物語の始まり
不定期更新だけど週一目指してがんばるよ
俺、折屋士郎はもう人生を飽いていた。
──理由は何かって?
だっていつもいつも学校行って勉強して部活して帰ってきてアニメ見たりゲームたりの繰り返しなんだぜ。
唯一の楽しみは腰まで伸ばした黒髪が綺麗な、女友達である舞川由美とのアニメ談義だが、由美も俺も体育会系で普段は同性の運動部と話しているからあまり二人きりになる機会がない。
──ああつまらない。
──それが起きたのは俺がそんなことを思っていた二年生の春だった。
「ああー、だるっ」
今は学校の昼休み。
俺はアニメ好きの友人──由美と一緒に屋上で飯を食べていた。
アニメの話をしながら。
「ねぇ、昨日の邪眼のサキ十三話見た?」
「もちろん。最後にマリヤが言った台詞のあれ、絶対死亡フラグじゃねえか?」
「あ、それ私も思ったんだ。それだけじゃ──」
それからも俺達の会話は盛り上がってる。
ちなみに邪眼のサキとゆうのは今流行っているアニメのタイトルで、マリヤは敵幹部である。
まあ、そんなことはどうでもいいんだが。
「──でさ、私はヘルがマリアを殺すと思うんだ」
「うーん、俺はサキが止めを刺すと思うんだけどな」
「いやヘルだって」
「サキだろ」
俺達の会話が更にヒートアップしそうになったとき。
──ガチャリ
屋上の扉が誰かの手によって開けられる。
その瞬間を目配せした俺と由美は話の話題を無理矢理変える。
「──昨日の練習マジでキツくってさ、ちょっと足が速いからって三年生と一緒なメニューやらせんなっての。あの糞コーチ」
「男何だから弱音は吐かないの。それに剣道部のコーチなんて私に色目使ってくるんだよ」
「それはしょうがないだろ」
「え、何で?」
「由美が美少女だから」
そう言った途端に由美の顏が真赤になる。
──まるでゆでダコだな。
ちなみにに俺は陸上部、由美が剣道部に入っていて、昨年はお互いに一年生ながらも県内ベスト4にまで登りつめていた。
「……何で士郎は不意にそうゆうこと言うんだろ」
「うん、何か言ったか?」
「な、何でもないよっ」
「そうか」
由美が俺の前で照れているところに、先程屋上に来た女子二人組が駆け寄ってくる。
「士郎くーん」
「由美せんぱーい」
「あ、凛姉に風華」
駆け寄って来たのは中学時代からの知り合いである三年生の八卦凛にその妹である一年生の風華だ。
ちなみにこの二人は俺と由美がアニメが好きなことを知っている数少ない人物でもある。
「どうしたんだ二人とも屋上なんかに来て、何か用事か?」
「むう、私達が士郎君に会うのに理由がいるのかな?」
「そうだよ士郎兄」
「それもそうだな、悪い」
その後、二人が会話に加わったことで昼食は賑やかになった。
──ちなみに俺は何故か風華には血も繋がってないのに士郎兄と呼ばれている。
そして俺達は昼休みの終わりを告げる鐘がなるまでずっと話していた。
──放課後。
空に夜の帳が落ち始める頃。
それぞれ部活を終えた俺と由美、そして凛姉と風華は帰り道にある公園で駄弁っていた。
「あー、今日もだるかった……」
「こらこら、仮にも部のエースがそんなこと言わないの」
「いやな凛姉、いくら俺が足速くてもキツイものはキツイんだよ」
「そうなのかなー」
「そうだよー」
「おぉ、やっぱり由美は分かってくれるか」
俺の意見に賛同してくれる由美も剣道部のエースだったりする。
しかし俺に注意して来た凛姉。
この人は弓道部の部長でインターハイ三位の成績を残しているので練習が楽なわけないと思うのだが。
「大体練習っていうのは無心になってそれに打ち込むものなんだから、他のことは考えないの」
「「それは|凛先輩(姉)だけっ‼」」
俺と由美の声がかぶる。
しかしまあ凛姉のしている競技上しょうがないことではあるのだが。
「むー」
そんな中、風華だけが一人でふくれていた。
ながいツインテールが顔に影を作っている。
が、それも仕方ないだろう。この中で風華だけが一年生であり、高校の部活の成績など一つも残してないのだ。
しかしこのまま風華を一人にしておくのも酷だな。
「なあ、風華。もう学校にはなれたか?」
「えっ──。そ、そりゃあもう慣れたに決まってんじゃん。士郎兄に心配されることじゃないよ」
「そうだよな、風華はしっかりしてるもんな、偉い偉い」
「んっ」
俺は風華の頭を撫でてやる。
風華は普段は少し口調がキツイが少しおだてたりするとデレる。
──まあいわゆるツンデレってやつだ。
「べ、別に撫でられて嬉しかったわけじゃないんだからっ」
風華がいきなり俺から離れてツンデレ発言をする。
正直風華見てると萌えるんだよなー。
つーか、ツリ目でツインテールで可愛いって最強じゃねーか?
