俺「能力カンストする代わりにウンコ漏らしやすくなる呪いの剣だと?買った!」
ここはアルパケチャムラの村。王都から遥か北に離れ、魔王軍の領域に近いこの村では、王の威光も届かず荒れた傭兵崩れや逃げてきた野盗たちが暴虐の限りをつくしていた。
野盗「ヒャッハーッ!女の子だーッ!」
傭兵「レ〇プしろレイプ!」
少女「イヤァーッ!誰か助けてぇーッ!」
村で唯一の酒場のすぐ外では、幼い少女が処女膜貫通レ〇プをされようとしていた。
少女父「や、やめてくだせぇ!その子は私共の大切な一人娘なんでやんす!!」
傭兵「うるせぇーっ!」ドゴォッ!
少女の父の右側頭部に傭兵の左フックが炸裂した。
少女父「グエェーッ!」
酒場の中へと吹き飛ばされた少女父は、脳を揺らされたためにたまらず嘔吐。
その様子を見ても酒場で働く村人たちは動けなかった。恐怖で支配された彼らは哀れみの目で少女とその父を眺めることしかできなかった。
少女「誰か!誰かーッ!」
野盗「ヘッヘッヘーッ!これで邪魔はいなくなったなぁーッ!それじゃあ早速処女卒業孕ませレ〇プと洒落込むか!」
傭兵「レ〇プ!レイプ!レ〇プ!レイプ!」
そのとき、野盗の右側頭部に飛んできたフォークが突き刺さった。
野盗「え……?にゃ、にゃんでぇ?」
それが野盗の最後の言葉になった。野盗の巨体はゆっくりと倒れ砂埃の地面と最期の接吻。
傭兵「だ、誰だてめぇ!」
俺「悪党に名乗る名前なんてねぇな」
傭兵「な、舐めやがってぇーッ!野郎ども!やっちまえ!」
酒場で飲んでいた傭兵の仲間たちがぞろぞろと外に出てきた。その数約50。
少女父「あわわわ……ダメだ……あの男殺されちまうよ……」
少女「に、逃げてください!私のことはいいですから!」
俺「フッ……逃げてくださいと言われて逃げる勇者がどこにいるんだよ。」
俺は背中に背負った剣の柄に手をかけた。
俺「こいつの出番のようだな」
傭兵「何ぶつぶつ言ってんだコラーッ!」
傭兵が俺に斬りかかった。両手を高く上げ、剣を振り下ろす。
だが、剣を振り下ろした先に、すでに俺の姿はなく、剣先はただ、地面を抉っただけだった。
傭兵「な、何ィ!?」
俺「秘剣『逆さギロチン』」
俺は傭兵の隣に立っていた。剣はすでに抜き放たれ、刃先は上を向き、傭兵の両腕の上にあった。
傭兵「て、てめぇ……いったい何を……!?」
傭兵の疑問の答えはすぐ目の前に現れた。刃の下にあった傭兵の腕に、まっすぐな赤い線が走った。
その線から、二本の腕は主の体を離れ、剣を握ったまま地面に落ち、鈍い音を立てた。
傭兵「お、お、お、俺の腕がぁぁーッ!」
ぶしゅううううう。数秒前まで傭兵の両腕があった場所から鮮血が噴き出し、地面を赤く染める。
俺「『逆さギロチン』……相手が武器を振り下ろすとき、その運動の軌跡を予測し、刃を配置しておく技だ。なかなかいい太刀筋だったよ。おかげでサックリ切れたぜ」
ぶしゅううううう。俺の服の尻の部分から糞便が噴き出し、地面を茶色く染める。
俺「チッ……切れ味は抜群だが、この『呪い』だけはどうにもならないな」
少女「あ、あれはいったい!?あの人、糞を漏らしています!」
少女父「き、聞いたことがある……東のほうに、所有者が途方もない力を得る代わりに、戦っている間、糞が止まらなくなる魔剣があると」
傭兵たち「て、てめぇ!よくも兄弟をッ!オラァーッ!」
傭兵たちは一斉に俺に斬りかかった。
俺「ふん……」
俺はこともなげに剣を振るい、赤と茶の残酷絵画を描き続ける。
少女「す、すごい……一振りで三人を」
「ひ、ヒィィィーッ!」
傭兵たちの戦叫に恐怖の悲鳴が混じり始めた。
頃合いだな。俺は剣を掲げ、言い放った。
「力の差は分かっただろう!今逃げれば見逃してやる!次にこの村の近くで姿を現したらこの剣でバラバラにしてやる!分かったら散れッ!」
「だ、ダメだ!逃げろーッ」
「あっ!おい待て!俺も!」
傭兵たちは散り散りに逃げて行った。
俺「……勝ったか……ふぅ……」
俺は地面に座り込んだ。尻は最初から糞まみれだ。地面の血と糞で汚れても気にならない。
俺はそのまま酒場のほうを見る。
村人たちは、恐怖と蔑視の視線を向けていた。
村人A「ば、化け物……」
村人B「き、きたねぇ……」
まっ。そうなるだろうな。こういう扱いにはもう慣れっこだ。
俺は立ち上がり、よろよろと村の出口のほうへと向かった。
が、すぐにバランスを崩し、よろめいた。
いかん。思った以上に糞を出し過ぎた。
俺の視界の中で地面が迫ってくる。
と、突然、地面が止まった。いや、自分の体が支えられたのだ。
少女「ど、どこへ行くんですか……?助けてくれたお礼をさせてください!」
俺「き、君……僕が怖くないのか?汚いと思わないのか?」
少女「糞まみれになってまで私を救ってくれた人を汚いとか怖いなんて思うわけないじゃないですか!さっ、こっちへきてください。うちで体を洗いましょう。」
俺「あっ……」
いつの間にか、俺の目には涙が浮かんでいた。呪われた剣を身に着け、どんな誹りを受けようとも悪と戦い続けると決意した日から、流れることのなかった涙。
俺は少女を救った。だが、同時に、少女が俺の心を救ってもいたのだ。
俺「か……」
俺「かたじけない……感謝する」
少女「ううん、こちらこそ!ありがとう」
感謝の言葉をかけるのも、かけられるのも、ずいぶん久しぶりだ、と俺は思った。
数年後、魔王が王都へ攻め入ろうと軍を率いてやってきたとき、王都北の小さな村の戦士たちに撃退され、敗走していったという。
その戦士の中に、剣を朱で、尻を茶で染めた一人の男の姿があったというが……
それはまた、別のお話……
終わり