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the keys  作者: 羽村奈留
90/158

第90話:サザーランド王都11

 部屋に入ってからのラグとオーカスは言葉を交わさず時間ばかりが過ぎた。

 ラグはシャワーを浴びて1日の汗を流し終わり、シャワールームから出てきてからは、上半身は何もまとわずにズボンだけはいて、ベッドに腰掛けて濡れた灰色の頭髪をタオルで拭いている。

 オーカスは、ラグがシャワーを浴びている間に魔法通信を行ってローラン国と連絡をとっていたようで、窓際に立って外の景色を眺めていた。

「おい」

「あの」

 日が沈み、ラグとオーカスは同時に呼び合う。そして同時に言う。

「何か?」

「先に言え」

 こうなると、元々口数が少ないラグが先に言う事はない。

 オーカスは少し間をおいてから口を開いた。

「水の鍵の継承者は、魔法攻撃が得意なケルティック将軍だと思っていました。当てが外れて残念です」

 ラグは頭を拭いていたタオルを肩にかけてから言う。

「その将軍に兄弟や姉妹がいるってガイドが言っていただろ」

「ええ。でも敵国の要人という事もあり、我が国の資料には鍵の継承者の名が記されてなくて――」

「それなら、俺やリー家のように、継承者が親という可能性もあるな」

「家族の誰が鍵の継承者でも、王宮に住んでいたら会うなんて無理です」

 オーカスは、窓にもたれて日暮れ時の外の景色を眺めながら会話を続ける。外から監視されているとも気付かずに。

「ラグは何を言おうとしたのですか?」

「日が暮れたし腹が減ったから、お前と飯でも食おうと思ってな」

 ラグは適当に頭髪を掻き分けてから上着を着る。

「では何か食べに行きましょう」

 オーカスは歩き出した。

 ラグも一緒に歩いてオーカスの背中を軽く叩いた。

「元気を出せ。チャンスはそのうちやってくる。リクナの酒場で飲んでいた俺のように」

 オーカスは横に並んで一緒に歩くラグを見上げた。

「いつも茶化してばかりなのに、今は優しくして下さるのですね」

「まあ。鍵の事だからな。他人事とは思えん」

 ラグもオーカスを見下ろした。

 二人は部屋のドアの前で立ち止まった。

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