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the keys  作者: 羽村奈留
108/158

第108話:名も無き土地6

 その後ろで親衛隊が小走りをする足音が聞こえる。

 直後にニックが声を上げた。

「何をするんだ。放せ!」

 ラグが後ろを見ると、ニックが取り押さえられている。ラグは王に進言した。

「恐れながら、あの者は襲われた我々を助けてくれた、いわば命の恩人。丁重に扱って頂きたく」

 ローラン国王は満足な表情を浮かべて言う。

「久しいのう。ラーグ。アルランドの英雄としてそちに褒美を取らせたのが、昨日の事のように思える」

「退役をし、地方に下った私のような者まで覚えていて下さり、恐悦至極に存じます」

 ラグは戦争の惨劇に怯えていた過去を思い出した。王の御前のため片膝をつけて頭を下げたままだったが、ラグの呼吸速度は早くなり、小走りでもしたかのように口から息を吐き出している。

 ローラン国王はニックを見た。

「あの者は、サザーランド国のケルティック家の者だと、シーライト将軍より報告を受けておる。丁重に扱うが、もしもの事を考え、常に監視をつけることにした」

 ニックは親衛隊に掴まれた腕を振る。

「だったら放せ」

 ローラン国王は親衛隊にニックから手を放すように指示を出す。

 親衛隊はニックから手を放した。

 ニックは掴まれた手をさすって、親衛隊の足元にまた唾を吐く。

 ローラン国王はニックに冷たい視線を送っていたが、またオーカスを見下ろした。

「シーライト将軍。鍵が4つ集まり、秘宝がこの地の空にあるという事だが?」

 ローラン国王は秘宝を探して空と大地を見渡すが、1年前の戦争で打ち落とされた飛空艇の残骸しか見えない。

 オーカスはローラン国王の顔色を伺いながら丁重な趣で答えた。

「水の鍵の継承者の話によると、この地の上空に秘宝があると、賢者ケルティックが伝えたそうです」

「まあ、よい。とりあえず、鍵を集め王家に伝わる儀式をここで行おう。それで上空に本当に秘宝があるのかが判る。そちたちも立つがよい」

 王の言葉のあと、親衛隊が立ち上がったオーカスの下へ行く。

 オーカスはタートルネックの中に手を入れて、オパールのように乳白色で虹色の艶があるペンダントを取り出した。それを黙って親衛隊に差し出す。

 次に親衛隊はラグの下に行く。だが、ラグは立ったまま動かない。

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