第58話:リー家の屋敷8
「きっとここが三児の母親であるカレン・シーセン・リーの部屋。でも、リビングにもこの部屋にもいないとなると、彼女はどこに?」
オーカスが次の場所を探すため、部屋の出口に向かおうとして体の向きを変えた時、目の前に白い影が現れた。
白い影は長い髪を振り乱して言う。
「殺す! 生かして帰すものか!」
オーカスは、反射的に後ろに飛び退いて腰の剣を抜いて構えた。
「お前が魔物か?」
白い影は言う。
「魔物は、死をなんとも思わず、戦いに明け暮れるお前たちのほうだ」
同時に床に小さい魔方陣がいくつも浮かび上がり、魔法陣の中心から剣と盾を持ったゾンビが次々と現れた。
オーカスは、剣を構えながら剣についている魔法器を作動させる。
「このゾンビは、土属性の魔法生物。弱点は火の魔法。ならば出でよ。炎の鳥フェニックスよ」
オーカスの剣から燃え盛るフェニックスが現れ、室内を舞ってゾンビを燃やして倒していく。しかし、現れるゾンビの数は多く、フェニックス一体で全てのゾンビを倒しきれない。
「上位の魔法生物を何体も作り出し操るとは、なんて強大な魔力だ」
オーカスは剣にも火の魔力を宿してゾンビを切り倒していく。だが、どんなに倒しても床にある魔法陣からゾンビが次々と現れるため、前に進めず白い影に近づく事ができない。
「あなたは一体何者ですか? なぜ私を襲うのです?」
「お前が家族を殺しに来た侵入者だからだ」