第147話:金髪のケルティック卿1
ラグたちを乗せた飛空艇は、巨大飛空艇の上で静止し、現地にいる誘導員に従って巨大飛空艇から少し離れた所に着陸した。
登場口に現れたラグは、目の前にそびえる巨大飛空艇を見上げる。
オーカスもラグの後ろから巨大飛空艇を見た。
「こうして改めて見ると、神々が創造された飛空艇は本当に大きいですね。名も無き土地で草木が育たないのは、あの巨大飛空艇の離着陸用に神々が態と作ったからだと、巨大飛空艇のシステムデータを解読している研究者が言っていました」
「神々は、なんでも作るんだな」
ラグはオーカスと一緒に巨大飛空艇から降りた。
砂地は、先の戦争の残骸が無数に散らばっていて、所々に人骨も見える。
誘導員はその砂地を踏み、搭乗口から降りて来たラグとオーカスを迎えた。
「ようこそ。まさか鍵の継承者が直々にお越し下さるとは思わず、今使いの者を出してここの責任者を呼びに言っておりますので、少々お待ち下さい」
使いの者が呼びに行ったという責任者は、誘導員の後ろの、現在ラグの視線の先にいて、こちらに向かって歩いて来る金髪の男性だろうか。
「私たちは、ローランの調査報告を受け取りに来たついでに、自己修復をしているという巨大飛空艇の視察をしに来ただけなので、どうかお気を遣わないで下さい」
オーカスの話し方からすると、誘導員はサザーランド国の人間のようだ。
ラグはオーカスの隣に立ち、陽の光を受けて白く光る砂地の眩しさに目を細めながら、金髪で肌が真っ白な賢者ケルティックにそっくりの紳士を見ていた。
オーカスも金髪の紳士に気付き、誘導員との会話をやめて笑顔でその紳士を待った。
紳士はエメラルド色の瞳でラグとオーカスを見ながら歩いて来る。
目の前の紳士はケルティック家の人間に間違いないとラグが思った時、紳士はラグとオーカスの前に立って手を出して握手を求めてきた。
ラグとオーカスは握手と挨拶を交わす。
オーカスは申し訳なさそうに言った。
「まさかサザーランド国の方に出迎えて頂けるとは思ってもみなくて、本当に有難うございます」
金髪の紳士はエメラルド色の瞳を細めて人懐っこそうな笑顔になって言う。
「いえいえ。実は私があなた方にお会いしたくて、鍵の継承者が到着したら私に連絡をするように誘導員に申し付けておいたのです。一応、私もケルティック家の人間なので」
品よく話すケルティック家の紳士はラグたちを巨大飛空艇へ誘導する。
ラグは誘導に従って歩きながら言った。
「貴殿をケルティック卿とお呼びしてよいのでしょうか? このたびのご不幸を、なんとお悔み申し上げたらよいか」
ラグはニックの死を悔やみ切れずにいるようだ。