6 回想 ①
「早くアックノルト殿下について話して下さい」
どころか話していいのか・・・
私が前世の記憶を持っている事は話すべきなのか・・・
ここがゲームの世界だと言う事は信じてくれるかしら。
そもそも、ゲームではこのような展開はなかった。
なら、ゲームの話をしても意味がない。
しかも、この世界にゲームと言う概念がないため、余計にややこしくなるはず。
なら・・・ゲームの話はしない方が良いかも。
「午後の授業が始まってしまいますので早くして下さいません?」
「あ、はい!」
「私は桜宮静として17年間生きた記憶があります。不慮の事故で命を落とす事になったのですが、事故で意識が飛び再び目が覚めた時には目の前に神様がおりました。
神様は私にこの世界にいずれ魔王が復活する時が来るから光の・・・」
「ち、ちょっと待って下さい!」
アクージョ様が私が話している途中割り込んできた。
貴族として話の流れを遮るのはマナー違反なので公爵令嬢としては珍しい。
何があったのだろうか?
「貴女、よく平然と魔王と仰りましたわね。魔王ですわよ魔王!そのようなものが復活するなど大変じゃありませんか!」
「えっ・・・、そうですね。あっ!でも大丈夫ですよ。皆様は魔王が復活する前にこの世にいなくなっておりますから」
そうそう、この三人は断罪によって処刑される。
バッドエンドで私が死ぬ事になっても彼女達は悪事がバレ同じく処刑される。
違いがあるとすれば、その後魔王が復活した時に世界が救われるか滅ぼされるかだけであった。
(あれ!?アクージョ様の様子がなんだか変な・・・)
私の話を聞いてアクージョ様&取巻き二人が顔面蒼白となっていた。
侍女のメリーさんからは物凄い殺気が感じられた。
何かあったのだろうか?
「どうしましたかアクージョ様?」
「わ、私達、そんなに早く亡くなりますの?」
(あっ!)
そうだ、誰だって早く死にたくない。
(さっきまで自殺しようとした者が言う事じゃないだろうけど・・・)
しかも、10代でこれからと言う時に命を落とすのだ、ショックがより大きいはず。
私も一度、17歳で命を落としているから彼女らの気持ちが痛いほど解った。
「アクージョ様、安心して下さい。私は神様から(本当はゲームプレイしてだけど)お三方がお亡くなりになる原因を聞いております。それを避ければ助かるはずです」
「シルビアさん・・・」
アクージョ様は目に涙をウルウルと溜められ私の手を握ってきた。
そうだ!
私はこの三人を死なせてはならない。
だって彼女達は・・・
私に美味しい物を食べさせてくれるから!
エロルドさんがなくなったらハンバーグが食べられなくなる。
それにまだチーズも食べさせて貰っていない。
彼女達を死なせてはなるものか!
「あの~」
「どうしましたか?」
「結局、アックノルト殿下はどうして倒れていたのですか?」
(あっ!忘れていた・・・)




