第122話:巨大飛空艇3
中は金属で囲まれた通路になっている。壁の色は白だったり鋼の色だったりとまちまちだ。
ラグたちが中に入ると、侵入した穴は勝手にコードや金属板が伸びて塞がっていく。
ニックは言う。
「中は暖かい。生き返る」
「なぜローラン国王は俺たちが邪魔なんだ?」
ラグの問いに、ニックは通路を進みながら答えた。
「俺たちも人として個別に別れているが、巨大飛空艇にアクセスすることができる鍵だからさ。サザーランド国王は、数年前にローラン国王が秘宝を狙っているという情報を入手していた。真意を確かめるため、ローラン国王に手紙を送ったら、ローラン国王はサザーランド国王が秘宝を狙っているとして戦争を仕掛けてきやがった」
オーカスはニックと共に歩きながら言う。
「そんなはずはありません。最初に襲われたのは我が国の街アルランドです。サザーランド国は幾度となく侵入を繰り返し、我々は長き日々をかけてアルランドで戦い続けたのですから」
「その前に、アルランドと隣接していたサザーランドの街が襲われている。将軍のあんたに知らせてないだけさ」
「そんな。ローラン国王が私を謀るなんて」
オーカスは驚愕の表情が隠せない。
ラグはニックと歩きながら怒りが篭もった声で言った。
「なら聞くが、サザーランドはなぜ俺の家族を殺した?」
「それは俺たちサザーランドがやった事じゃない」
「家族を襲った黒い奴らの服にはサザーランド国の紋章があったぞ」
ニックは驚き、目を見開いてラグを見る。
「サザーランドの紋章!? 嘘だろ。サザーランドにも王直属の特殊部隊はあるが、黒い服じゃない。コトック家を襲う命令も出していない」
「じゃあ一体誰が俺の家族を襲ったんだ?」
ラグが言った直後に、ラグたちに突然光線が降り注いだ。
「危ない!」
オーカスは魔法器に触れ雷の魔法でエネルギーフィールドを作り光線を屈折させて撥ね返す。
機械は撥ね返ってきた光線を受けたものから壊れていくが、それ以上に機械は次々と壁から出てきて光線を出してラグたちを襲う。
三人は物陰に隠れ、ラグは光線を出している機械の様子をうかがった。
「これじゃあ光線の集中豪雨だ」
「私が雷魔法でエネルギーフィールドを作って皆を囲みますから、その中に入って移動しましょう」
オーカスは三人がすっぽり入るエネルギーフィールドを作った。
三人が移動するさまを、ローラン国王は体に繋がった機械により感じ取り把握していた。
「秘宝の中なら簡単かと思ったが、the keysを、そう易々と始末する事はできぬか。ならば――」
ローラン国王の指にある土の指輪は輝き、ローラン国王の指示に従う。
今度は、床から金属の体を持った兵士が現れてラグたちを襲う。
ラグたちは、オーカスが作り出しているエネルギーフィールドで守られた身で戦う。
ニックはウォーターカッターを投げて金属兵士の体を切断して倒していく。
オーカスは魔法器を使い雷魔法で金属兵士の動きを止めて火の魔法の熱で兵士をまとめて溶かしていく。
ラグは瞬間移動で兵士に近づいて剣を振り下ろすが、剣が鈍い音と共に折れて刃が宙を舞って床に落ちた。
「こいつら硬過ぎて、斬れん」
金属兵士の剣を奪い取り、また剣を振り下ろすが、剣の刃が金属兵士の体に当たって火花が散るだけで、金属兵士を倒すことができない。