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エピソード1 「裏スキル」

ランク制度、それは色々な物や組織などに振り分けられている。うちのパーティ「スギ花粉アンチ隊」は4人パーティでありランクはE…


「1番下じゃねぇかぁぁぁ!!!!」


パーティランク制度はSからEまである…その中の1番下!下位10パーセント未満のクソザコパーティである。


「うにゃ!?びっくりさせるにゃよ?」


このにゃーにゃー言ってる猫の獣人族はハルーニャ…このパーティのまとも枠である。


「まぁ…俺には負けるがな…」


俺はそう呟くと、


「何を言ってるにゃこいつ…」


呆れた顔をしている…俺になにか付いているのか?

それともただ単に俺の会話のレベルが高すぎてついて来れなかったか…だとしたら後者しか有り得ない


「あの…すいません。報酬の集計が終わりました」


クエストの集計が終わり、俺たちに気の弱いギルドよ受付嬢がそれを報告していた。


「あぁ、すいませんレディ…うちの猫が」

「私が悪いのにゃ!?」


他責思考がいいことではないと分かっているのだが、これは前世からの癖であり、治るか治らないか…もしくはそれ以前の話なのかもしれない。


「えーっと、スライム10匹の討伐ですが、報酬の方は3ゴールドです。」


俺たちは洞窟にスライム狩りに出ていた、ランクが低いとスライムみたいな雑魚モンスターのクエストしか受注させて貰えないのだ。

それでも3ゴールド、日本で言う3万円が貰えるって考えたら、結構いい仕事なのかも?


「ようやくまともな飯が食えるにゃ」


最近はダンジョンの破壊などで借金が多くて、今回のダンジョン破壊がバレてないといいのだが


「ですが、ハルーニャ様…」


俺に向けた言葉ではなかったが、それは俺にも関係がある内容なのだろうなと瞬時に察した。

多分これは…


「何にゃ?」


「お申しあげにくいのですが、あなた方のパーティがダンジョンの外壁破壊、それでトロッコの通路が瓦礫で塞がれまして…」


嫌な予感がする、いや…もう慣れた、こんなことよくあるさ。借金なんて何度もしてきたんだからな。


「ダンジョンの修復費用から40ゴールドの借金です」


あぁ、また借金が増えてゆく…返済するために頑張っても返済出来ない。俺は稼いで生きていくということが出来ないのかもしれない。真面目に仕事をしてこの世界で生きていこうと思ったのにな。


「報酬の支払いは無しで37ゴールドの借金が加算されますので、スギ花粉アンチ隊の借金は3万7000ゴールドとなります…そしてギルド貢献度E、ランク変化無しでパーティランクはEです」


日本円でいうと3700万の借金である…1億行ってないだけマシって思うことで精神的ダメージを減らそう…

パーティランクはそのパーティの強さじゃない。そのパーティがいかに世の中に貢献したかである。強さの面で言えば弱小パーティでもコツコツ頑張れば上へ行ける。ただもちろんS級ダンジョンとE級ダンジョンを比較すれば貢献度の上がり幅というのは天と地との差である。

システム上でいえば実力弱小パーティでも上を目指せるが、C級以上からは蹴落とされるだろう。


「ルナート、お前の今日の飯どうするにゃ…」


これがEランクの中でも最底辺のパーティの扱いである。世の中に貢献する気はあるのだが、俺は不器用だから…

倒れそうになる俺をハルーニャが支えてくれて、やっとの思いでギルドの建物の外に出ることができた。


「ルナート様!今日は報酬貰えた?」


このパーティメンバーはコハク…このパーティの新参者である…なんでこんなパーティに入ったんだか。


「コハク…反応を見てくださいよ…貰えてるわけ」


この物事をハッキリ言って、俺のメンタルを徹底的に破壊しようとしてくるメンバーはフィライトくん。


「フィライトくんのお陰で、37ゴールドの借金ができたよ。」


責任転嫁、他責思考だからこんなに迷惑をかけてるんだよな。ランク上げができないのもこの性格も十分理由に当てはまるのかもしれない。


「大人の癖に子どものせいにするんですね…コハクに悪影響ですよ?」


確かに年下に正論を言われると何か来るものがあった。

それにしても、大人って…まだ17歳だよ…前世の年齢合わせたらちょうど2倍なっちゃうけど……


「まだ17歳で日本だとまだ高校生の年齢だ」


「日本?がなんなのか分かりませんが、ここでは15歳で学生は終わりなんですよ、まずなんですか高校生って」


15歳で学生が終わりって早いんだよ…12歳までが義務教育って、教育制度はどうなってるだ?

