第123話:巨大飛空艇4
オーカスは言う。
「ラグ。危ないので私の近くにいて下さい」
ニックも言う。
「魔法が使えないあんたは、俺たちの陰に隠れていてくれ」
金属兵士は更に増え、オーカスが作るエネルギーフィールドの中にも金属兵士は現れる。
「どうやって隠れるんだ? 俺の足元からも現れるんだぞ!」
ラグは我武者羅に剣で何回も金属兵士を叩いた。金属兵士は叩かれた所を凹ませながらラグに近づく。
ニックはウォーターカッターで、ラグが戦っている金属兵士を倒して、足元から現れた金属兵士をも倒していく。
「次から次へと、きりがねえ」
「壊しても溶かしても、一度床になって、また金属兵士として再生してきますからね」
オーカスも額に汗が滲んでいる。
次に壁から白い霧状のものが吹き出る。
「ぷはぁっ。なんだこれは!?」
ラグは鼻と口を手で覆う。
ニックが水の壁を作り、毒ガスを遮断するためにラグたちを囲んだ。
「今度は毒ガスを出してきやがった」
「ガスを少し吸い込みました」
オーカスが胸を押さえてよろめいた。
霧状のガスは白いカーテンとなって三人の視界を狭くしたため、金属兵士の居場所を把握するのが難しい。
金属兵士は気付かれないように静かにオーカスに近づいた。水の壁でゆらゆらと揺れているオーカスの姿に狙いを定め剣を刺した。
オーカスは気配を感じ体の向きを変えた瞬間に胸を貫かれた。
「あっ。かはっ……」
オーカスが口から血を吐いて床に両膝をつけた。
「オーカス!」
ラグはオーカスの胸を刺している金属兵士の腕を掴んで動きを止める。
ニックは新たに作ったウォーターカッターを投げてオーカスを刺している金属兵士の腕と体を切断した。
ラグはオーカスに駆け寄る。
「やられたのか?」
剣はオーカスの銀の鎧を貫通しオーカスの体に刺さっていた。
ニックも駆け寄り、オーカスの剣が刺さっている胸を見た。
「完全に急所を貫かれている。剣は抜くな。抜いたら多量の出血でオーカスは即死だ」
ラグはぐったりとしているオーカスの体を支える。
「俺の声が聞こえるか?」
「ラグ。大丈夫です。私はまだ動けます」
オーカスはラグに支えられながら剣の魔法器に触れ、エネルギーフィールドを維持しながら周りを囲む金属兵士に火の魔法を浴びせて倒していくが、オーカスの意識がだんだん薄れていき、オーカスはラグにもたれるようにして倒れた。