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お稲荷さま  作者: 麻本
8/18

キッコさんは何処に?

そしてもう一つの神社。

乾坤と言う白狐が現れた神社へとむかう。

そして僕はその神社に着くなり

「おーい!乾坤め!出てこい!」

しーん。反応無し。

「…出て来ないわね」

「あれー?おっかしいなー?キッコさんの真似をしたのに」

「今の、真似だったの?」

「うん」

「時々、健太郎の事が分からなくなるわ。…それに、多分似てないと思う」

「そうかい…じゃあ…」

僕は、思い付きで、兎に角神社の境内を外側から回って調べる。

この境内のどこかに、乾坤に関する物があると、そう思ったからだ。

だが、外側は木ばっかりで、石碑とかは無かった。

なので、今度は本堂の周りを探してみた。

この本堂は高床式で、潜れそうな所もある。

しかし、中は暗くて全然見えない。

一方で、美徳は、本堂の中に入る。

中には如来像とかが有り、その如来像には近づく事は出来ないが、その隣に

古びた石が立っていたのである。

そしてその石には、読みにくいが確かに「乾坤」の文字があったのを美徳は見た。

そして、健太郎を呼ぶ。

「ねえ、健太郎。それらしい石が此処にあったよ?」

「本当かっ?どれ?」

「この石」

僕が見て見るとその石に綱は無かった。

石に綱が付いてない?じゃあ、想像に過ぎないけれど。

乾坤と言う白狐は、解放されたまま何だろうな、きっと。

じゃあ、キッコさんの場合は?

キッコさんを封印していたと思われる石には、新しく綱が掛かっていた。

でも、だからと言って封印されたとは考えにくい。

「…美徳。多分だけど、石に綱が掛かってないなら乾坤は解放されたままと思っていいかも。

それと、キッコさんの方では綱は掛かっていたけど、供養やら。例えば封印の呪文とかやってないみたいだし。まだどこかに居るんだよ。だから探そう」

「じゃあ、次は何処にいくの?」

「金太さん達のいる中島屋。意外といるかもよ?」

「・・・」

「どうしたん?早く行こう!」

僕は、美徳の手を掴み、引っ張る。

「そうかも知れないわね。じゃあ行きましょう」

僕たちは、神社近くの停留所からバスに乗り、一路木皿津駅へと向かう。

そして、駅前ターミナルの停留所を降りて、そこから歩いて約15分。

金太さん達の居る中島屋に着いた。そして、着くなり店の入り口の扉を開けようとしたら、扉には「臨時休業」

の貼り紙がしてあったのだ。

「臨時休業か。てぇ事は…」

もう明らかに、3人でもって何か企んでいるのだと思えた。

「…美徳。見た通りの臨時休業だ。もうこれはキッコさんたち3人で何か企んでいるに違いないよ」

「何処にいるのかしらね?」

「さあ?キッコさんとか姿を消せるから、なんとも言えないけれど」

「次はどこを探す?」

「どうしようか?」

「無いなら、ひさびさにコミュニティープラザに行かない?すぐ近くだし」

「なんで?」

「実はねぇ。行きそびれてた、新しい占いの館の所。前に中島屋を優先して行きそびれてたでしょう!それで、そこで占いをしてみたいのよ」

「占いかー。そう言うの、気持ちの問題で、僕はいいと思わないけどなぁ。それで、何を占う積もり何だよ?」

「そこに行くまで秘密!」

「ちぇー」

程なくして、木皿津コミュニティープラザの一階に入る。

このコミュニティープラザは元々は有名百貨店が入っていたのだが、不景気

のあおりを受けて撤退してしまっているのだ。

「さあ、着いたわよ。入りましょ?」

「ちょっと待って」

僕は美徳を引き止める。

そして看板を見た。

…占いの館

うす?いかつい感じだなー?

