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ようこそ『戦乙女』へ

 投稿遅くなってスイマセン。


「ん、どこだ、ここ」


 強い光に包まれた後、俺がいたのは予想通り自分の知らない場所──いや建物の中だった。

 周りを見渡せば俺とあまり年の差がないだろうと思われる少女たちが、制服のようなものを着て俺達四人の周りを囲むようにして立っている。

 さすがにこんな風に迎えられるような転生するとは思っていなかった俺はしばし呆然とする。

 隣を見れば由美も俺と同じように呆然としていた。

 状況すら理解できていない八卦姉妹は──言うまでもないだろう。

 それから少し時間がたち、周りを囲む少女たちの服装や今俺たちがいる建物の設備等を観察しておそらくここは学園、もしくは騎士団のような場所なのだろうと俺は仮定した。

 言葉を失っていた凛姉や風華も落ち着きを取り戻したようで、小さな声だが何やら話している。

 俺も現状整理を由美と行おうと口を開いたその時。


 ──ピタリ。


 そうたとえるのが正しいのだろうか。

 周りの空気が緊張したように張りつめ、俺たちのことを囲んでいた少女たちモーゼの海渡のように道をあける。

 そしてその先から現れたのは──


「ほお、今年は男がいるんですね」

「男……」


 ローブを羽織った銀髪の美女と周りの少女と同じ服を着た金髪の美少女だった。

 美少女の顔には苦虫を噛んだような表情が浮かんでいる。

 彼女たちは俺たちの前に来ると見下ろす形になる角度で視線を向けてくる。

 その視線に風華は一歩後ずさる。


「学園ギルド『戦乙女ヴァルキリー』にようこそ。異世界の方々」

「ようこそ。歓迎いたします」


 しかし彼女たちの口から発せられたのは俺たちを歓迎する言葉だった。

 そして俺たちには彼女たちの言葉を理解・・することができた。


(どういうことだ? この世界の言語は日本語なのか? それとも魔法か何かで翻訳されているのか?)


 俺は言葉を理解できたこと不審に思い想像を膨らませる。

 俺としては後者のほうが強いと思うが。

 何故かと問われれば今まで見てきたラノベでもそういったシーンはよくあったからだとしか言いようがない。


「歓迎どうも。──で、ここはどこだ?」


 だが、ずっとだんまりをしているわけにもいかないので俺は彼女たちに気になること問いかける。

 そしてこの質問には二つ意味がある。

 ひとつは質問の通り。

 二つ目は──


「状況の割に落ちつているのね。ここは『シレンティウム』──異世界といったほうがわかりやすいのかしら?」

「ふん、俺達の言葉を理解できるんだな」


 彼女たちが俺の言葉理解できるか確認テスト。

 結果はまあ、見ての通りだ。


(しかし、シレンティウム──ラテン語で静寂か)


 俺はこの世界の名前を頭の中で反芻はんすうする。

 なんでラテン語を知っているのかというと昔とあるアニメの呪文がラテン語で──いや今はそんなことを悠長に思いだしている場合じゃない。


「あら、それはあなたの使っている言語が私たちの使っている言語と同じなのだから当たり前でしょう」

「なるほどな」


 どうやら俺の予想は外れていたようだ。隣の由美も何か納得したようにうなづいている。

 凛姉と風華は異世界という言葉にショックを受けて目をさっきから開きっぱなしだが。

 そんな俺たちに今まで話していた銀髪の女性ではなく美少女のほうが話しかけてくる。


「じゃあ次はこちらから質問させてもらうわ。一応聞くけどあなた男よね?」

「ああ、そうだが。男は珍しいのか?」

「──ッ!!」


 俺の質問の答えは返ってこない。

 そのかわり彼女は俺が男だと知ると唇をかんだ。


「レイナ、失礼ですよ。彼らは何も分からないのですから」

「すいません学園長。すまないな、異世界の方々」

「いや、構わない。それと名前を教えていただけると助かるのだが」


 レイナと呼ばれた少女の反応も気になったが、このままじゃ話しづらいので名前を尋ねる。


「ええ、そうね。すっかり名乗り忘れていたわ。──私はセヴァス・マルクノ。セヴァスって呼んでくれるかしら。それと、もしかしたらもう気づいてるかもしれないけど、この学園兼ギルドの長をやらせてもらっているわ」

