親父を知っている……?
その後のコロンブスでの航行は大変なモノだった。
何故かやたら上機嫌なミーシャお嬢様とハイカお嬢様に俺とリータが振り回されまくったのだ。
やれ「一緒に食事しても恥ずかしく無い様にする」や「相手の所作や態度で何を意味しているのかを読み取れる様にする」などと息巻いて、授業が終われば特別講義を受けるハメになった。
貴族と金持ち連中に舐められない様にする為なんだろうが流石にキツい……
だからこそ鉱山都市ダンベルドが見えた時には俺とリータは涙を流して喜んだんだ。
◇◇◇
鉱山都市は見渡す限りデッカい山と荒野が広がっており、近くには谷とそこから流れて来ている川があった。
川沿いにはビッシリと精錬工場が並んでおり、ぶっとい幹線道路に接続する為に血管の様に細い道が伸びている。少し離れた所にベッドタウンなのかマンモス団地が幾つも建っていて、マンションとマンションの間には明らかに手作りの空中回廊が張り巡らされていた。
「えー、この街は少々ごみごみしていますので、宿泊等は引き続き本艦を使用します。ここで皆さんには今の地底を支える技術を直に見て学んで欲しいと思っています。あと、勝手に鉱山や荒野に出ない様にお願いします。野盗や巨獣が現れる可能性もありますので。」
引率の先生の先導で街に降りて学園と話が付いている工場の中を見学する。
おおっ!あそこにあるのは最新モデルのドラゴンじゃないか!火竜の名の通り短時間なら飛行も出来るって話だし飛んでる所が見てみたいな!
「おい、こっちにはトロールが動いてるぞ!」
リータのセリフに振り返ると、普通6メートル級のギブラニアに対して10メートルはあろう巨体のマッシブなギブラニアがあり得ないぐらい太いシャフトをトラックに積み込んでいた。
あのパワー……!シビれるぜ……
「こちらは工作機械専門のギブラニア「靴屋の小人」です。この様な専門的なギブラニアはなかなか他所では見られませんよ!」
引率の先生が楽しそうに解説を始めたのは下半身がタイヤになっていて腕が複数ある異形のギブラニアだった。なるほど。フライス盤やら旋盤やらそういうのを使う奴か。何だかワクワクするなぁ
その後も変わり種のギブラニアやそれらがモノを作る様子をいろいろと見て回って行った。
◇◇◇
【ケビン視点】
やっとついたか鉱山都市ダンベルド。オママゴトみたいな授業になんぞ出ていられるか!俺の時間は俺が使う。俺がトップになる為にな!
「ここがオリハルコンを加工出来る数少ない鍛冶師の居る工房か。こんなチンケな工房で合ってるんだろうな!メイヨ!」
「は、ハッ!すぐに店主を呼び出して参ります!」
メイヨは小さな個人用の工房に入り店主のケトべドルを呼ぶ。
するとしばらくして白いヒゲモジャのまるで老羊の様な男が現れる。
「なんだぁ?若いの。オレっちに何の用だ?ああいやどうせ聞かなくても分かる。魔法金属でギブラニアのパーツを作って欲しいんだろ?たまに来るんだよそういう奴らが。邪魔だ帰んな」
呆れた様子で踵を返すケトべドルにケビンは食ってかかる。ケトべドルの取り付く島もない様子に腹を立てて。
「お前の都合などどうでもいい!俺は頂点に立つ男だ!そんな男の振るう武器を打てるんだ!泣いて喜ぶのが当然だろ!!金ならくれてやる。だから終戦剣ラグナロクを直せ!!!!」
終戦剣ラグナロクと聞いてピクリと反応するケトべドル。何故なら彼にとってその剣は忌まわしき記憶と共にある物だったからだ。
「てめぇ………その髪の色、ヨシュアの倅か。どうりで鼻っ柱が高いんだな。なおさら帰んな!むしろラグナロクがへし折れたならせいせいするわい!」
「親父を知っている……?なおさら逃がすわけにはいかないな!!クソドワーフ!親父と因縁があるなら聞くぞ!親父は何を欲しがっているのか俺に教えろ!!」
「それを聞いてどうなる?お前が手に入れてプレゼントするつもりか?そんな事をしてもアイツはお前を褒めたり父親らしい事をしたりしない。」
「オーカン、ユキジ・オーカンを切り捨てる為にも必要なんだあの剣が!来るつもりが無いのなら力ずくで来てもらうぞ!!メイヨ!」
「ハッ!」
メイヨは懐からテーザー銃を取り出しケトべドルに打ち込む。テーブルの上のモノをぶち撒けながらひっくり返るケトべドルを運ぶ為にメイヨは黒服を呼んだ。
(ユキジ・オーカン……あのバカの息子か?……何の因果か血は争えんな……ミッシェルやドルブも知ってるのか?……クソッ意識が…………)
俺は意識を手放した




