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the keys  作者: 羽村奈留
29/158

第29話:コトック家1

 全焼前夜のコトック邸。

「おば様。これでいいですか?」

 オフェーリアは、盛り付けた肉料理を、隣にいるキリエラに見せた。

 キリエラは首だけを動かして隣の皿を見る。横を向くキリエラは、灰色の長い髪を上にあげてまとめているのが分かる。

「いい感じじゃない。でも直して欲しいことがあるわ」

「そ、それは……」

 オフェーリアは不安な表情をする。

 キリエラは、オフェーリアの表情を笑顔で見ながらフキンを取って手を拭いた。

「おば様じゃなくて、お母様。戦争が終わり、息子が無事に帰国して結婚したんだから、私の事は、お母様と呼んで欲しいわ」

「はい。お母様」

 オフェーリアはすぐ笑顔になった。オフェーリアの栗毛の長い巻き毛は彼女の笑顔を一層引き立てている。

 そんな二人に、別室にいる中年の男が声を掛ける。

「キリエラ。料理はまだなのか?」

「あなた。ちょっと待って。おば様、お母様と呼ばれて、今度はキリエラになったわ」

 キリエラは、オフェーリアに言うと、盛り付けた料理を自分の夫がいるリビングへ運ぶ。

 オフェーリアも料理を持って義母であるキリエラの後に続いた。

 二人が移動したリビングは、広さがあるのはもちろんの事、漆喰の壁には絵画が飾られ天井にはシャンデリアがあり、貴族階級ならではの豪華さがある。

 キリエラは料理をテーブルに置いて席に着く。

 オフェーリアも料理をテーブルに置いて席に着く。

「料理などは使用人に任せておけばよいのだ」

 偉そうに言う中年の男はキリエラの夫コトック卿のようだ。

「でも、たまには愛する人に手料理を作ってあげたいじゃない。ねえ。オフェーリア」

「ええ。お母様」

 オフェーリアは頬を赤らめて返事をする。

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