文芸部へようこそ
「新入部員来ますかねー?」
「さぁ? それは神のみぞ知るってやつだよ」
「先輩も部長さんに似てきましたねー」
「ばんなそかな」
新年度になり、文芸部部長となった僕。他に部員は長内さんと鎌倉さんの二人。
今まで部長が座っていた場所に僕が座り、新二年生コンビは相変わらず並んで座っている。
後輩ができることが楽しみなのか、長内さんは落ち着かない様子。それとは対照的にあまり興味なさそうな鎌倉さん。
新入部員が来るとすれば、早い人は今日が初日となる。
去年までのような文芸部の皮を被った何かではない文芸部となるわけだが、果たして普通の文芸部に需要はあるのかと考えてしまったあたり、あの二人の影響を強く受けているのだろう。しかし僕が部長になったからには、普通に文芸部の職務を全うしていくつもりである。
まだ部長となっての肩書に慣れていないこともあってか、新入部員が来るかどうかということに若干緊張している。僕が入って来る時も、変なことばっかり言っていたけど、部長もドキドキしていたんだろうと、今なら思える。あの時は僕も緊張していたし、わけわからんこと言う人がいると思っていた分、他人のふり見て我がふりなおすようにしていきたいと思う。というか普通にやろうと思う。
そういえば妹の彩菜もこのうろな高校に進学を決め、兄の元を追うように文芸部へ入ると言っていた。
とりあえず一人以上の部員の獲得は間違いなくなったわけだ。
でも緊張するのはなぜだろうか。
あの二人がいないことや、フランがいないことや、ついでに立花先輩がいないこの空間に、とてつもない違和感を覚えていて、まるでアウェーで戦うスポーツ選手のような気分だった。
「あっ! 先輩、誰か来たっぽいですよ!」
長内センサーで廊下を歩く生徒の足音を探知したようで、部室内が静まった。
そして扉の前で止まった足音。
コンコン。
ノックする音が聞こえ、僕は目を閉じて小さく深呼吸した。
大丈夫。緊張していない。
「失礼します」
そう声が聞こえ、扉が開かれた。
僕は目を開いて顔を上げ、扉に立つ生徒に向かって言った。
「文芸部へようこそ。僕が文芸部の部長、綾瀬浩二だ」
かんけつ。
完結です。
次回はあとがきのようななにか