「真実」をこんなアテ字にするとは。


それがまた、胡散臭くも感じる。

流石、木皿津クオリティーとでも言った所か。

そんな事を考えていると、美徳が声をかけてきた。

「もういい?入るわよ?」

美徳と僕は中に入る。

中に入ると、一人の女性がいた。格好は妙であった。

それというのも、何処かアラブの方の国の人っぽい格好で、カチューシャや、紫色の薄い布のマスク?を

して顔を隠し、やはり紫色の服を着ているのだが、胸の上の方が見えている、中が水着かどうか分からない。そんな出で立ちだ。

それに占いにはお決まりの水晶と何故か数珠。

横にはミサンガが複数並んでいた。


「いらっしゃいませ。学生のお客様ね。どういう事を占いたいのかしら?」

「あたし達の事を占ってくれますか?」

「将来の事かな?恋愛とか?」

「ハイ」

「そう。ちょっと待ってね」

そう言って、占い師は水晶に手を翳す。

「…愚問ね。二人ともなんだかんだで上手く行くと出てるわ。他には?」

「えっ?それだけ・・ですか?」

美徳がキョトンとする。

「そうよー?だからね、サービスで他の事を占ってあげるわ」

「いいんですか?じゃあ、あたしの将来の仕事運とか」

「仕事運?良いわよ」

占い師が再び、水晶に手をかざし始めた。

すると。

「あなたは、いいパートナーに恵まれそうね。親のやっている事をしっかり学んで受け継ぎさえすれば、万事上手く行くみたいね。あなたのお父さんは、何してるの?」

「不動産屋です」

「不動産屋ね?じゃあ、それに関係する資格とかさえモノにすればきっと

上手くいくわよ?隣の青少年くん?」

「はい?」

「青少年くんも、彼女と同じ様な事の勉強を頑張っていくといいわ」

「そうですか…」

「後は…あら?二人に変な陰がついて居るわね!?」

「変な陰って?」

「うーん。何かねえ、悪い霊でも無ければ良い霊でも無い。

でも、霊とは波動が違うのが見えるの。何かしらねぇ?」

「脅かさないで下さいよ!」

「ふふっ。冗談よ!」

「じゃあ、占いはこれで終わり。2千円になります。ついでに、このミサンガも買って行かない?500円だよ?私が編んだんだけど」

「うーん。ミサンガはいいです。これ」

美徳は占い師の人に2千円を渡す。

「ありがとうございます。後、この名刺を受け取ってね」

そう言って、占い師は美徳に名刺を渡した。

僕が横から覗くと、それには「蛇行すみれ」と書いてあった。

僕達は占いの館を後にした。

その暫く後。占いの館。

蛇行すみれが携帯電話を取りだす。

「もしもしお姉ちゃん?お久しぶり。ちょっと面白そうなコ達見つけてさー・・・」

・・・。

「健太郎。付き合ってくれてありがとうね」

「うん。いいんだけどさ。あの占い師の何か気配を感じるって発言には驚いたな」

「そうね。あの占い師の人、私がキッコさんの事とか言って居ないのに、どうして判るのかとか思っちゃった」

「意外と近くに居たのかも知れないな。実際、金太さんの居た寺が近くにあるし」

「そうかも知れないわね」

僕達は、すぐそこのバスターミナルに着き、今日は家路へと着いた。

―翌日。

午前中、僕は制作途中だった枕の制作に取り掛かる。

そして、昼の12時を回る前にようやく完成した。

「よし。完成。後はテスト。テストっと」

僕は機械の電源を入れる。

すると勢いよくファンが回りだす。

しかし、肝心の枕の部分が一向に膨らまない。

「ありゃー!!失敗だ!」

何処からか空気が漏れて居るんだな。

ファンを回しながら、袋に手を当てて空気漏れしている部分を探す。

袋は、布団乾燥機のの流用で、長く使って無かったから、穴が空いたんだな。

じゃあ、穴の空いた所探してみるか。

僕は、機械で送風しながら、空気漏れしている所を手を這わしながら探す。

するとつなぎ目で、僅かに空気漏れしている所を見つけた。

「ここかぁ。この位小さな穴ならガムテープで止めれるかな?」

僕はガムテープを取り出し、空気漏れした所を塞いだ。

すると見る見るうちに袋が膨らんだ。

そして、ガムテープは剥がれ落ちて居ない。

「これでよし!」

これで、寝坊せずに済むぞ。


少し時間が空いたので、自転車でその辺をうろつく事にした。

僕は、キッコさんの居た社、乾坤のいた社を回ったが変化無しだった。

