スケルトン、ゆえに透けるます
「なぁなぁスケルトン、なんですぐ死んでしまうん?」
「なんだよ急に、社会派にでも目覚めたのかゾンビくん? あと、既に死んでるから」
「スケルトンてさぁ、ファイアー効くじゃん? アンデッドだから」
「あー、きっついねぇ。火は辛いものがある」
「でも骨じゃん? 燃えるところないじゃん?」
「言われてみれば確かに。俺、骨密度は二十代だってこの間の健康診断で言われたし、たかだか肉を焼く程度の熱量じゃ俺のカルシウムはビクともしないぜ?」
「あ~出ました。スケルトンの骨自慢。骨なら俺も持ってます~! 肉も持ってます~!」
「もう僻み根性丸出しだな。まぁ、確かに不思議だ。人体を構成する骨の七割はリン酸カルシウムで出来ている。その融点は1670度、たかだかファイアー程度の熱量でどうにかなるアンデッドじゃないはずなんだよね、俺って」
「な、なんだよ急に、知性派にでも目覚めたのかスケルトンくん?」
「いや、スケルトン業界じゃ常識よ? 鉄は融点が1538度、銅は融点が1085度、人骨の融点を超える金属はプラチナかチタンくらいのものなんだぜ?」
「じゃあなんでファイアーが効くんだよ? 金属より頑丈って、かなりの大問題だぜ?」
「それが永遠の謎なんだよなぁ。なんで効くんだろうな? 俺の骨がどうにかなる前に、俺の剣とか盾の方が先に融けるはずなんだけどな~」
「あと、なんで風魔法が効くの?」
「え?」
「いやだって、普通に風って素通りするじゃん? いっつも空気読まないし」
「まぁ、確かに、風耐性あっても良さそうだよな。完全耐性とは言わないけど、九割減くらいの耐性があってもおかしくない。あと、後半については無視するからな?」
「ゾンビは解るよ? 切れる肉、燃える肉があるから。でも、スケルトンはなんで魔法が効くわけ? かなりの割合で気分の問題なんじゃない?」
「あー、言われてみるとそんな気がしてきた。……俺を燃やしたきゃ鋼鉄を融かせる程度の熱量を持ってくるんだな、はははっ! 風魔法? 我の隙間をすり抜けていきよったが、何かしたのかのう? ぐはははははっ!」
「なに急に変なセリフ喋りだして?」
「いや、予行演習。リハーサルだよリハーサル。考えてみると水魔法の耐性も割と怪しいところがあるよな? 聖水は別にしてさ」
「あー、確かに。……なにぃっ!? 俺のウォーターハンマーが効かないだとっ!?」
「くっくっく、我が骨の汚れを落としてくれたことに感謝しよう。さぁ、次の魔法は何かな? 魔法使いくん? かかってきたまえ!!」
「くっ、くそう。ファイアー! サンダー! ウィンドカッター!! アイスストーム!!」
「効かぬ! 効かぬわ! 全て効かぬわ!! ふははははははははは!!」
今日も忘れられた墓地は平和でしたとさ。
まさか、予約掲載投稿での一括投稿に失敗するとはな、ふはははは。