チート発覚1
タイトルにはチートとか書いてあるけどあまり発覚しません。
「あななた達の魔力容量と適性の検査をさせてちょうだい」
ラノベでもときどきつかわれるこのセヴァスの言葉に俺は今後の状況を把握する。
しかしこの言葉のみで理解してしまう俺って元の世界だったらかなりオタク度が高かったのかもしれないな。
──うわ、自分で思ってむなしくなってきた。
「魔力容量と適性ってなんですか?」
理解出来ない単語に凛姉が疑問の声を上げる。
その声には多少の期待やら何やらが含まれている気がする。
「ふふ、あわてなくても説明してあげるわよ」
「よろしくたのむ」
まあ、おおまかなことは理解できてもこの世界の魔法的なルールとかは分かんないしな。
「じゃあ魔力容量から説明するわね。まず魔力だけど、これは魔法を使用するために必要なものよ」
「魔法ってさっきレイナが見せてくれたあれだよね、ねっ?」
さっきの転移を思い出した風華が少し目を輝かせる。
「そうだ」
「あら、レイナこの子たちにもう見せてたの」
「はい、不味かったですか?」
「いえ、むしろ好都合よ」
少し気まずそうな顔をレイナはするが、特にセヴァスが咎めることはなかった。
「少し話がそれたわね。──それで魔力容量って言うのはその魔力が体内にどれだけ持っているか示す数値のことよ」
「なるほどな。──で、ここの学生だとどれくらい持っているものなんだ?」
俺は少し気になることを問いかける。
というか基準知っておかないとどうにもなんねえし。
「そうね、二千といったところかしら。まあ人によってピンキリなのだけどね」
「私やシオンなんかは一万程あるからな」
「そんなもんか」
どうやら本当に上下差がはげしそうだ。
まあ俺たちはそこらへん救世主なわけだから関係なさそうだが。
「じゃあ次は適性だけど、これの説明をするにはまず魔力には属性があるということを覚えてももらわなきゃいけないのよ」
「属性……」
由美がうつむきながらなにか考えるように目をつむる。
なに考えてるのかまでは知らないが。
「この属性なのだけど、簡単には二つに分けられるの」
「それは四大属性と特殊属性ですよね」
「そのとおりよレイナ」
「四大と特殊か」
まあだいたい中身の予想はつくけどな。
四大は火とかの自然系で特殊が多分回復とかの非自然系だろうな。
セヴァスがその考えを裏ずけるように説明してくれる
「まず四大属性だけどこれは火、水、風、土の自然系と呼ばれるものに属されるの。これに反して特殊系と呼ばれているのは闇、光、回復の三種に分かれていて、これは自然なものではないはね」
ふ、やはり予想通りだったか(キリッ
…………。
中二病です、はい。
ま、こんな脳内茶番をしている場合ではない。少し気になることがある。
「雷属性は存在しないのか」
これだ。
どのファンタジー創作物でも存在した雷。
あの速さと強さはまさに疾風迅雷。男のロマン。
「フフフ……」
「雷ね、それなのだけ──。シロウ?」
「ど、どうしたの士郎君?」
「士郎、いつものがでてるよ」
「へ……。あ、すまない。話を続けてくれ」
全員が俺の気味の悪い笑いに引いている。──いや、一人だけ呆れているか。
俺の中に発送にっお手は諦めてもらうしかないのだが。
部活仲間の女子にもそれがなければ完璧なのにと嘆かれたほどだ。
「話を続けるわね。雷属性なんだけど、それを存在すると語る人はいるわ」
「じゃああるのか?」
──来るのか? 俺のヘブン!
