第63話:リー家の屋敷13
戦いながら話を聞いていたラグは驚く。
「あいつ。マルチな魔法使いじゃないのか!?」
巨大な石を受け止めている火の盾に守られながらラグは戦いを続け、後方支援をしているオーカスを見る。
オーカスの表情に全く余裕が無い。目は釣り上がり眉間にシワが寄っている。
「私の魔法を見破るとは、鍵の継承者だけの事はありますね。それなら、私の魔力をもっと高めて、上級の火の魔法をあなたにぶつければよいだけの事。理論的には可能なはず!」
オーカスは火の盾の横に火の剣を作り出す。
「もっと火の魔力を練り上げ、剣の刃を鋭く尖らせて高温にすれば、いかに鍵の魔力で作られた巨大な石といえど、溶岩になって融け落ちるはず。行け! ファイアソード!」
オーカスは火の剣を白い影に飛ばした。
白い影は両手を広げてもう1つの巨大な石を作り上げ、その石に土の魔力を注ぐ。
「いくら火の魔力を高めようとも、雷の魔法使いの攻撃が土属性の私に効くはずがないと言っておるのが、まだ判らぬのか!」
オーカスが飛ばした火の剣は巨大な石に突き刺さるが、土の魔力に負けて火の剣は粉々に砕け散った。その衝撃はオーカスの体を通り抜ける。
「くっ……」
全身を揺さ振られるような衝撃を受けて脳震盪を起こしたオーカスは集中力が途絶え、オーカスが触れていた魔法器から魔力を帯びた光が消え去った。
同時に火の盾が消えて、ラグとオーカス目掛けて巨大な石が落下する。