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第3章 出会いと再会

 翌朝目がさめた後、私は大名たちと兄さまと一緒に朝食をとることになっているため、葵が私の準備のため急いでやってきた。そして私に鈴蘭の柄の着物を着せた。支度を終えて私は昨日の大部屋に重い足取りで向かった。

「おはようございます。皆様、兄さま方。」

「おいで、ひなた。お前は伊吹の隣へ行きなさい。」

と兄さまはニコッと微笑んだ。

「はい。」

そして私は、兄上の隣に座った。

「おはよう、ひなた。寝ぼけた顔をしているぞ。」

「兄上は、寝てもその嫌味は良くならないみたいね。」

と言うと、兄上は私にニヤっとした笑みを向けた。

「おはようございます。よく眠られましたかな?麗しいお姫様。」

「はい。おかげさまでよく眠れました。」

「今日の着物もよくお似合いですな。妹様。」

と東さんがふてぶてしい笑みを向けた。なんか企んでいるのかなー。

「ありがとうございます。」

「そういえば、ひなた、朝食が終わったら護が遊ぼうと言っていたよ!」

と西山のおじさんが、言った。

「ほんと!!護と会うの久しぶりだー!!」

数ヶ月ぶりに護に会えると思ったら、嬉しくてつい声を荒げてしまった。

「はははは!やっぱりお前猫かぶってたなー!」

と西山のおじさんがガハハと笑ったので恥ずかしくて、顔が赤くなってしまった。隣で、兄上がこっそり笑っていた。「おやおや、西山殿の息子と妹様は仲がよろしいのですね。」

「はい、幼なじみですので。」

「ちょうど、私の愚息も今日来ていますので、連れ出しては下さいませんか?ちょうど、退屈しているようだったので、」

「はい、わかりました。」

「では気をつけて行っておいで。」

「はい!兄さま。西山様、東様、護と右京様に中庭でお待ちいただくようお伝え下さい。」

「了解致しました。妹様。」

ニヤニヤしながら答えた。西山のおじさんは親指を立ててニカっと笑った。そして私は、そっと静かにおしとやかに襖を閉めた。


 私は動きやすい格好になるために自分の部屋に戻ろうと廊下を歩いていると、

「お姫様。」

と声をかけられた。振り向くとそこには南野様がいた。

「どうなさいましたか?南野様。」

「いえ、お姫様にこの花を贈ろうと思いまして、」

そして、南野様は綺麗な鈴蘭の花束をくれた。

「あ、ありがとうございます。でも、どうしてこれを?」

「いえ、その着物がとてもお似合いでしたので。」

と南野様はとっても美しい顔で私の目をじっとみて微笑んだ。私はなんだか恥ずかしくなったのですぐに目をそらした。

「ありがとうございます。では、もう行きますので。」

「お姫様、どうか怪我だけはなさりませんよう。そして、あの息子さんたちに何かされたら私のところへおいでなさい。」

南野さまが急に顔を近づけたので、ますます恥ずかしくなった。

「はい!!では!!」

私は急いで部屋に向かった。南野様はかっこいいて言うよりも美しいって感じで、いつも距離が近いから、すっごくドキドキする。でもあの人なんだかわからないけれど、たまに怖くて背筋が凍るのよね。なんだかわからないけれど、、

そして私は、動きやすい着物に着替えた。


 中庭に行くと、護と右京さんらしき人が立っている。私が2人に近づいて行くと護が気づいて懐かしい顔でニコッと笑い、そして護は腕を大きく広げたので私は護の腕の中に飛び込んだ。飛び込んだというよりも、突進にちかかったかもしれない。

「護ー!!!久しぶりだね。」

「いってーな!お前の突進を久しぶりにくらうと、俺の肋骨が折れそうだぜ。」

「失礼なやつめ〜!このこの!」

私は護のほっぺを思いっきりつねった。護は痛い痛いと言いながら笑っている。

「初めまして、姫様。自分は東が次男の右京と言うものです。よろしくお願いします。」

「あ、初めまして。私のことはひなたとお呼びください。敬語もいらないですよ。」

「わかったよ。君も、敬語はいらないよ。」

と右京はニコッと笑みを浮かべた。右京は笑うと、えくぼができるみたいだ。まるで幼い少年のようでなんだか可愛い。

「さぁ今日は何をする?ひなた?」

「やっぱあれでしょ!」

と私が言うと、護は小さい頃から変わらないいたずらっ子の顔をした。

そして私たちは、小さいころから愛用している秘密基地へ向かった。護と毎日のように遊んだあの秘密基地へ。


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