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シスコン転移者の英雄譚  作者: 初鰹
第一章~異世界「インセティクト」~
6/8

【筆剣】

「ふわぁ~」


今何時だ……って異世界か。学校もバイトもない。


俺はすぐに立ち上がり、部屋を出る。


「おっ、蓮斗君。起きたみたいだね」



リビングらしき部屋から、見ているだけでムカつくイケメンスマイルをむけてくる。


「ああ、今日から俺を強くしてくれるんだよな?」



リビングに歩きながら話しかける。



「うん、日が落ちるまではね。日が落ちてからは君の世界のことを聞かせてもらうよ」



それなら問題ない……ん?



「今の季節は?」



丁度冬とかだったらこちらが損をする。



「蓮斗君、絶対友達少なかったでしょ、こんなに疑り深い人久しぶりだよ……春と夏の間ですよ」



相変わらずの口調はともかく、それなら良いだろう。

嘘をついていたなら、話さなければ良いだけだしな。



「了解した」



「それでいいのだ蓮斗君! 朝ご飯を食べたら早速始めようか」



朝ご飯?

そう思ってテーブルをみると、目玉焼きにハム……案外普通だな。


「ああ、そうしてくれ」


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


ふぅ~普通にうまかった。


「じゃあ、早速頼む」



「いいよ、とりあえず外に出ようか」



外に出ると、大平原にポツンと藁人形が置いてある。


「まずは君の魔力属性を調べさせてもらうよ」



「魔力属性?」



「はぁ……説明しても無駄だろうから、とりあえずこの純魔石を握ってくれるかな」



人をイライラさせる才能でもあるのかコイツ……。

まぁいいや、この何かと綺麗な石を握ればいいんだな



「っ!」



白い……光?



「ふーん無属性。つまんないなぁ……まぁ魔力はそこそこみたいだし、なんとか……なるかな?」



何かあまり良くない属性みたいだな。



「無属性は何ができるんだ?」



小説だと、身体能力の強化とかそんな所だったような気がするが。



「何もできないよ?」




「え……何も?」



「うん、君は魔法の才能に乏しいようだよ。まぁ剣でもなんとかなるかな?」




才能が無い……異世界人補正とか無いのかこの世界。

でも剣も使ってみたいかも、いやでも血を見る事になるのか……ってか他に選択肢は無いのか。

槍とか棍棒とか…………いや、剣の方が汎用的か。



「まぁ魔法よりは絶対的に不利だけどね」



「なんでだ? 魔法を躱す事ができれば、間合いを積めた剣の方が有利になるだろう」



「君は僕の魔法を見ていなかったのかい? 速すぎて躱せないんだよ」



確かに、言われてみると一瞬だったな。



「まぁ、君にはしかけを用意しているから、剣でも大丈夫だろう」



しかけ?


「おい、しかけって──「剣を教えてほしいかい?」チッ……」



絶対コイツは好きになれない……強くなったら絶対に仕返ししてやろう。


「うんうん、それでいいんだよ。はい、とりあえず剣持って」



こっちに倒された剣をとる。左右に湾曲した歪な形だが、一応剣だ。



「その剣は僕の最高傑作、聖剣【ツングース】だよ。君にこれをあげるから、藁人形を切ってみなさい」



「うおっ……」


刃が剥き出しの剣を投げられた。

剣の柄をキャッチすると、お、お見事! とか言い始めた。いや、キャッチできないと切れるだろうが。

あ、かわせば良いのか、うっかりが多いとこの先危ないな……ま、とりあえずこの剣を観察するとしよう。

持つ部分は焦げた皮のような色をしている、質感も獣の皮のようだ。

刀身は長く、持つ部分から離れるにつれて細くなっている。大きさと形状からして両手剣だろう。

聖剣とか言っていたが、流石に地味すぎる……ただのホラか?


とりあえず、人形切れと言われたが……どうすればいいのだろうか?

重さは大筆と同じぐらいか、はらう感覚でいいのかな?



「ぐっ……」


剣を横にはらうが、すぐにとまってしまう。

書道のクセで速度が遅いのか? ……今度は行書書きの要領でやってみるか。

剣を水平に構え、一文字を書くように剣を振るう。


「はあぁぁっ!」──ズサッ。


よし……上手くいったかな?



「これでいいか?」



なんだ、大口開けて。

何かとミスったか……初めてだから仕方ないだろう?

いちいち馬鹿にされてたら流石にキレそうだ。


「あ、ああ……君はなにか武道でもやっていたのかい?」



「武道はやってないぞ?」



学校の授業で柔道をやらされた事ならあるが。


「へぇ……それにしては堂には入った動きだったけどね」



「あ~……まぁ、筆を振るのは得意だからな。字を書くときと同じだろう?」



【ツングース】

挿絵(By みてみん)

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