第52話:リー家の屋敷2
オーカスは、バランスを崩して落ちそうになり、とっさに体を前のめりにして地竜の鞍に掴まった。声を掛けても地竜が言う事を聞かないため、オーカスは地竜から降りた。
隣を見れば、ラグの地竜も立ち止まって歩こうとしない。上ではラグが地竜の尻を叩いて前へ進ませようとしている。
「なぜ止まる? さあ、行くんだ」
オーカスは地竜の首を撫ぜた。
「どうして歩かないのですか?」
「くるるん。くるるん」
地竜はオーカスの言葉に反応して鳴くが、オーカスが手綱を引っ張っても前に進もうとしない。
ラグはアメシスト色の目をリー家の屋敷に向けて言う。
「きっと、あの屋敷に昨日いなかった魔物とやらが来ているんだ。こいつらはそれを感じ取って進もうとしないんだろう」
ラグは地竜から降りた。
「仕方無い。歩いて行くか」
なんの迷いも無く道を進むラグをオーカスは追いかける。
「ちょっと待って下さい。私は、シーライト将軍から、鍵の継承者の護衛を仰せつかっているのです。一刻も早く次の鍵の継承者の所へ行かなければならない身で、魔物に関わっている暇はないのです」
「だったら、お前一人で任務を遂行すればいいだろ。俺はお前と違って軍人でもなんでもないからな。好きにさせてもらう」
ラグはオーカスに背を向けて地竜を置いて歩いて行く。
「ラグ殿」
オーカスが呼んでも、ラグはどんどん歩いて行く。オーカスは、大きく呼吸をして息を吐いてから、ラグの左耳についているイヤーカフを見ながら言った。
「仕方が無いですね」