7歳から9歳までが小学生

10歳から12歳までが中学生物

その後に魔法大学に進学するものは3年間(留年がなければ)教育を任意で受けることができる…

まぁ大学に言えるのはほんのひと握りの裕福な家の子どもだけだが。


「せめてコハクの学費は稼いであげたいよな…」


コハクはまだ10も行ってない、それはコハク自身から聞いた事ではない。コハクの家であろう場所から日記を見つけた。コハクの成長記録だった。そこから生まれた年が書き記されていた。

コハクを見つけた時には遅かった。この街に引っ越してくる途中で村が盗賊たちに襲われていた。コハクを見つけた家では、2人の大人…恐らくコハクの両親が亡骸の前でただ目から希望を失っていたコハク色の目をした少女を見つけた。

彼女は記憶を失っていた。しかし、日記を見る限りとても仲が良かったのだろう。最愛の親を目の前で殺されたショックで記憶を失ってしまったのだろうか。


「……ルナートさんからそんな言葉がでるなんて…僕は感動しています!」


フィライトは保護者のような、意外と面倒見のいい1面を見せたりする。例えば買い出しに行ってる時はコハクの面倒を見てくれたりする。

…コハクを最初に見つけたのはフィライトくんだ。

フィライトくんがコハクを抱きしめていた。なんども「遅くてごめん、助けられなくてごめん」とただ無表情の宝石のような目をした少女を抱きしめて、謝罪、懺悔のように呟いていた。

フィライトくんは年に見合わない言動が多い、正直このパーティのメンバーで1番大人っぽいのは彼だ。


「お前は俺のなんなんだよ…」


俺は10歳以前の記憶がない、前世の記憶はあるのだが。どうしても過去の記憶がない…気づいたらフィライトくんとハルーニャと旅に出ていた。


「ハルーニャ…頼む今日も飯を作ってくれ!」


最近…というより結構前からずっとハルーニャに飯を作ってもらっている。借金する前は良くハルーニャと二人で外食だったが、問題児フィライトが加入してからは毎日がハルーニャのご飯である。


「また私が作るにゃ!?もう何日目だと思ってるにゃ!?」


「157日…」


157日前にハルーニャの料理を食べた時は感動した。

こんな料理を食べれる自分は幸せなんだって…

正直に言うと俺はハルーニャが好きである。異性として、仲間としてどちらの意味でもある。だから守りたい。

本音を言えばこんな社会的弱小パーティなんかみんな抜け出して俺を一人にして欲しい。借金まみれじゃなくて、普通に幸せに暮らして欲しい。


「なんで覚えてるにゃ!?」


ハルーニャは驚いているが、引いてはいなかった…

少し安心した後、間を開けて俺は


「お前の作った料理忘れるわけねぇだろ」


その言葉を発して恥ずかしいと思ったのは、ハルーニャが表情を赤らめてるの見た時だ。自分が何を言ったのか、思い出し、ふと恥ずかしくおもった。


「!?」


ハルーニャが黙り込んだ…一向に俺に顔を合わせようとしない


「ハルーニャさん?」


フィライトがハルーニャの顔を覗いて、ハルーニャの赤面を確認したあと


「あーこれは分かりやすくデr…」


フィライトくんが言いたかったことすべてを言い終わる前に、フィライトに一発のハルーニャの平手打ちがクリーンヒットしていた。

吹っ飛ばされる…普通の平手打ちの威力じゃねぇなこれは…


「しょうがないにゃ、わ、私が今日も作ってやらんこともにゃいにゃ?」


内心喜んでいるような声でハルーニャはそう言った。

可愛い、守りたいこの笑顔…


「やっぱハルーニャ様チョロイン」

「あ?」

「すいません、すいません、殺さないで…ちょ、ちょっと!?無言で包丁を人に向けないでください!?」


どこぞやのRPGゲームの即死持ち雑魚キャラみたいな立ち姿のハルーニャの怒りが収まったあと、料理を作ってくれた。

まるでコントを見ているかのようで楽しかった。

その夜…フィライトにはコハクの子守りを頼んだ。

コハクは記憶を失ったからか、辛い出来事にあったからなのか年齢より精神的に幼い。

フィライトがコハクを寝かしつけてる時、俺らはダンジョンに潜ってスライムを討伐するクエストをしていた。今度は慎重に…


「スライムって…一体どうやって生まれてきてるんだ?」


ふと疑問に思って、その疑問を口に出した。


「さぁにゃ?ダンジョンの魔力が具現化してるんじゃにゃいのか?」


ダンジョンはよく生きていると表現されている。

死んだダンジョンはなんと呼ばれるか?それはただの洞窟である。とにかく魔力に溢れた洞窟だからダンジョン…ただ死んだダンジョンはまだ1つしか見つけられていない。そこも今は封鎖されている。

