怒ってませんよ?
レッドキャップの左腕が動きが鈍くなる……クソっ借り物だから壊したくなかったのにっ……
「どうだ?俺の魔槍の威力は」
ダキレルとか言ったか。なかなかやるじゃないか。魔槍……魔力で威力を高めたんだな。
普段は魔獣相手に戦ってるって話だからある程度は使えて当然か。
「魔獣ハンターにしてはぬるい一撃だな。こんなんじゃあニワトリも仕留められねぇよ!」
しかしどうする?一応秘策はあるが、上手く決められるか?
相手は戦士じゃなくて狩人みたいだからな……挑発して乗せても考え無しに突っ込んでは来なさそうだよな。……いや待てよ?狩人って所に付け込めたら勝機はあるんじゃないか?
ダキレルはジリジリと距離を測っている。
……仕掛けて来ない………ひょっとして相手は速攻か待ちのカウンターしか手札が無い?
そういや狩人はそういうタイプが多いな。正面切って戦うより奇襲と反撃に強いタイプだから、攻めて来てくれないと動けないのか?
だが好都合だ。俺はレッドキャップのペダルをグンと踏み込みサーペントに飛びかかる!
…………フリして横っ飛びィ!うひひ、アイツ槍を機体の前で構えて受け止める体勢に入ってやがる!
フェイントでガラ空きの脇腹にパンチ!!
だが、その直後、左腕が槍で地面に縫い付けられてる所だった。うへぇ!反応が早すぎる!!
だけど右手の棍棒でサーペントをドーン!!と殴りつける。殴られたサーペントは真横にすっ飛んで左腕から槍が抜ける。
そう何度も同じ手は食わないか!甘くない
「フェイントか………その程度、下等な魔獣でも行うぞ。浅はかだな。」
魔槍を前方に突き出すと力を溜め始めるサーペント。これは……奥の手か?!
「逃げる魔獣に追いすがりトドメを刺す、俺の追撃を受けてみろ!!」
ダキレルはそう言うが早いか魔法の輝きを身に纏いこちらに猛然と突撃してくる!
俺はこん棒を全力で振り回して遠心力を味方に付ける。
だって相手は魔力を纏ってるからこっちはパワーで不利だからね!
そして受け止めるのも、ギリギリで躱す自信も無いからね!!
「観念しろ!!サーペントバイト!!」
ダキレルの勝ち誇った様な声が聞こえて、首筋にチリチリとした感覚を覚える………今だ!
「滅殺!ハンマーブロウ!!!」
サーペントの槍の穂先が目の前に来た瞬間、こん棒を振り下ろす。
ぐわじゃあああん!!!
耳触りな破壊音と衝撃でガンガンする頭を振り払いモニタを確認する。
「タナンピックが冴えてるぜ。」
槍とこん棒がぶつかり、お互いに武器がぶっ飛んだが、突進の勢いを殺せずにそのまま体当たりする様にぶつかったサーペント。だが、俺はレッドキャップに火薬で撃発するアウトリガーを仕込んでおり、サーペントとレッドキャップがぶつかるインパクトの瞬間に作動させた。まあ早い話がリアクティブアーマーみたいな感じよね。守護るべき本体がリアクティブしてるから自爆みたいなもんだけど。
だがこういう風なロボアニメから着想を得たマニューバなら腐る程あるんだよ!
「よっしゃ今だ叩け叩け叩け叩けェ!」
ガバリと身を起こすとサーペントに飛び掛かる。掴み対策に何らかの仕込みがあるかも知れないから両足で胴体をホールドし、残った両腕で敵の顔面を滅多打ちにする!
「借り物なのにボコボコにしやがって!くたばれくたばれくたばれェ!!」
何やら毛皮の下でギミックが作動しているのかギシギシとホールドしている両足が軋みを上げ始めた。
「掴みやすい毛皮を着てるんだから組み付かれた時の対策ぐらいしている!!緊急用だがやむを得ん、作動!」
「させるかその前に沈めや!!撃発のぉ……インパクトナッコォ!!」
俺のレッドキャップの拳がサーペントの頭に突き刺さると同時に肘パーツに仕込まれた火薬が撃発しパンチの衝撃を増した。そして背骨パーツまで衝撃が伝わったのかサーペントは沈黙した。
魔力を同調させてた反動が来たのか、ダキレルも気絶した様だな。ヨシ!
「勝ったどぉぉぉぉぉぉ!!」
◇
「壊してしまってすみませんッしたぁぁ!!」
俺は控室で待ち構えていたサーシャさんにノータイムで土下座する。
怒ってるかどうかは分からないがそう言う時はとりあえず謝る。とりあえず謝る行為は良くないとは言うが、最初に勢い良く下手に出てたら向こうも強く言い難いだろうからなって。
「怒ってませんよ?むしろ貴方のおかげでお小遣いがたんまり増えてホクホクなんです。ちゃんとお金が振り込まれたらファイトマネーあげますからそうやって謝罪風に誤魔化そうとしなくて良いんですよ?」
て、天使やぁ………ん?サーシャさんの背後のモニター、めちゃくちゃコメントが流れてる……あっ
「気づきましたか?はい。地上の人達へ配信しているんです。もう50万人程が見てますね。広告費用だけでガッポガポですわ〜」
あれ?お嬢様?




