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the keys  作者: 羽村奈留
18/158

第18話:リクナの酒場4

 その話に、無関心だったラグが初めて興味を示した。

「敵国って、戦争を仕掛けてきたサザーランドだろ。なんでそんな敵国へ行くんだ?」

「鍵の継承者の護衛。私がシーライト将軍から仰せつかった任務なので」

 オーカスの表情が軍人として引き締まる。

「サザーランド国王は、秘宝を手中に収めんとして鍵を集めているという情報です。我がローラン国王は、ユーフォリアの平和のため、神々との契約を破ろうとするサザーランド国王の野望を阻止したいのです」

 ラグのアメシスト色の瞳にオーカスが映っている。

「国境の道は、どこも封鎖されていて通れねえよ。昼も夜も両国の兵士が睨み合っている状態だ」

 オーカスは自分で作ったサンドイッチを頬張りながら言う。

「でも任務なので」

 任務という言葉に反応して、ラグの表情がまた歪む。

「お前のようなガキが、敵国の兵士がうろうろしている、警戒厳重な国境をどうやって越えるんだ?」

 (いか)り口調になっているラグに、オーカスは穏やかな表情で言った。

「軍人とはいえ、過酷な任務を背負っている私の事を、心配しているのですか?」

 胸中を言い当てられ、ラグは一瞬赤面する。

「心配なんかじゃねえ」

 横を向いたラグに、娘がミルクを持って来た。

「お待ちどうさまです」

 ラグはテーブルに置かれたミルクを睨み付ける。

「くそっ」

 ミルクを一気に飲み干す。そしてラグは、笑いを我慢して店内へ戻ろうとする娘を呼び止めた。

「おい。俺にも持って来てくれ。その……、そいつと同じものを」

 ラグは視線をオーカスに向ける。オーカスに負けたようで悔しいのか、オーカスが大嫌いで虫唾(むしず)が走るのか、ラグの詳しい胸中は分からないが、オーカスが食べているパンの食事が欲しいと素直に言えないのは確かなようだ。

「畏まりました」

 娘はラグに笑顔で返事をした。

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