しかし俺の期待は裏切られる。
「でもね、最近の研究で雷は風属性の応用ということがわかったの。残念だったわね、楽しみにしていたのに」
「いや、存在するなら問題ない」
「そ、そうなの……」
雷が使えるのなら問題ないぜ。
しかしキラキラした(自分で言うのもなんだが)目を見たセヴァスが再び引いているのはご愛嬌だ。
「さて、この属性だけど、一人の人間がすべてが使えるわけではないの」
「まあ、そうだろうな」
すべて使えたらそもそも属性訳をする必要がない。
「話が早くて助かるわ。でね、この属性なのだけど基本的に四大属性しか発現せず、さらに使用できる属性は人によって違うわ。まあ一種類しか使えない人もいれば数は少ないけど多属性使える人もいるわ」
「じゃあ、特殊属性って何なんだ」
そんな事だろうと予想していた俺は特に動じることはない。
それよりも特殊属性の扱いを聞きたかった。
「特殊属性、これはそもそも発現する人の方がかなり少ないわね。確立にすると一万人に一人くらいかしら。これについては同時に二つ以上の属性を持った人間はいないわ」
「それはそれは」
そんなこと言われたら二つ以上欲しくなっちまうじゃねえか。
「あ、あとね。男に発現しなくなったのは四大属性だけで特殊属性は発現しているわ。まあそれも世界に二人しかいないんだけどね」
「俺は魔法使える予定なんだろ? じゃあ関係ねえよ」
「ふふ、それもそうね」
話し疲れたのかセヴァスは紅茶を口に含む。
そういえば俺の喉がからからだな。
「それでは、説明も終わったところで検査を始めましょう。少し道具をとってくるから待ってて」
そう言い残してセヴァスが席を立つ。
「はあ、なんか疲れたぜ」
「疲れたのは妄想するのに使った士郎兄の頭でしょ」
風華が俺のことをジト眼にらんでくる。
しかし俺はこんなMプレイに興奮するような変態ではない。
さらに言えばツンデレを出れさせる方法も熟知している。
「そうそう、風華とデートする妄想をな~」
「ふぇええ。しょ、しょんなばかなこと……」
みるみるうちに風華の顔が赤みを帯びていく。
──よし、もうひと押しだ。
「そんなことはないぞ。前からしてみたいと思ってたんだ」
「え、え、そんなこと急にいわれても、心の準備ができてないよぉ」
ここが落とし目だ。
「風華との肝試しデート」
「え……。肝試し……」
肝試し、その言葉を聞いた途端風華の顔が赤から青へと逆転していく。
あまりほめられた話ではないが、昔俺の手によって行われた肝試し大会で風華は身の毛もよだつ思いをしたらしく、それ以来恐怖ネタはダメなのだ。
──ガンッ。
「イテッ」
と、不意に俺の上がら軽い衝撃が落ちてくる
「士郎、逆らうのそこまでにしておきなさい。からかいたくなるあんたの気持は私が酌んであげるから」
「由美か。まあ確かにやりすぎたな。ごめんな風華」
俺はそう言いながら風華の頭をなでてやる。
すると風華は。
「うう、士郎兄のばか」
睨みながらも──多分許してくれた。
そしてタイミング良くセヴァスが戻ってくる。
その手には四つの水晶が乗っていた。
「さて、検査を始めましょう。ってなんでシロウは頭をなでているのかしら?」
「いや、なんでもない」
俺は風華の頭から手を離す。
「あ……」
その時風華が残念そうな声を上げたが聞いていないことにしよう。
「まあ、理由は聞かないけどね。とりあえずユミ、この水晶の上に手を載せてくれるかしら」
「え、はい」
セヴァスは水晶を一つ机の上に置く。
由美はその上に何のためらいもなく手を置いた。
──その時。
「うわっ」
「きゃっ」
「なにっ」
「ひゃっ」
軽く悲鳴があがる。
まあ理由は単純、強い光が水晶から発されたからだ。
そして光がやむとそこには。
「一万五千……」
そんな感じの数字が水晶に表示されていた。
さらには水晶の色も変わり白と赤、青色が混じった色になっていた。
「こ、これは……」
「凄い」
セヴァスとレイナが絶句している。
そしてそんなところに遅れてきた闖入者がやってきた。
「おはよーございます」
──誰だろう?
はい、少ししか発覚しなかった救世主チートでした。
まあそのかわりと言っちゃあなんですが士郎の中二病もばれました。次回こそはちゃんとチートが発覚しますので安心を。
それと最後にやってきた方は皆さんの予想通り彼女です。
評価と感想まってます。