表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
the keys  作者: 羽村奈留
32/158

第32話:コトック家4

 コトック卿は周りを見回す。

「我が屋敷を攻撃したのは誰だ?」

 民の暮らしをよくするために、いくつもの地方政策を打ち出してきたが、そのたびに反対意見も多く、逆恨みされる事も少なくはない。コトック卿の頭の中に反対派閥の面々がつぎつぎと現れる。

 ラーグは先に進みガラスが割れた窓を発見する。

「父上。足跡が外に向っていてます。どうやらここから逃げたようです」

 コトック卿は、壁に手をついて窓の外をうかがうが、夜の闇のせいでよく見えない。コトック卿は、剣にある魔法器に触れ土魔法を発動して窓の外を調べた。土魔法を使うコトック卿の脳裏に、地面の様子が3Dの立体画像となって浮かぶ。

 地面にあるのは、雑草や木の幹、放射状に伸びている根、小動物や人間の足跡。ラーグが覗いている割れた窓ガラスの真下には、飛び降りたあと着地して逃げたと思われる足跡が複数あり、足跡は外へ向かって伸びていたが、外へは出ておらず途中で途絶えている。

「まだ、屋敷のどこかに潜んでいるのかもしれん。いいか、警戒を怠るな!」

 使用人は、コトック卿の指示でそれぞれの持ち場へ移動する。

 その時、新たな爆発音と共に女性の悲鳴が響き渡った。悲鳴はリビングからだ。

「キリエラ!」

「オフェーリア!」

 二人は駆け戻ってリビングに入る。最初に目に入ったのは、床に倒れている血塗れの使用人の死体。その先で黒尽くめの剣士が妹セーラの首を掴んで持ち上げている。

 セーラの手は力なく垂れ下がり、口からは泡を吹いている。

「セーラ!」

 愛娘の名を叫ぶコトック卿。

 妻オフェーリアは、既に首を切り落とされ床に横たわっている。

「オフェーリア!」

 ラーグも叫ぶ。

 キリエラは腹に剣が刺さった状態で床に座り込んでいた。

「キリエラ!」

 コトック卿は自分の妻の名も叫ぶ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