元S級最難関ダンジョンの洞窟って言ったら観光スポットになると思うんだけどな…


「今の俺たちのレベルってどのくらいなんだろうな 」


Bランクパーティからステータスプレートが与えられる。Bパーティは基本的に上位パーティとばれている、一定のパーティにしかステータスプレートを渡さないのは、そのプレート自体希少な金属を使用してるからって言ってた気がする。

貢献度の上位だとしても、実力自体は上じゃないパーティもあったりする。ハイエナパーティがいい例だ。

ほかの冒険者パーティの後を付け回し、あたかも自分たちが討伐したかのように振る舞う。

緊急クエストはある一定のランク以上のパーティが呼び出される。

呼び出されると言ってもほぼ強制だ、転送陣で現地に送り飛ばされる。ブラック企業もいいところだ。

それにもし先程話した通りのハイエナパーティが紛れ込んだら?結論としては足手まといもいいところだ。すぐに死んで終わり、この世界では蘇生魔法などというものはない。死んだら終わり、前世と同じ、使えるのは攻撃魔法や傷を治すぐらいの魔法しかない。

腕がちぎれた時、その腕がもしあれば魔法でくっつけることができる。しかしその腕が完全に消失した場合…魔法では再生させることはできない。



「そんにゃ、雑魚敵倒してるだけのうちらのレベルなんてたかが知れてるにゃ」


この世界はレベル性があるが、ゲームのように簡単に上がるものではない。今持ってる自分の力を数値化して可視化してるだけであって、スライムのような雑魚をいくら倒したところでレベルが上がるはずがないのだ。


「それもそうだな…」


沈黙が続いた。なぜだか気まずかった。いつも隣にいる仲間なのに、まるでしてもいない隠し事をしているような、そんな感覚だった。


「ルナート…」


ハルーニャから話しかけられた。いつぶりだろうか…俺が話しかけに行き過ぎてるから、話す隙を与えていないのだろうか。


「なんだよ」


彼女がいつにもなく真剣だったので、俺も真剣に聞こうと思う


「言いづらいか?」


なんか困ってることがあるのだろうか…フィライトを殺めてしまいそうとか?


「私がもし……」


ハルーニャが何か話しかけた時、地面が揺れた。


「ハルーニャ地震だ!」


俺は咄嗟にハルーニャに覆いかぶさった。ハルーニャは困惑したがすぐに状況を飲み込めたようだ。

ここは洞窟、落石で仲間を失うようなことはしたくない。ましてや好きな人を守って散っていくなんてかっこいいことではないのだろうか?

そんな内心カッコつけてるとき、


「えっ!?床がっ!?」


床が抜けた。このダンジョンに地下があるなんて誰が予想しただろうか?田舎の街のスライムしか出ないようなダンジョンだ。

スライムは他モンスターに比べて非常に報酬が少ないため、誰も討伐しに来ない。だからこのダンジョンはほとんどのパーティが訪れない。そんなダンジョンの常連である俺たちでさえ気づけなかったようなことだ。


「目を覚まして!───!」


誰かが俺を呼んでいた。俺の名前なのかは分からないが…俺は目を覚まして、重い体を起こしあげた。


「ルナート…生きてて良かった…」


目の前には洞窟光石に照らされた、鮮やかなピング色の髪をした少女がいた。彼女は宝石のような瞳から雫が頬を伝っていた。一瞬誰だか分からなかった。

彼女がハルーニャと気がつく頃には、彼女の瞳に何も浮かんでいなかった。頬はまだ赤く染まっていたが…


「ハルーニャ、ロングヘアも似合うな…」


俺はただ思ったことを口にした。お世辞とかじゃなくて、純粋に思っただけのことを口にした。

いつも髪を結んでいるハルーニャもいいが、解けたロングヘア姿は、年相応の可愛らしい女の子そのものであった。


「からかうにゃ!!」


からかってないのに…本音なのに。

伝える相手にそれが本音と伝わらなければ意味は無いのだが。


「一本道っぽいな」


洞窟光石を灯りを頼りに、仄暗い道を辿っていた。

左腕には暖かい感触があった。これでハルーニャがしっかり自分の腕を掴んで離れてないことを確認できている。


「あっ!」


光差し込む出口のようなものを見つけた。急いで、だけれど慎重にその出口のようなものに向かった。

今日は満月だ、差し込んでくる光の強さはそれに近かった。

そこをでてみると、広い空間に出た。辺りに洞窟光石が照らしているだけの洞窟内部だった。しかしとても広い。

スライムが居ることがわかるぐらいの明るさだ。色までは鮮明に見えない程度。


「ルナート…やるかにゃ?」


さっきまで女の子らしかったハルーニャはいつもの調子を取り戻していた。腕から温もりのある感触が抜け、さっきまでそこにいた少女は短剣をとりだした。


「ああ」


俺はしっかり彼女の問いかけに答え、片手用のロングソードをとりだした。しかし、いざ戦ってみるといつも戦ってるスライムと手応えが違った。いつものスライムが豆腐を切っているとしたら、今回のスライムは大根を切ってるぐらいの手応えであった。


