第62話:リー家の屋敷12
「沼を私の魔法で凍らせます。足元が硬くなれば動きがもっと楽になるはずです」
オーカスは氷の魔法を使い沼を凍らせてラグのために動きやすい足場を作っていく。
後方支援でオーカスが火の魔法を使い蔓やゾンビを一掃するので、ラグに白い影を攻撃するチャンスが幾度となく巡ってくるようになった。
ラグは白い影に近づき剣を振る。
白い影はラグの剣から逃げていたが、何度目かのラグの剣が左横腹をかすめた時、白い影は左横腹を押さえ歯軋りをしたあとにラグに右の掌を見せた。
「お前ら如きにやられる私ではない」
白い影は新たな土魔法を使って空中に巨大な石を発生させた。魔力によって空中に浮かぶ巨大な石をラグに投げつける。
オーカスは魔法器に触れ巨大な石に対抗する火の魔法を発動する。
「危ない! 炎の盾よ」
ラグとオーカスの頭上に部屋いっぱいに輪を広げる魔方陣が現れ、輪に炎が燃え盛り盾となって巨大な石を受け止めた。
しかし、炎の盾は石の動きを受け止めるのが精一杯で、巨大な石は炎の盾の上に載ったままになっている。
「土の魔法の弱点は火の魔法なのに、どうして石は火の熱で溶岩にならない?」
オーカスは火の魔力を高めるために魔法器に触れて意識を集中する。
白い影は必死に戦うオーカスを見て嘲笑った。
「お前は、元々土属性が弱点の雷の魔法使い。魔法器を使い雷の魔力を火の魔法に変換しても、本質が雷の属性である以上、火の魔法は雷を帯びてしまい、土属性に勝てなくなるのよ」