第59話:リー家の屋敷9
「家族を殺しに来た!? 違う。もう屋敷の人々は死んでしまって、今は」
オーカスはゾンビを倒しながら説明をするが、白い影は声を大きくしてオーカスの声を消してしまう。
「死んだのは、お前が殺したからだ!」
興奮した白い影の魔力により今度は壁や天井から蔓が伸びてきてオーカスの手足に巻き付く。
「わっ!」
蔓はオーカスの手足を引っ張り持ち上げてオーカスの体を壁に磔にした。
オーカスは手足に巻きついた蔓を引き千切れないものかと抵抗しながら説明を続ける。
「屋敷の人を殺したのは私ではありません。私は鍵の継承者の護衛に来たのです。カレン・シーセン・リー。これほど強大な土属性の魔力を持つあなたは、鍵の継承者のカレン様なのでしょう?」
オーカスの言葉に、白い影は更に興奮し、その魔力は屋敷全体を揺らす。
「やはりお前は鍵を求めて来たのね。絶対に許さない!」
その揺れは、別の部屋にいたラグ自身も揺らした。
「なんだ、この揺れは? 何が起こっているんだ? もしかしてあいつの身に何かあったのか!?」
ラグは来た道を急いで引き返す。その速さは尋常ではない。廊下の角を曲がる時に移動速度がおちて姿が見える以外は姿が擦れて見えない。
「おい、どこだ? 返事をしろ!」
何回か叫んでいるうちに、ラグの声がオーカスに届く。
「ラグ殿。私はここです」
ラグは呼ばれて、扉が開けっ放しになっている部屋を覗いた。
「ここか?」