表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
the keys  作者: 羽村奈留
126/158

第126話:巨大飛空艇7

 その時、ラグの体の中で賢者リーの声がした。

『私の名を呼んだという事は、keysになる覚悟ができたという事でしょうか? 賢者コトックの末裔、ラーグよ』

 ラグは顔を上げる。

「賢者リーなのか!」

 ニックはラグを見る。

「どうした。ラグ?」

「賢者リーの声が聞こえる」

「賢者コトックじゃなくて、賢者リーの声が聞こえる!? 火の体質が土の声を聞くなんてありえん」

 ニックは水魔法を使いラグの腕に触れてラグの体内を調べた。

 ラグの体の中で賢者リーの声は今も響いている。

 それはラグの腕を触るニックにも伝わった。

「頼む。賢者リー。オーカスを助けてくれ」

『keysになる返事は頂けないようですね。さて、あなた自身の治療がすんでいないうちに、ほかの者を治療するのは賛成できませんが、あなたがこのリーに初めて向けた誠実なる願い。私は、ユーフォリアの土の意思を持って、叶える事に致しましょう』

 オーカスの体が淡く光りだす。オーカスの体に刺さっている剣は原子レベルで変化を起こしてオーカスの血肉に変わり、損傷した細胞を修復していく。

 ニックはラグの体内を調べつつ、体が修復されていくオーカスを見ながら言う。

「どうやらラグの体内にあるナノマシーンのメモリーに、ドクター・リーのプログラムがコピーされているようだ。それがドクター・コトックのプログラムになんらかの作用をもたらして、あんたは火の体質でありながら土の、それも上級魔法が使えるみたいだ」

 ラグは自分の両手を見て言う。

「俺は、何もしていないんだが」

「無意識に魔法を使っているのか」

 ニックが、こりゃ先が思いやられるなと思っていると、ニックに賢者ケルティックの声が届いた。

『ラーグは戦闘ストレス反応を伴った心的外傷後ストレス障害者だ。現実逃避・アルコール依存・食事障害・不眠・集中力低下により、思うように魔法が使えん。賢者リーの癒しと、私の体調変化の魔法を用いて治療しているが回復は芳しくない。現在は、(いかずち)の鍵の継承者の存在のみがラーグになんらかの影響を及ぼし、アルコール依存・不眠・食事障害を軽減させ、火と土魔法までも発動させている』

 ニックはラグを見た。

「オーカスが将軍だろうと誰であろうと、あんたはオーカスの保護者なんだな」

 心配そうな表情でオーカスを見ているラグ。全てを失ったはずの灰色の髪をした男は、気付かないうちに大切なものを見つけていたようだ。

 賢者リーによる土魔法の治療は順調に進み、約10分ほどでオーカスの傷の治療は終了した。

 オーカスは目を開ける。最初に視野に入ったのは、髪の赤いニックだった。

「ニック……?」

「よう。目が覚めたか」

 次にオーカスはラグを見る。

「ラグ」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