「士郎兄また変なことを考えてる?」
「いや、別に考えないぞ」
「そう、ならいいけど」
あっぶねー‼
心読まれたのかと思ったわ。
しかし風華との会話も落ち着いてくるとなんか憂鬱になってきた。
「あーあ、また明日早起きして朝練かー」
「しょうがないって士郎」
「そうかー」
「そうだよ士郎君」
凛姉と由美が慰めてくる。
しかしこのとき憂鬱になっていた俺はつい次の言葉をいった。言ってしまった。
『はあ、俺もラノベの主人公みたいに転生されてハーレムになんねえかなー』
丁度俺がそんな言葉を言い終えたそんなときだった。
「え?」×4
全員間抜けな声をあげる。
──だってそこには見たこともない図柄──いや、俺や由美ならよく見るいわゆる魔法陣が浮かんでいたのだ。
それによく見るといっても空想やアニメの世界で、である。
「ちょ、ちょっと士郎兄これ何⁉」
「し、士郎君これは?」
八卦姉妹の戸惑う声が聞こえて来る。
しかしそんな二人と違い俺と由美は戸惑いながらも興奮していた。
「ね、ねえ士郎、これって⁉」
「ああ、そうみたいだな」
「し、信じられない」
「でもこれが現実だ」
「ちょっと二人共なんの話してるのー」
「由美、士郎君?」
八卦姉妹がまだ何か言っているが俺の耳には入らない。
だってこれはおそらく、異世界転生のための魔法陣なのだから。
そんなことを考えてるいる間にも魔法陣の光は強くなり四人を包み込む。
『キャアアァァァァッッ!』
周りの友人が悲鳴をあげる中俺は全く別のことを考えていた。
そういや、四人も同時に転生するラノベってあまり見たことないけど、大丈夫なのか?
──ヒロインの数。
こうして俺達は異世界に転生した。
◇◆◇◆
士郎達が異世界に転生される少し前の異世界のどこか。
そこは周りが木で囲まれており、中心には噴水があった。
その噴水の淵には二人の女性が座っていた。
一人は士郎と同じ位の年齢に見える長い金髪をした少女。彼女の髪から見え隠れする耳は尖っていた。
もう一人はスーツの上からローブを羽織った四十路程の短い銀髪をした女性。
「もうすぐ、ですね。転生者が来るの」
「ええ、そうねレイナ。楽しみだわ」
金髪の少女──レイナは楽しみという言葉に顔を顰める。
「不謹慎ですよギルマス。転生者が来るということは災厄も来るということなのですから」
「ええそうね。あと、ここは学園の敷地内なのですから学園長と呼びなさい」
「すいません、学園長」
「よろしい」
自らを学園長と呼び、レイナからはギルマスと呼ばれた銀髪の女性は静かに微笑む。
「しかし、今期の転生者に男はいるのかしらね」
「どういうことですか?」
「私が読んだ書物によればね、歴代の転生者の中でも男はずば抜けて強いのよ。逆に男が転生されなかった代は災厄に対して苦戦をしいられている」
「そんな馬鹿なっ、この世界では素質のある人間は女性の方が圧倒的に多いじゃないですか‼」
「でもね、書物ではそうなってるのよ困ったことに」
動揺して怒鳴るレイナとは対象的に、銀髪の女性はわざとらしくため息をつく。
まるで男がこの世界に転生されるのを楽しみにしているかのように。
そんな二人のところにレイナと同じ服装した茶髪の少女が近くの建物から駆け寄ってくる。
「どうしたのかしたのかしら、シオンさん?」
「学園長、生徒会長、陣が光出だしました」
「ほう、始まりましたか」
「ついに、始まったのね……」
「二人共、急いでホールに来てください」
シオンが急いで移動するように二人に催促する。
しかしそんなシオンの様子に対して二人は落ち着いた様子でホールへ向かって歩き出した。
そんな様子の二人を見てシオンは慌てる。
「何してるんですかっ、急いで下さい」
「私達のことは気にしないでいいからシオンは先に行ってて」
「レイナ、でもっ……」
「いいのよ、陣が光出したのなら今更急いだってまに合わないんだから」
「え?」
シオンが疑問の声をあげるのと、ホールから強い光が漏れ出したのは同時だった。
ついに異世界ものにまでてをだしてしっまた
楽しんでもらえるよう努力しないとなあ
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