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the keys  作者: 羽村奈留
141/158

第141話:ローラン国王11

 壁のスクリーンは外の景色を隈なく映し出し、体を淡く輝かせているオーカスが空の中に浮かんでいるように見える。そのオーカスの頭上、巨大飛空艇ノアの上空に六角形の光の板がいくつも現れ、一定の間隔で円を描いて並び魔方陣形となって回転しながら稲妻を帯びる。オーカスの魔力が増すごとに六角形の光り板の枚数も増え、回転速度があがるごとに発する稲妻の量も増えていく。

 サザーランドの兵士が国王に報告する。

「巨大飛空艇の上に、増大中の雷の魔力を感知。スピリット級です」

 サザーランド国王は言う。

「その真下に、(いかずち)使いの賢者シーライトの末裔がいる。多分、ケルティック卿も一緒にいるはずだ。感応魔法使いに至急連絡し、the keysの正確な位置を割り出せ」

 サザーランド兵士が感応魔法使いに連絡をとっている横で、もう一人の兵士が叫ぶようにして言う。

「大変です。巨大飛空艇が光線砲の発射段階に入っています」

 サザーランド国王が命令する。

「退避だ! 急いで弾幕を増やせ! 攻撃に備えろ!」

「退避、間に合いません」

「何!」

 サザーランド国王の表情が凍りついた時、巨大飛空艇から光線砲が発射された。

 同時にオーカスの鍵の(いかずち)魔法が炸裂する。

 両国の飛空艇団を巻き込むほどの太い光線は光の筋を伸ばしていくが、途中でオーカスの稲妻が光線を遮るようにして交わり、光線は稲妻と交わった所で折れ曲がり、突き刺さるようにして何もない大地に命中した。

 それは一瞬の出来事だった。

 光線と稲妻がやんだあと、オーカスは上空にある雷の魔法陣を使って空と大地で戦う者たちに言った。

「私は、ローラン国軍、シーライト将軍である。今回の両国の戦いを招いた戦犯である、ローラン国王を確保した。ただちに双方の攻撃を中止せよ。繰り返す――」

 オーカスは壁に映し出されている両国の飛空艇団や大地で戦う兵士を見ながら言葉を繰り返す。

 ローラン国王は、ラグたちの目が離れた隙に逃げようと、静かに床を這って移動して行く。

 それをニックが見つけた。

「誰が逃がすか!」

 ローラン国王の足元の床が波打って波紋が広がる。

 その直後、ローラン国王は苦しみ出した。

「ぐがが、かはっ…、がぐあ。助けてくれ」

 ローラン国王は床の上でのたうち回る。

 ラグがローラン国王を見ながら言った。

「ニック。ローラン国王に何をしたんだ?」

 ニックは、ローラン国王の腕から落ちた水のブレスレットを拾いながら言った。

「ちょいと水魔法を使って、ローラン国王の体内酸素濃度を薄くして酸欠状態にした。ほかにもいろいろ魔法をかけたから、今のローラン国王は全身の痛みと、痒みと、吐き気と、幻覚の恐怖体験中さ」

「助けてくれ。余が悪かった」

 苦しむローラン国王を、オーカスは冷たい視線で見下ろす。

「私の家族も毒により苦しみながら死んでいったのです。処刑される前に、少しでもその苦しみを知って頂かないと」

 ラグはメルトソードをローラン国王に向けた。

「処刑まで待っていられるか。家族の恨みを晴らすため、今ここで俺が殺す」

「ひいぃぃ」

 ローラン国王はメルトソードを見て、苦しみながら悲鳴をあげる。

 オーカスもラグに同意し、ローラン国王から雷のペンダントと土の指輪を取り上げて言う。

「そうですね。裁判もすぐには終わらないでしょうから、今ここで死んで頂いたほうが、私の家族も喜ぶかもしれません」

 ニックも二本の短剣を握って言った。

「俺も、ここでやっちゃうに、賛成」

 ラグたちが、それぞれの武器を構えた時、巨大飛空艇はまた船体を大きく揺らした。中にいるラグたちは足元をふらつかせてよろめく。

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