第129話:ゆりかご2
ラグは食い入るように見ていたが、キリエラとの違いに気付いてガラスケースから手を放した。
「そっくりだが、若過ぎる」
オーカスはガラスケースの横にある画面を見て言った。
「この女性は、製造番号コトック01‐224となっています」
ニックがラグに言う。
「神々は、神の姿に似せて俺たちを作ったそうだが、それがこれなんじゃないのか」
ラグが隣のガラスケースを見ると、ラグにそっくりな灰色の髪の男性が液体の中で眠っていた。
「今度は俺にそっくりだ」
「ラグより若くて素直そうだ」
ラグがニックを睨んでいる横でオーカスは、ガラスケースの横にある画面を見て言う。
「こちらは、製造番号コトック02‐225、となっています」
隣の列のガラスケースを見ると、賢者リーにそっくりな女性と男性が液体の中で眠っている。
オーカスは画面の情報を次々に読んでラグたちに伝えた。
「製造番号リー01‐212と、リー02‐213です」
次の列ではオーカスにそっくりな女性が液体の中で眠っている。
「私そっくりの……」
オーカスは画面情報を読むのを忘れてガラスケースに入った自分そっくりの女性を見ている。
ラグとニックもオーカスにそっくりな女性を見た。
「そっくりというより、年恰好といいオーカスそのものじゃないか」
「うん。膨らんでいる所といいくびれている所といい、全く同じだねぇ」
ラグとニックの視線が下半身へ移動した時、オーカスはガラスケースに飛びついて、液体の中で眠っているオーカスにそっくりの女性の裸を隠した。
「私の裸を見ないで。あ、その、私じゃないんですが、この女性は見ないで下さい」
「すまん。つい見てしまった」
ラグはオーカスの心情を察してすぐに謝るが、ニックはにやつきながらオーカスに近づく。
「画面情報を読んでくれよ」
「読まなくても、製造番号、シーライト何番になっていると思いますから、ここは通り過ぎて、次へ行きましょう」
オーカスはラグとニックを連れて次の列のガラスケースへ行く。
液体の中には白い肌の金髪の女性が眠っている。
オーカスは画面情報を読む。
「こちらは、製造番号ケルティック01‐257です」
ラグは、ニックと見比べてから次のガラスケースへ行き、金髪の男性とも見比べる。
男性も金髪で白い肌をしている。
「夢の中で会った賢者ケルティックとは似ているが、お前の赤い髪と黒い肌は全然違うじゃないか。ニック、お前は本当に賢者ケルティックの末裔なのか?」
ニックは笑いながら言った。
「いきなり何を言うかと思えば、俺は正真正銘ケルティックの末裔だよ。腕に水の鍵があるのを見たでしょ」
ニックがオーカスを見ると、オーカスは確かに水の鍵が腕にあったと頷く。
ニックはガラスケースに入っている金髪の男性に指をさして言う。
「それにほら、中の男の股間を見ろよ。俺と同じ大きさ」
オーカスは赤面した。