「そうか、俺は折屋士郎──いや多分ここでの読み方に合わせるならシロウ・オリヤだ」


 お互いの名前を女性──セヴァスと名乗りあう。

 それに続いて由美、レイナも名乗り始めた。


「私はユミ・マイカワです。あと後ろの二人はリン・ハッケとフウカ・ハッケ。姉妹です」

「レイナ・クルセイド。生徒の長をつとめているの。よろしくお願いするわユミ、リン、フウカ。……シロウとやら」


 今、明らかにレイナが俺と由美たちを呼ぶときのイントネーションが違った。

 まるで俺が気に食わないと言いたげな発音である。


(なんだこいつ。男のことを差別してるのか?)


 よく考えれば周りにいるのは少女ばかりだ。


(男はこの世界では何かデメリットを持っているのか?)


 もしそうだとしたら、困るな。

 俺としてはなにも分からない間は穏便にすませておきたいのだが。

 しかし、レイナの口調が由美の気に障ったのだろう不満の言葉を上げ始める。


「ねえあなた──レイナさんでしたか? あなたさっきから士郎にたいして態度ひどくない?」

「だからすまないといっているじゃない」

「その言葉は士郎に向けたものじゃないように感じられるのだけど」

「それはあなたの勝手な解釈でしょう?」

「どうかしらね。さっきからあなたの視線が士郎にだけ向いてないような気がするんだけど」

「そえはそこのシロウとかいうのが──」

「おいやめろ由美」

「おやめなさいレイナ」


 俺の思いとは裏腹に由美がレイナと口論を始める。

 一応俺とセヴァスが止めに入るが。

 あまりよい状況ではないと考えた俺は由美に耳打ちをした。


(おい由美、今けんかはするな)

(でもあいつ士郎の扱いだけひどいじゃない)

(それでもだ。もしかしたらこの世界特有のなにか・・・があるのかもしれないからな)

(……わかった)


 しぶしぶといったようすだが由美は口をつぐむ。

 向こうもセヴァスに叱られたらしく冷静になっている。

 しかし、今仕方流れた不穏な空気のせいでおそらく生徒だと思われる少女たちが少しざわつき始めた。


「ふむあまり良くないわね。──あなたたち寮に戻りなさい」

「え、でも学園長──」

「もうですかー?」

「────。」


 周りの雰囲気をかんがみてセヴァスが命令するが少女たちはいうことをきかない。

 やはり異世界人という存在が珍しのだろう。

 しかしセヴァスはこれをよしとしなかった。


『戻りなさいと言っているでしょう』


 何も怒鳴るように言ったわけではない。

 しかしセヴァスの口から何か不思議な力が載せられた言葉が発されたのを俺はしっかりと感じ取った。

 その言葉を聞いた少女たちは、レイナを除いてこの広い建物の中から立ち去って行く。その顔にはこころなしか冷汗が見受けられる。

 その力を由美も感じたったのだろう。表情に驚きの色が浮かんでいた。


「さて──」


 当のセヴァスは何事もなかったかのように俺たちのほうを向いて言葉をかけた。


「こんな広いところにいても落ち着かないでしょう。場所を変えて話しましょうか。そこの状況を全く理解できていない子たち──リンとフウカだったかしら? ──にもわかりやすくこの状況を教えてあげる」


 セヴァスは優しく凛と風華に微笑む。


「は、はい」

「う、うん」


 その表情にいままであまり反応を示していなかった凛と風華が返事をする。


「それじゃ行きましょうか。レイナ」

「は、はい。学園長」


 目の前の二人どこかに向って歩き始めた。

 俺は由美と目を合わせると俺は風華、由美は凛姉の手を引いてセヴァス達の後をついて行った。

 ──なんとしてでも情報を多く仕入れないとな。



 待っていてくれた方お久しぶりです。最近読み始めた方こんにちは。

 いやー、約一か月ぶりの更新です。まあ学校の行事の準備等で忙しかったので仕方ないのですが。

 これからもよろしくお願いします。

 あとご意見や感想ももらえたら執筆意欲につながるのでどんどんください。

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