第118話:再会3
オーカスの書類を持つ手が小刻みに震え出す。
「秘宝が見つかり、ローラン国王の手に委ねられた今、賢者シーライトが何を言っているかなど、今のあなたには関係の無い事です」
ラグはオーカスに歩み寄り机に手を置く。
「キー・スピリッツの声が聞こえん俺でも、賢者コトックが今何を望んでいるか分かるのに、今のお前は、聞こえているはずの賢者シーライトの声を無視して、将軍の位にすがりつき、事を無難に収めるために、マジックナイトの称号もただの飾りにしようとしている。ある意味、賢いな」
ラグは言ってから、オーカスの動かない表情に気付いて言い直す。
「いや。相手が王だけに、どうする事もできなくなった自分を認めたくなくて、将軍職を隠れ蓑にして、キー・スピリッツの声から逃げているんだ。お前は!」
ラグに心情を言い当てられて、オーカスは顔色を変えて立ち上がった。人生経験の少ない十七歳という若さゆえに、表面を取り繕う事がまだできないのだ。
「ラーグ殿。私はオーカスとしてあなたと共に旅をしましたが、今の私は将軍としてあなたの前にいます。将軍である私をさげずむ言動は慎んで頂きたい!」
ラグは立ち上がったオーカスの手を掴んで引っ張る。
「お前が将軍だとしても、今の俺には関係ない。来い。オーカス」
「何をする!」
オーカスはニックに言う。
「ニック。ラーグ殿を止めて下さい」
ニックはソファーに座ったまま言った。
「将軍の姿をして、オーカスの声で言われてもねぇ……」
「ニック。お前も立て。ローラン国王から鍵を取り返すぞ」
ラグはニックを呼びながら、言う事を聞かないオーカスを担ぎ上げる。
オーカスは、ラグの肩の上で手足をバタつかせている。
「将軍である私に許しもなく触れ、我が身を拘束するなど、無礼にも程があります」
ニックはラグの隣に立ち、ラグに担がれながら理屈を並べて抵抗しているオーカスを見て言った。
「思春期真っ盛りの息子を持つと苦労するねぇ」
「ニック。お前も口を開けていると舌を噛むぞ」
ラグはニックの腰に手を回す。
「もしかして、また?」
ラグはニックの予想通り瞬間移動をして部屋を出た。二人を抱えていてもラグの移動スピードは艇内を見回る兵士の動体視力が追いつかないほど早い。
途中通路を移動しながら窓を見れば、ラグたちがいる飛空艇は、巨大飛空艇と一緒に宙に浮かんでいる。
ラグは巨大飛空艇へ行くために開いている窓から外に飛び出した。
もしろん、下には雲海が広がっている。