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the keys  作者: 羽村奈留
48/158

第48話:白い影2

 ラーグは思う。これで楽になれる。と。

 ラーグの体は冷たい沼の中にどんどん沈み首まで入った時、闇の中に白い影が現れた。

「ラーグ!」

 力強い男の声はラーグに届くが、ラーグはその声の主を見ようともしない。

「ラーグ。何をやっている」

 白い影は沼の中に手を入れてラーグの腕を掴む。

「ラーグ。それはオフェーリアでも、君の部下でもない」

 白い影はラーグを地面から引き上げた。

 ラーグの腕の中にいたオフェーリアは、ラーグの手から滑り落ち、沼の中で悲痛の叫び声をあげる。

 ラーグは白い影の手を払いのけて抵抗する。

「何を言う。すぐそこにオフェーリアがいるのに」

 沼を見ると、オフェーリアがラーグの名を呼んで泣き叫び、その周りを無数の手がうごめいて副隊長と呼んでいる。

「私は皆の所に行かなければならないんだ。手を放してくれ」

 白い影はラーグを上へ引き上げながら言った。

「あれはオフェーリアでも君の部下でもない。よく見ろ。君にはその能力があるはずだ。邪悪なるものを退ける神聖な火の鍵の継承者としての能力が」

 その言葉のあと、ラーグを掴んでいた白い影は急に広がり、周りの闇を消して光に変えていく。

 沼の中では、オフェーリアと部下たちが光に晒され、ラーグを呼んでいた声が光を恐れる畏怖の声に変わり、オフェーリアの姿は溶け出して、ドロの体を持つ魔物へと変貌する。

 白い影の言った事は真実だったのだ。

 ラーグは自分の腕を掴んでいる白い影を見た。

「あなたは、一体……」

 ラーグは見るが、そこに腕を掴んでいた白い影はなかった。ラーグは光を掻き分けるようにして進み白い影を探す。

「どこにいるんですか?」

 立っているとも、浮いているとも分からない光の中。泳ぐようにして、ラーグは白い影を探し回った。

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