表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/30

礼儀を知らないと見える


 アレクサンドラはバイクに跨りおっかなびっくりといった様子でエンジンをかけるとゆっくりとアクセルを捻る。




 魔導エンジン特有の駆動音を吐きながらゆっくりと前進を始めた。




「左足の棒がクラッチと言ってエンジンの動力をタイヤに段階的に伝える装置なんだ。そしてブレーキは必ずゆっくり絞る様に握りこんで〜………」




 軽い説明だけでコツを掴んだのか、数分もすると彼女はニッコニコでプラチナブロンドを風に靡かせながら校庭を8の字走行を始める。




 おいおいあんまり目立つ行為はやめてくれよ。ひんしゅくを買うからさぁ。




 そんな嫌な予感が的中する様に今朝話し掛けて来たクラスのイケメンのケビンがずかずかとやって来た。






「アレクサンドラさん。貴女は美しい。私ならそんな貴女にふさわしい乗り物を用意出来ます。その様なツギハギをしたオンボロはさっさとスクラップにしてはいかがですか?」







 (#^ω^)ピキピキ親父のバイクがスクラップだとぉ?このツギハギしてやっと走る様になったバイクの良さが分かんねぇのかよお坊ちゃんが!ペッ!




 





「おあいにくさま。私はこういうのも嫌いじゃないの。もう十分楽しめたわ。ありがとうオーカン。これから役所に行くのでしょう?私もついていきますわ。」







 ((((;゜Д゜))))ガクガクブルブル俺を巻き込むなよお嬢様ァ!一緒に役所に行こうって変な勘違いをされたら学校で生きていけないよぉ!





「ふぅん?そんなに俺の事をバカにしたいんだ?今朝その男にお前との関係を聞いても身に覚えが無いって言ってたし、事実そこの男ははた迷惑そうにしてるな。とするとだ。お前は遠回しに、俺の事は出稼ぎ労働者の子供以下だと言いたいんだな?ナメるのも大概にしろよ!フェンリル!!!」




 ケビンが名を呼ぶと校庭の奥に止まっていた送迎用のやたらデカい車が開いてギブラニアが現れる。




 本人がプライドが高いのを反映しているのか、やたらエングレービング等の意匠が凝っていて儀礼用の様な印象を受ける機体だなぁーと思ってたらその右手に握る剣で俺のバイクを叩き斬りやがった!!




「こんな手垢まみれの薄汚いモノを大事そうにする所か役所に一緒に行こうだぁ?どれだけ俺を挑発すれば気が済むんだメスブタが!俺の彼女なんて生ぬるい!俺のペットにしてやる!!」




「てめぇゴラァ!なにしてんだ!!女に相手にされない腹いせで人のバイクをオシャカにしやがったな!!もう許せねぇ!一発シバいてやる!!」




 ブチギレてる俺の肩に手を置いてアレクサンドラは優しく微笑む。




「ならちょうど良い物がありますよ?来なさい!レッドキャップ!」




 同じ様にデカい駐車場に止まっていたトラックから何かが射出され俺の前に落ちてくる………これはゴブリンか?




「基礎はゴブリンですが、いろいろと改造が施されて居ます。バイクのお詫びと言ってはなんですが貰ってくれませんか?」




「貰ったら後が怖そうだ。今だけ借りる事にするよ。」





 レッドキャップに乗り込み、コンソールを弾いてシステムに火を入れる。普段乗っている作業用のタナンを戦闘用にしたのがゴブリンだから基本は同じだな。まあ細かい所は後回しだ。今はとりあえず動かせてあのフェンリルとか言ったギラギラ野郎をシバけたら満足よ!!




「ウラァ!バイクの怨みッ!」




 とりあえず向かい合うといきなりぶん殴る!! レッドキャップは素直に動いてくれるな、タナンよりもかなりの高レスポンスで……コレはイケるぜ!




「野良犬が!礼儀も知らないと見える!」




 ガキィン!とレッドキャップの手甲部分に剣を叩き付けられ拳が弾かれる。




「どうやら剣術もハリボテじゃあ無いみてぇだなぁ……上等だ!泣かしてバイクを弁償させてやるぜ!」




 俺はレッドキャップを低く屈ませて、その体制から掬い上げる様に拳を突き上げる。




 狙いは剣を握る拳だ。これはストリートのケンカでもナイフ持ちに対して有効なワザでプロでも無ければ大抵は武器を落とす。だが、ケビンは違った!




「超近接格闘に柄で殴るのもあるんだよ!野良犬が付け焼き刃で俺が幼い頃から培った技に敵うと思うなよッ!!」




 右拳が甲高い金属音をあげる。まだ拳として使えはするが、あんまり壊すと後が壊そうだ。 




 俺はレッドキャップを屈ませた時に左手に握り込んだ地面の砂をフェンリルの顔にぶっかける!




「お前の剣の師匠はこういうのは教えてくれなかったみたいだなぁ!!」




 ギブラニアとて重機、ワイパーやウォッシャ液の機能はあるが、戦闘中にそれは致命的な隙となる。




 「泣きの一発だ!そしてそのいけ好かない鼻っ柱をへし折ってやんよ!!」




 フェンリルの頭部は狼を模した形でいわゆるマズルの様な意匠があった。ソレを左手で握りしめ、空いた右手でフェンリルの左頬を何度も殴りつける!




 ガキン!バキン!と破壊音が響いた後にフェンリルは機能停止する。




 レッドキャップは立ち上がると手の中にあった引き千切れた犬鼻をつまらなそうに捨てたのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