仕方ないから帰り、普通に1日が終わった。

そして、特に何もないまま、数日が過ぎた。

そして昼間に美徳から電話が掛かってきた。

「もしもし。健太郎?今日の新聞、届いてる?」

「新聞は取ってないぞ!」

「え?ああ、そう?ごめん。じゃあ地域新聞は?」

「地域新聞?あるかも知れないな。ちょっと待ってて」

外にでて新聞受けを見ると、地域新聞はあった。

再び電話に戻る。

「新聞あったー?」

「ああ」

「ページめくって?そこに、

『お化け騒動!?』って見出しない?」

「ある」

「これ、もしかしたら、キッコさん達何じゃない?」

記事の内容は、最近、木皿津西口商店街で深夜、至る所から傘のお化けやろくろ首、一つ目小僧が現れては人を驚かし、

一瞬にして消える。と言うものだった。

驚かし、一瞬にして消える。

このことから、僕はこの騒動がキッコさん達の仕業であろう事を疑った。

「これ、キッコさん達に間違い無さそうだね」

「そうでしょう?今日の深夜、居そうな所へ行って見ない?」

「じゃあ、行ってみるかっ…て。女が言うセリフじゃないぞ?深夜に誰かに襲われたりしたらどーするんだよ?」

「だから守ってね?ボディーガードさん?」

「じゃあ、今日の夜な?待ち合わせ場所は?」

「証乗寺の前でいーい?」

「証乗寺か。分かった」

…深夜12時過ぎ。証乗寺の前。

「ごめん。待った?」

「大丈夫だよ」

僕と美徳は自転車で証乗寺の前まで来ている。

場所が場所なんで、人っ子一人居ない。

「何かおびき寄せる方法って無いかしら?」

「おびき寄せる方法かぁ‥」

ちょっと考えてみた。

・・・あれなら有効かも知れない。

「美徳ちょっと自販機探しに行ってくる!」

「何で自販機?…ちょっと待ってよ!」


自転車を走らせると先ずは、ファイブスターの販売機を見つけた。

僕は販売機の左上から缶のディスプレイを順番に探す。

「ファイブスターのか。これに苺ミルクの缶は・・・無いか」

この販売機に、苺ミルクの缶ジュースは見当たらなかった。

見ているそばから直ぐに美徳が追いつく。

「何を探しているの?」

「キッコさんの好きなジュースだよ。」

「好きなジュース?それは何?」

「苺ミルクのだよ。美徳が苺をキッコさんに食べさせてから、ハマったようでさ。好物なんだよ」

だがここには無かった。

「次いくから」

「あたしが着いて直ぐ!?少しはペース落としてよ!」

「そうか?悪かった。でもまあ、いくとするか」

「ゆっくりね。ゆっくり」

「はいよ」

僕は、ちょくちょく後ろを見ながら、美徳の無理が無いペースで走る。

そうしていたら、併走するようになった。

そうして、しばらく適当に走らせると、トリーサンの販売機を見つけた。

この販売機なら、苺ミルクの有る確率は高い。

だが、ディスプレイを見ると、苺ミルクは無かった。

「次!」

そして、次の販売機にも無かった。

ひょっとして「地域性」があるって事?

家からせいぜい5キロしか離れてないのに

無いって事は、売れ筋とかで商品が入れ替わっているんだな。

「美徳。苺ミルクのジュースがなきゃ、キッコさんをおびき寄せる事は出来そうにないよ。また、今度にしよう」

「諦めるの?もう少し探そうよ?」

「・・・探すったって、おびき寄せれなきゃ意味無いよ」

「おびき寄せるも何も『草木も眠る丑三つ時』には、まだ早いんじゃない?」

「え?いま何て?」

「『草木も眠る丑三つ時』って言ったのよ!午前2時にはまだ早いんじゃないかなー?お化けはその頃がピークよ?

キッコさん達は、私達とは知らずに向こうから驚かして来るんじゃないかしら?」

「・・・そうか。そうだよな。ありがとう美徳。言ってくれて助かったよ。僕一人じゃ、そうは考え無かった!」

「それじゃ決まりね。自転車を降りて、その辺から歩いて見ましょうよ?」

美徳にこう言われたので、自転車を置いて歩くことにした。

「歩く場所とかどうする?」

「証乗寺周辺から、商店街の方に行って見ましょうよ?」

「そうしようか」

僕の方から、美徳の手を握り、一緒に歩く。

少ししたら、美徳が僕の腕を組むようにしてきた。

何か嬉しい。


続く








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