「ふぅ、なんだかこいつら強くにゃかったか?」


確かに強かった。いつもの数倍ぐらい、負けそうになったという訳では無いが。


「ふふふ、やっぱりあなたたちをここに招いて正解でした。」


ふと、背後から優しく、奇妙な声がした。


「だれにゃ!?」


ハルーニャは食いつくように問いかけた。


「落ち着いてください、偽りの姫?」


ハルーニャは彼女を睨んだ。今まで見た事ないような怖い顔をして。


「私はこの世界を作った神の1人…クレアーレとでも呼んでいただければ…名前の通り想像の女神です。」


女神を自称する者を前に困惑した。


「あなたたちは理不尽だと思いませんか?この世界のルールについて?」


ルールとは一体なんのことなのだろうか?


「あなた方が、先程戦ったスライムはA級ダンジョン相当のスライムです。冒険者を何人も屠って来たようなスライムを軽々と倒してしまいましたね」


あれがA級モンスター!?俺らってそんなに強いのか?


「驚かれますよね?だってあなたたちはEランクパーティ…社会的最弱パーティです。実力者がこんな扱いを受けていいんでしょうか?」


社会的貢献度が低いだけで実力がちゃんとあったということに安堵してしまった自分が居た。それは喜んでいいことなのだろうか?


「特にリーダーのルナート様…あなたは強い!」


この人に名前を教えた覚えはなかった。だからこそ、「なんで名前を知ってるんですか?」と言い返せなかった。ほんとに神なのだと信じてしまったから。


「知ってますか?人間の運動感覚は小脳が管理してるんですよ?だからこそ久しぶりにする競技や運動だとしても体がやり方を覚えてるんですの。」


「つまり何が言いたいんですか?」


彼女の言いたいことが俺には理解できなかった。


「つまり、その戦闘技術は昔の英才教育のような…」

「やめるにゃ!!」


ハルーニャが今まで聞いたことないような声で叫んで、彼女の言葉を遮った。


「それ以上の事…ルナートに変なことを吹き込んでんじゃねぇにゃ!!」


ハルーニャの視線は刃物のように彼女の目を捉えていた。初めて見るようなハルーニャに若干の恐怖を覚えたが…でもなぜだか自分のために怒ってくれているのが分かって、嬉しくなった。


「あなただって、彼に……」「黙れ!!!」


ハルーニャの目は…いつもの優しい目じゃない。


「あら?その語尾はやめましたの?」

「黙れ、お前のような腐れ外道の偽善者には反吐が出る」


ハルーニャはいつもとは違う声色でそういった。

初めてそんなこと言ってるのを聞いた。


「…まぁ話を戻しますわね、あなたたちはもったいない!もっと経験を積むべきなのに…Sランクダンジョンでも十分戦えるような実力を持ってるはずです!」


それは言い過ぎなんじゃないですか?って言おうと思ったが、女神様の言ってることだから正しいのだろうか?


「死んだS級ダンジョンをご存知でしょう?あそこに私と違うこの世界を作ったうちの一人の女神がいます。彼女は趣味が悪いのでこの世界の人間を1人残らず殺そうとしています。ダンジョンが死んだのは今、世界を滅ぼすほどの魔力を溜めているためです…それは…」


女神さまの話を要約すると、4人の女神がこの世界を作り、そのうちの1人が人類を滅ぼそうとしている。

それを止めるために俺らがそのS級ダンジョンに入る必要がある。だから俺らをSランクパーティにしたいらしい。


「あなた方には、もっとランクも上がっていい生活を送ってもらいたいのです…そこで提案でございます。私は創造の女神…あなた方に裏スキルを授けるのはいかがでしょうか?」


裏スキル…それの力で高ランクの最強パーティになれるらしい。


「それではお二人とも目を瞑って、何が欲しいのかについて、想像してみてください」


仲間を守りたい…それ以外が頭に浮かばなかった。

すると脳内に声が響いた…幻聴と呼ぶにははっきりすぎる声で、女神クレアーレの声が聞こえた

「あなたは優しいのですね…あなたの裏スキルは… 超再生(オールリメイク )すべてを再生…作り替える、人間には余るほどの力です 」

俺の裏スキルは、どうやらダンジョンの壁の修復に使えそうだった。

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