても過言ではないだろう。



××××× ××××× ××××× 



 14歳の頃、やっと身体が回復してきた。

 その時もまだ、強欲な知識欲は衰える事はなかった。

 念願の学校生活の中でも、時間があれば分厚い本を読んだ。


「お前の事、本の虫っていうんだよ」


 と、そんな事をいわれた気がする。

 

 なぜか、笑われた。

 なぜか、本の虫と呼ばれた。

 なぜだろうか。


 若葉は、知りたいから本を読む。

 それのどこが、悪いのか。

 虫だろうが、関係のない事だろう。

 


××××× ××××× ××××× 



 15歳の冬。

 若葉の父と母は、姿を消した。

 

 両親共に行方不明。

 安否や消息は不明。


 理由はわからない。

 ただ1つと事実として若葉の心をえぐる。

 三枝若葉は、孤独になったのだ。

 

 その後、父や母の親戚の家をたらい回しにされた。

 短い時は数ヶ月、長い時でも1年ほどだろうか。

 学校や家々を引っ越し、居候という立場に肩身が狭かった。


 

××××× ××××× ×××××



 幸いにも、父方の兄は世話好きな人だった。

 父方の兄、つまりは叔父夫婦には子供がいなかった。

 そのため、若葉をまるで息子のようにかわいがってくれた。


 その縁もあり、進学するため叔父が暮らす関東に上京する事となる。

 

 大学への進学を強く勧めてくれた叔父達。

 奨学金以外にも、ある程度の援助をしてくれた。

 本当に、叔父夫婦には頭が上がらない。

 

 今回も甘えた形になったが、感謝の気持ちは絶える事はない。

 ――この三枝屋敷を、押し付けられた以外は。

読了ありがとうございました。


断りとして、一言。

この作品は、『家政婦=メイド』として表現しています。

ご容赦ください(笑)


もし字面の表現の仕方や、

無理やりなギャグテイストに思う所がありましたら、

ブックマークや評価よろしくお願いします。


生暖かく投稿していきたいと思います。

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