【神隠し事件】
二作目です。
駄文ですがよろしくお願いします。
「いってらっしゃい!」
「おう、いってくる」
二千十七年 四月八日。
俺は妹の加奈に見送られて、いつものように近くの書道教室へと歩く。
書道は三年程前から始めて、今では学生名人になるほど、俺の少ない楽しみの一つだ。
しかし両親が死んでからは、バイトが忙しいため、満足に通う事は出来なくなっていた。
中学生のバイトでは稼ぎが少なく、給料の多くをこれに費やしていた。
親の遺産はまだ残っていて、俺が中学を卒業まではなんとか食べていけるだけの額はある。
だが高校に行くとなるとお金がかかり、このまま書道教室に通っていると足りなくなる事は目に見えていた。
俺が高校に行くために、中学生になったばかりの妹を働かせたくはないので、少ししたら書道教室をやめてお金を貯めようと考えていた。
この日は加奈の誕生日、帰りに加奈から頼まれたショートケーキを買って、家へと歩いた。
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「ただいま~」
…………
あれ? 返事が無いなんて珍しいな、部屋いるのだろうか?
そう思い、俺はノックをして加奈の部屋に入った。
「寒っ」
中に加奈の姿はない、かわりに、四月にしては寒い空気が部屋に充満していた。
「おーい、加奈ー!」
呼びかけてみるが返事は無い。どこかに出かけているのだろうか?
だがカバンは部屋にあったし、鍵もそこに入ってるはずだ。
電話をかけてみるが、一向に反応がない、これは……いよいよ怪しくなってきた。
もしかして……誘拐?
いやいやいや、まさかな……明日になれば帰ってくるだろう。
そう思って俺は寝床についた。
翌朝も、加奈は家にいなかった。
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警察に捜索願いを出したが、手がかりも何もない為、特徴をラジオ放送する事しか出来なかった。
加奈の部屋を調べてみても手がかり一つなく、まるでその場から突然消えたかのようだった。
実は加奈以外にも、似たような失踪事件がこの日に多くおこったようで、世間では【神隠し事件】だと騒がれた。
この事件での失踪者は石田加奈を含めた百三十五名、男女は問わず、八割が小中学生だった。
警察の捜索も行われたが、結局何の手がかりも掴めず、一年程で捜索は打ち切られる事になる。
失踪者の家族は捜索を続けたが、資金関係で長くは続けられなかった。
ようやく雪が消えかけた、暖かい春の日。
俺はたった一人の家族を失った。
それから三年。
この事件での失踪者は、いまだ誰一人発見されていない。
うわぁ、成長してな……
あっとすみません、素がでてしまいました。
短いのもプロローグだけです。
人称が安定しないのも恐らくたぶんきっとプロローグだけです。